すべてのおすすめ
濁った色の疲れたスーツで
駅からの決まった道を帰る
立ち食いうどんの黒い汁に
コロッケをひとつ浸すのも
いつもお決まり
しまったシャッターを背中に
いろんな若者が自由な服をきて
楽し ....
学芸会でぼくは
ぼくのお母さんを演じた。
ぼくの演じたお母さんは絶賛された。
でっぷり太っているが清潔である。
石鹸の匂いはしないが朝ごはんの匂いがする。
ぼくの間違えた答案を間違え方が ....
木がねむると
木のなかに
ほんとうの木がうまれて
風にふれようとする
風がねむると
風のなかに
ほんとうの風がうまれて
空にとどこうとする
空がねむると
空のなかに
ほんと ....
空があんまりひくいので
きりんのくびは
つい空から突き出してしまった
そして見たくないものを
見てしまった
あああんなにうつくしいものを見てしまったら
もうぼくは
なにをみてもう ....
尖った粘土に
刺さった虫
のように
息だけ
している
息しか
できない
+
明方
キリンの群れが横断歩道を
渡っていく
あれは首長竜の一種だ
と弟に教える
弟は悲しそ ....
台風は南西のほうへ
それていった
天気予報はそれで
終わり
みなれた日本地図のかなたに
台風それてよかったですね
まるで
それていった先の
島や
大陸には
人も犬も猫も
....
かちにげはずるい
9月は考え込んだ
8月のやつったら
いい思い出だけ残して
いっちまった
かき氷
カラコロ、下駄
「髪型、かわいいね」って言ってた
あの人・・・
カエルの鳴き ....
秋の夕暮れに
夕日がふたつ
赤く熟した
太陽と
柿の実と
風に揺られて
見分けがついた
「今夜はうどんよーー!!準備はいいかーい?」
「いぇーーい!!」
うぴっぴぴっ、うぴっぴぴっ、ぴぴっぴ、ぴぴっぴ、ぴーーー、どんどん
うどんど どんどん どんどん どどんど
うどんど ....
空を泳ぐ鳥たちでさえ
死はいつも地上のある
明るすぎる地下に雨は降らない
きのうの洗濯物を今日の朝日に干す
明日は雨らしい
シャツには見覚えのない涙の跡がついている
毎日クスリを飲 ....
越前海月 VS 越前蟹
そもそも彼らに戦う気など、ないだろう。
…でも、仮に、もし仮に、戦ったとしたら、
べしゃ。
じゃきーん。
互角かも。
さらに合体 ....
いつの間にか 鞄に穴が開いていたらしい
どうりで最近 入れた覚えのないものが
たくさんあるんだなと
好き好んでこの鞄に入ってくるなんて
よっぽど物好き
もしくは 穴があったら入りたいほど ....
奇跡は待つものじゃない
起こすものだ
先輩はいつもそう叫びながら
改札を出るといつも
マニエルの打球のように
球場にむかいましたね
でもね先輩
僕は待ってしまったんです
大切な ....
キミエさんが言ったんだ
「お前はパタゴニアに似ているよ」
コスタリカとはちょっと違う
パルプンテはもっと違う
ラテンアメリカの南の地方
パタゴニアには羊がいるらしい
あと、草原 ....
雲が浮かぶ
右へ右へ
そのあとを違う雲が右へ右へ
あ こっちの方がおっきい
おっきい雲は
ふぅーっと息を吐く間にちび雲に追いついて
ちび雲は あーあ
息を吸って吐いて吸って吐くと
....
ひどく目立たない黄色のレンガ道を行くと
夏休みの少し手前に古い送電鉄塔が見える
陽炎虫が大発生した年の真夏のある日
一人の男の子がその鉄塔の下で感電死した
鉄塔からぶら下がっている電線に触れた ....
{引用= はじめに断っておきますが、これはオリジナルではありません。
格闘家の前田日明さんが語った少年時代のエピソードがあまりにも
いい話だったので、詩にさせてもらいました。
もちろん、ご ....
石化した太陽が空から落ちてきた
遠くの海にポチャンと落ちた
みんなびっくりしたけれど
津波はやって来ないから
どうでもいいやと思ったそうだ
波に揺られて潮に流され
暗い海底をまりものように ....
小声で呼ばれて小声で教えられた
(左左、ミミズが傘を差してる)
顔を向けようとして止められた
(向いたら気づかれる)
目の端っこで何とか見る
確かに紫色のミミ ....
優等生のシンデレラは
舞踏会には行かなかったの
臆病な眠り姫は
北の搭の扉を開ける事はなかった
慎重な白雪姫は
林檎を口にしなかったし
人魚姫は王子様より
歌 ....
足音は立てないで来てね
待っているから
足音はいらないの
足なんかいらない
あなたはいらない
足音だけのあなたはもっといらない
いつも電車を乗り換える駅で
心が考え事に乗り過ごし
体が自動的に乗り換えた
私はふと怖くなった
私は習慣に引き裂かれたのだ
自由すぎる心と
従順すぎる体との間で
私は私を見失い、
習慣 ....
たぶん
狐がついてるんだよ
って
教えてあげたいけど
あまりにも
幸せそうだから
何も言わずに
遠く離れた場所で
ただ
静かに観察している
どうしても言えない“ハロー!ピース!”を
惜しげもなく言っている夢を見た
誰がなんと言おうと夢でした
どうしようもなく夢でした
無邪気に“ハロー!”と言えない僕は
まともに挨拶すらできな ....
奥さま方が集うカフェで
俺はスプーン片手に乱心する
ウェイトレスを人質に取り
一人ひとりの乳頭の色を聞き出す
この変な嵐が過ぎ去った後で
井戸端会議が厳粛なものになればいい
俺は今日このカ ....
はるなつあきふゆ
ずいぶん男やってきた
いつの間にやら割り切って
仕方ないなと口ごもる
管理職にはなったけど
仕事に才能あるわけじゃなし
けれど日本人の宿命で
(八方美人という宿 ....
空の割れた日は
なんでもない午後の水面が
微風にそっとゆらいだくらいの
静かな頃で
お気に入りの帽子を
どこかに置き忘れてしまった
隙間から、パリンと
音を聞いたのは私だけかもしれない
....
忍者になりかけてから
将来が心配になったので入ったのが大学でした
ここにはもう
学者はひとにぎりしかいないみたいで
あとはみんな
商社とか出版社とかに行くようです
父が忍者だったことを思い ....
夕暮れに
ひめりんごの花弁が
雪のように散ってゆき
落ちた先は
あの子の眠る
寒い土の上でした
最期の言葉も
交わさぬまま
突然
冬空へと消えた
一つきりの ....
面接官がダチョウに似ている
というのは良くあることなのでしょうか
面接官は履歴書に書いてあることをいくつか質問すると
さて、と言い残し
窓から空へと飛んで行ってしまいました
もしかしたら
....
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