彼は準盲目のピアニストである
 普段は鍼灸按摩を専業としている
 ピアノだけではまだ飯を食っていけないからである
 彼は指先の感覚が鋭く マッサージ屋で人気の一人である
 夜遅くまで働いた後 ....
ああ この
生まれてくるもの

帰りたかった場所
だったのか。
 
日々が、やはらかく、
差し込んでいる
隣に笑顔が、ある
ここで 揺られて
羊水を思い出す
 
胎内に鼓動
 ....
「ゆうれい列車」




ホームで下を向いていたので
うっかり
ゆうれい列車に乗り込んでしまった
しまった
向かい合った二列のゆうれいたちが
脚をそろえて腰掛けている
脚は途中か ....
晴れた空
僕は誓う
あなたを愛します

曇り空
僕は誓う
あなたを愛します

雨の空
僕は誓う
あなたを愛します

どんな空の日であれ
わざわざ誓わなくても
もうこの運命に ....
小学校になる前

僕はここで育ったんだ

あれから10数年

すっかりとこの街は高いビルが立ち並び

昔の面影を消そうとしていた

僕の成長に合わせて

町も成長しているのが分 ....
何も書かれていない
真っ白な紙
はじめは何かを記録したり
伝達するために
その紙は使われた
やがて人はその紙に
美しいものを求め
美しいものを書くようになった
その美しさは一つではなく ....
野良猫が硝子扉の前で爪をとぐ
透明に遮られて佇む、
僕が手にしているのは猫の解剖写真

あぁ

ヘリコプターが{ルビ番=つがい}のように並んで行くね

鴉を追い払う小鳥の夫婦は
電線 ....
          2007/05/09

彼処に
白い雲が一つ見えます
窓の外を指さして
所感を述べる
君は表現が正確だねと
ニコニコしながら
先生は相づちを打つが
求人に来た社長 ....
取り違えられた

色の壁
名前を聞かれて
「青」
と答えてしまう

投げた
配水管の中に
あいまいな
猫が
右目がつぶれてしまって
横たわっている
弧を描いたらしい
血が ....
    とうめいな、
    くうき。
    とまる、
    おんど。

    しろになる、
    せかい。


{引用=
     *

  *

*     * ....
帽子の話はひととおり終わり
白い塀が先の方まで続いています
突き当たりの干物工場を右に
道順を教えてくれる指先は節くれだっていて
足元には重いものに潰されたような
カマキリの一部が残っていま ....
暖かい丘の 暖かい風に抱かれて 僕は眠りたい
幼き日に見た 夢の続きを のんびり見ていたい

    「恋する乙女の 視野は狭くて 困ってしまう」と あいつが言う
    「そんなことは僕には ....
いずれにせよ桜は散っていく

まるで、まわりくどい恋文のように
あなたと僕の間を、{ルビ廻=めぐ}っていた感情は
不意に来たあなたの訃報でかたちとなって
ただ、ひたすらに他人でありつづけた奇 ....
どうだっていいやなんて、
よくもまあそんなこと―

いや、いや、わかっかちゃいるのさ
どうでもいいはずがない

だけども、もはや、日は短いのだ
どうにも、僕には残りがないのだ


 ....
 今僕は、ロッテリア上大岡店の地下1階にいる。まだ開店して間
もない朝のせいか、店内には地味な女性と、テーブルに立てかけた
桃色の傘が1本。椅子に座るやいなや、早速手にした携帯電話を開
いて小さ ....
休日の静かな午後 
図書館で借りた
図録の頁を{ルビ捲=めく}っていた 

今は亡き画家が 
キャンバスに描いた野原に 
ぽつんと立って 
空っぽの{ルビ笊=ざる}を両手で持ち 
木苺 ....
あなたを大事に思っている人がいます


あなたを見守っている人がいます


あなたは気づいていないかもしれないけれど






半信半疑や

距離感や

 ....
目の前はすべて  
煙に覆われていた 
幾層も掻き分けた向こうに 
握った拳を突き上げた人影が 
腕を下ろすとこちらへ歩いて 
すうっ と 
わたしの内側に入った 

