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あなたはいつも私に
「私は誰にも大事にされなかった」
と諦めたように言うけれど私はそれを聞くのがとても嫌いです。
何故なら私はとても無力だからです。
あなたが愛されたいのは、愛されたか ....
それでも人は幾多の過ちを
乗り越えてここまで来たんだろう
それでも人は躓きながらも
果て無き道を駆け抜けて行くんだろう
消さないで 小さな炎でも
負けないで 確かな光を
....
いえでします
と書き付けて机に置いた
小学校に とりあえず向かう
誰に叱られてだったか
何故か知っていた 家出というものを
はじめて決行した 小学一年生の時
きょろきょろみた ....
「卵冷蔵庫にあったっけ?」
「分からないからとりあえず買っておこう。」
計画性の無い二人が
買い物に出掛ければいつもこの調子
「ミルクとビターどっちがいい?」
「どうせだから両 ....
不愉快な覚醒が
北寄りの強い風で更に増して
両手の無意識がコートのポケットを探す
ひんやりとした裏地や
捨て忘れた入場券に
指先は触れているが
今はそれより風から逃れたい
月 ....
僕は、毎朝
市民農園で育てた
形の悪いニンジンで笛を作る
ウサギたちが楽しみにしているのだ
僕は、ウサギたちの喜ぶ顔が見たくて
苦心して笛を作る
リードのところなんて、ウサギたちの
....
玄関のドアーを開けると
宇宙が立っていた
寒そうにしていたので
中に入れてあげることにした
宇宙は喜んで
宙返りをしながら
家の中を転がって入った
飲み物を用意している間
宇宙はバナナ ....
遥かに遠くに満ちてゆく、夢のような泡立ち。
その滑らかな円を割って、
弱くともる炎。
最後のひかりが、睡眠薬のなかに溶けてゆく。
みどりで敷きつめられた甘い草原。
潤沢なみずをたくわえて ....
小腹が空いたから冷蔵庫を開けたら
美味しそうなプリンが目に飛び込んできたから
手に取りスプーンで味わっていたら
バスタオルを肩に巻いたあなたが
「プリンはどこ?」って聞いてくるから
「あれな ....
それは、甥っ子が遊びに来ていたときでした。
暖かい冬の日差しの中で、まったりと俺は雑誌を読み、
甥っ子は持ってきたおもちゃをカタカタと動かす中、
優しく降り注いでいた日光を薄い雲が遮 ....
八角形の小箱は
ブルーウォーターで満ちていて
覗き込めば
ぶちの鞠が回転している
それは
滑らかな哺乳類の群れだ
あるいは
みるく色の
貝類の
ひとかたまりに
溶けて
....
つないだ手を
そっ、と離して
春までの距離を
歩数で測っていた君は
三十一歩でくるり、と振り返って
僕に何かを伝えてきた
如月駅を走り出した始発列車が
僕を追い越して
君を ....
20007/02/15
白い雑巾縫い始めたのが
掃除の始まりで
真っ黒に汚れた足の裏
ぞうきんがけを覚えたのが
小学校の廊下
電車道のようにまっすぐに
競争して ....
丸い形が ほんとの形 三日月も新月も ほんとの形 月触でさえ ほんとの形 日触でさえ ほんとの形 ....
何から書いていいのか分からない
混在する言葉を一語一語探し出して
書きたいけど何を書いていいか分からない
時間が経つと何やら形が定まってきて全体像ができる
才能がないと苦労する
....
つめたくて
やわらかな
夜中の大気だ
コンビニの袋を
ちりちりといわせ
二人で歩いていた
着込んでいるのに裸なふたり
既婚でいるのに
ややこしいこと ....
蒲鉾がなくなったので、
あたしは買いに行く。
近くのスーパーは深夜まで開いている。
あそこの練り物はコンビニのよりも美味しい。
そう彼が言っていた。
自転車に ....
崖っぷちでお父さんが寝ていた
風邪などひかないように
布団をかけてあげた
ああ、これは夢なんだな
と分かって目が覚めると
崖っぷちで寝ている僕に
お父さんが布団をかけてくれていた
細い腕 ....
たとえ 僕の目が 病気で失われたとしても
僕は あなたの顔を ずっと覚えている
たとえ 僕の手が 事故で失われたとしても
足を 使って あなたを抱くでしょう
たとえ この宇宙が ....
小さな小さなガラス玉
空に向かって眺めたら
白い雲が動いてる
自由に鳥が飛んでいる
小さな小さなガラス玉
海に向かって眺めたら
白い波が動いてる
自由に魚が泳いでる
小さな小さ ....
じりじりじりじり照りつける
いつまでたっても照りつける
にらみ返せば目が痛む
じりじりじりじり照りつける
直視されない太陽は
いつだってひとりぼっち
世界中の人に愛されよう ....
今更贖罪を求めたところで
手遅れだと後悔しているの?
心配しなくても大丈夫
人間は誰も地獄に行かない
心にも無い綺麗事を吐いて
神様の機嫌でも窺っているの?
心配しなくても大丈夫
人 ....
西日のうちよせる窓辺に
幼い貝がひとつ
もぞもぞと動く白い靴下を
つん、とつけば、また{ルビ蹲=うずくま}る
どうしてこの子は
こんなに静かな遊びを
思いついてしまったのだろう
座り ....
魚の小骨が咽に刺さった
僕はあんぐり口を開ける
人差し指と親指で小骨を取ろうとする
その姿はまったく滑稽で
君を十分に笑わせる
僕は解剖学を学ぶべきだったと考える
....
泥になって歩く
海の方から風が吹くと
私じしんである 泥
がかわいてしまいそうになる
おまけに潮のにおいまで
はりついてしまいそうになる
この湾岸沿いの道は 淋しさ
そのものが細長く伸び ....
塾の講師になって二年
はじめから
教えられることなど
何一つなかったのかもしれない
今日も一人の生徒が
僕のもとを去ってゆく
「高校へ行ったら、此処へは戻ってくるな ....
朝起きると武士だった
(拙者、もうしばらく眠るでござる
と、布団を被ったが
あっさり古女房に引き剥がされた
長葱を{ルビ購=あがな}ってこいという
女房殿はいつからあんなに強くなったのだろう ....
妻が子を産んだ。
女の子である。
わたしの子ではない。
山神さまの子だと妻は言う。
山神さまの子は妻に似て、
肌が白い。
むずかると、
白い肌を紅くして泣 ....
幼子が堅く握った手を
僅かにゆるませるように
朝の光を浴びた梅の木が
真白い花を孵化させている
豪華さはないが
身の丈に咲く、その慎ましき花に
頬を寄せれば
まだ淡い春が香る
....
それは親から受け継いだ
赤い表紙の白紙のノート
お話の名前は「1486106」
産声を上げるところから始まる
加筆・修正がきかないから
誤字・脱字が目立つところもある
だけど後で読み返 ....
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