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詩について一生懸命考えていると
ときおり
その胸の中に詩はいますか?
という澄んだ女性の声がしたもんだから
私は飛び上がってそうですと答えたけれど
実際詩という姿を見たことも ....
手を引いて
歩く指先は、きっと
温かかったような
そんな気が
している
お母さん、と
間違えて呼んだ私の
頭を撫でては
大丈夫と
微笑んでいたから
髪を結う仕草の ....
わたしが わたしを
ぬける いたみもなく
まだ ことばが
あつい いや もう
くさりはじめた さかいを
星を見上げて
一人のベランダ
月の明かりが
孤独をうつす
ため息一つ
フゥ…とついたら
歌の終わりの
ロウソクのように
月も、星も、
全てが消える
....
流れる景色を
ふと見た瞬間
確かに
泳いでいたのは
白いくじらでしたけれど
すかさず構えた
携帯の中には
うまく
おさまりきれなくて
するり、と
いなくなっ ....
少し遅れて咲いた花 細く白い後ろ姿
ポロポロ雨に打たれます
静かに沁みていきました
鋭利な雨に打たれます
窓の外は晴れていても
傘はポケットにあったのに 落ち ....
間違ってもいない公式を
何かおかしいな
疑って消してみた
もう二度と正しい公式はたたなくなった
暗くもない部屋の電気を
何か違うな
怪しんで回してみた
もう二度と ....
眠って育つ
オパールの空を割らないように
何で 出来ている
褐色の寝台で考えるこども達
指を燃やすキリトリ線の内は
何で 出来て いる
目を背けたい言葉の並びも
深層の海 ....
鏡面に 旗をたてる
ここから さきでは
ことばが 失効する
わたしを きれいさっぱり
拭いとってから 前進する
茜色の空
毎日眺めているのに
私はまだ出逢ったことがない
からからと笑う時も
ざぁざぁと泣く時も
それはいつも
いつも いつも
猫背な君に呆れて
電線で遊んでみ ....
明日の夜 君はきっと 僕に似た女の子とキスをする
月の光りに照らされて 綺麗な影が伸びるだろう
僕が嘘をついて 君が嘘をついて
ふたりがうまくいくのなら
良いんじゃないか
....
風は止み
空が濁って
近づくように
離れるように
歌う声
君の声
踊りだす
1,2,ステップ
同時に僕は
息を呑む
{ルビ夕凪=ゆうなぎ}に
響く声
....
手の内ではじける
しゃぼんだまに似た空に
遠い影を投影しては
また、見上げている
影送りだなんて
とうに忘れ去られた遊びを
何度も、何度も
繰り返して
空を横切る
....
朽ちてしまった
想い、は
2000年になった瞬間に
冷凍庫にしまった
7年経った今
解凍しようと
キッチンに出しておいた
月日が長かったせいか
カチコチに ....
その本を開くと
ガラス玉のような星がこぼれました
しみだらけの古い本です
星を見失わないために
すべての星に名前が付いていました
本にはページがなかったけれど
ページをめく ....
楽しいときほど
思い出してしまうのは
あなたと過ごした夏が、きっと
あまりにも輝きすぎていたから
あいたい、と
そんなき持ちに自分の笑い声で気がついた
だって二年前、あ ....
あなたが
星になる
最後の一秒間を
私にください
徹夜あけ
会社ちかくの銭湯にゆく
塩サウナの日だったから
嬉しかった
露天の空の紫は
薄まるように青く白んだ
ひとけのない夕方のようだ
朝日が体の黄色をあ ....
波の音に耳を潜め
ふたり
貝殻の奥に
響く
声を
懐かしみ
涙ぐむ
さよなら
波の花
消えゆく白
さら さら さらり
手を ....
私を好きに
なる人がいる
私を嫌う人が
いる
私を憎む人がいる
私を喜ぶ人がいる
来るものは拒まず
去るものは追わず
自分を見失わないで
皆を信じて
全ては良い方向へ向かう ....
手のなかに
ことばを握ることがあったね
あるはずもない質量に
身を任せてしまうことが
あったよね
どんなこころ模様にも
ときは流れてゆくものだから
いつか
わた ....
都会の道路に沿って
綺麗に並べられた街路樹は
まっすぐに立っていたが
その緑は曲がっていた
歩行者や大型の車に合わせて
その枝と葉は
捻じ曲げられていた
緑はいつも
土や大地の色は ....
その瞳の奥に、死神がいる
パンを食べたくて、死神がいる
月の海は命を抱え 日に日にその領域を拡げていった
ゆっくりと しかし 確実に
生まれてからずっと体内に飼っていたのに
拡張をし始めた途端 わたしの身の内に不安と安堵が交互に訪れる
わた ....
なにも伝えられない
こんな夜は
静かにあなたの詩でも読んでいよう
なにも言えない
こんな夜は
静かにあなたの歌声でも聴いていよう
今夜だけは
あなた
ひとりでい ....
花が
さいて
ゆれています
いつもの
野原
いままで
しらなかった
花が
さいて
ゆれています
過去という物語りを消して。
未来という作り話を消して。
今、そうこの瞬間。
何が出来る。
僕は、
何も出来なかった。
湯船の上にぽちゃんと咲いた彼岸花
天井から落ちる水滴が
少しでも、少しでも
薄めようとして
私はまた一つぽちゃんと
花を咲かせます
ぽちゃん
ぽちゃん
少し ....
汚れた雨が蹂躙する街角で
傷をかばいあうために手を繋ぐ
傘を持たない日だけ、どうしようもなく
君の手があたたかくて
切れた指先が痛みを増した
僕の手は
どんな温度で君に ....
そこに風があった
葉を揺らし
湖を渡っていた
やがて街へ
そして自分へ
そこに風があった
花に触れて
川を横切った
やがて海へ
そして彼方へ
一瞬の風は
また一瞬の風へと ....
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