  * 

 ....
             2007/05/04




走って転んで
起きあがって
出来ることをしなさいと
近所の
半熟の先生が
優しくおっしゃった

ギラギラのコミックばかり ....
ただの生活の中を
ただの生活だなんて言って
大して感動もせずにフラフラ生きてたら
ときどき前方不注意で
誰かの真摯な想いの背中にどしんとぶつかることがある
いい加減見かねた神様にマジビンタを ....
子どもたちのかおり水はかがやく
わたしの足をのみさらうもの
それはとても自由な戯れに見えたけれど
目をとじて 耳をすませば
ひとつの韻律をかんじるわ
わたしもむかしは うたでした

 も ....
冷たい樫のテーブル
両腕で抱いた中心

テキーラのグラスに柘榴の血を
集めて完成する生

お前の誕生日がいつなのか
知らないけれど 知らないまま
祝わせてもらう事にする


 ....
擦り切れている背表紙を
後生大事に持ち歩く
付箋に躓くことを繰り返してしまった

左手には一束のシャレード
紐解いている間に
夏の森は
微笑や涙やトキメキを頬張って
色彩を奏ではじめて ....
はじめて春の木漏れ日をデッサンする人は
黒いスポーツキャップをかぶっている
背骨のひとつひとつが明瞭で
白い服をさらさらいわせ
にぎやかな空白に
筆をさしこむ

そしてパレットの虹は ....
三十過ぎて 
忙しさを言い訳に 
すっかり運動不足の僕は 
最近腹筋をはじめた 

しばらく鍛えてなかったので 
体を起こすたび 
床から上がってしまう両足を 
しっかりと抑えてくれる ....
とんこつラーメン屋のにおいが 
真昼の生ぬるい風に運ばれる 
新宿の雑踏を歩いていたら 
ポルノ映画館の看板下で 
自転車に乗ったおばちゃんが転んだ 

どうしていいかわからずに
ぼくは ....
今日も君はハイヒールを履いて
チラシを踏んづけて転びそうになって
ガニ股で踏ん張って
舌打ちをしたらやけに悲しくなって
走る必要なんかなかったのに走って
街から外へ出てきた

外に出ても ....
玄関のドアを開くと 
家族の靴にまぎれ
老人の下駄がふたつ 
並んでいた 

あたりを照らす
天上の 
{ルビ仄=ほの}かな灯り

下駄箱の上に
立て掛けられた 
一枚の絵 
 ....
いいとか
わるいとか

みんないろいろ
いうけどさ

きみとぼくは
ただの

はなれていられないだけの
かんけい

またいっしょに
はしゃいでうたおう





 ....
ねぇ
君は知らなかっただろうけどさ

その小さなニキビであったり
背の低さに悩んでるとこだったり
あんま太く無いくせに深刻な顔してたり
そんなとこが僕は好きだったんだよ

ふざけて二の ....
Porterさんのおすすめリスト(729)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
準盲目の青年- はじめ自由詩4*07-5-10
帰りたい場所- 黒子 恭自由詩7*07-5-10
「ゆうれい列車」- ソティロ自由詩18*07-5-10
雨のち晴れ- おるふぇ自由詩507-5-10
- テルテル ...自由詩5*07-5-9
真っ白な紙- ぽえむ君自由詩9*07-5-9
「硝子」の習作- 士狼(銀)未詩・独白5*07-5-9
広角- あおば自由詩13*07-5-9
真夏日- 水町綜助自由詩30*07-5-9
ふゆのよる- たいにぃ ...自由詩107-5-9
道順- たもつ自由詩2407-5-9
風に抱かれて- 北大路京 ...自由詩10*07-5-9
訃報- たにがわ ...自由詩1307-5-9
思考(にせもの)- 蔦谷たつ ...自由詩2*07-5-8
日常の革命- 服部 剛散文(批評 ...407-5-8
麦藁の少女_- 服部 剛自由詩14*07-5-6
あなたへ- わら自由詩18*07-5-5
夢の人影_- 服部 剛自由詩9*07-5-4
女神- あおば自由詩6*07-5-4
オニキス- チグトセ自由詩12*07-5-4
わたし_うたでした- soft_machine自由詩29*07-5-3
祝い酒- soft_machine自由詩5*07-5-2
夏の鍵盤- 藤丘 香 ...自由詩42*07-4-30
春と夢を描くはなし- soft_machine自由詩13*07-4-29
風の声_- 服部 剛自由詩23*07-4-29
新宿小景_- 服部 剛自由詩8*07-4-29
弱い音- チグトセ自由詩9*07-4-29
貝の家族_- 服部 剛自由詩13*07-4-28
かんけい- 松本 涼自由詩807-4-27
バイバイ- イヴ自由詩5*07-4-27

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