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いつもなら
真横から朝日を浴びる時間に
ライトを点灯させた車が
飛抹をあげて通り過ぎていく
ふいに
まだ夢が続いているような
不安にかられる

クレーンを折り曲げた重機が
ごうごうと ....
爆弾が墜ちると
デマが流れた街で
警報に追われ
バンクするカーブを走った
この街の建築は
爪先から斜めに削れていて
鋭角に尖った
笑みを浮かべている

濡れた雛鳥の翼
抱えて
ひ ....
牛がこない
遅れるなよと言ったのに
メールさえ返ってこない
電源を切っているのだろう

遠くに
うすちゃ色のまーぶるがみえる
きっとあれだ
おーい、と呼ぶ
MOO―、と感情を長くのば ....
朝霧の蒸発してゆく速さに
子供たちは
緑色の鼻先をあつめて
ただしい季節を嗅ぎわける


くったり眠っている
お父さんのバルブを
こっそりひらいて
空色を注入する
うん、うんとうな ....
ゆふぐれ
ふみきり
みずたまり


おむかえの
はは、したがへて
黄いろいぼうし
せおう赤


あたらしいくつ
よごさずに
じょうずに
とべた、よ


はがいっぽん
 ....
あなたが
この頃やさしいのは
何か企みがあるのかと
首を傾げていましたが
いま、この橋にたたずんで
ようやく気がつきました
もう
春なのですね


欄干にもたれて
あなたの
い ....
ダッシュボードに斜めに突っ込んだ
おもちゃみたいなラジカセ、レゲエのリズム
全開の窓から
おまえは
ほっぺた出して
ぶるぶるやってた
子供みたいに

俺は
クラッチとアクセル
ジャ ....
波打ちぎわに
光る、{ルビ蟹=かに}
蟹をみていた、飴色の

もう、よしてしまおう

人間なんて、よしてしまおう
折りたたまれてゆく季節は
いつか振り返れば
一瞬なのかもしれない
湧きいずる水におされて
いま
雲母のいちまいが
なめらかに遠ざかる


使いきれなかったノートの白さ
描ききれなか ....
二日遅れのホワイトデーの
白いリボンを髪にのせて
ふわりと回ってみせる君は
大きくなったら
メイドになりたい
という

人様に奉仕したいとは
見あげた心がけだ

解釈は準備してお ....
鳥は
自由に羽ばたく姿こそ美しい
私如きが
その軽やかな{ルビ踝=くるぶし}に絡みついて
ともに堕ちてはならない
いつか
大きな空になりたい
そんな、さよなら


相反する不確かな ....
うぐいす色の鳥のたねを
あたためる
その小さな手は
もう、知っている

ふくらむことの
喜び
ひとしく
うまれることの
尊さ


{引用=

むかしむかし
あるところに ....
八角形の小箱は
ブルーウォーターで満ちていて
覗き込めば
ぶちの鞠が回転している

それは
滑らかな哺乳類の群れだ
あるいは
みるく色の
貝類の
ひとかたまりに
溶けて


 ....
西日のうちよせる窓辺に
幼い貝がひとつ
もぞもぞと動く白い靴下を
つん、とつけば、また{ルビ蹲=うずくま}る

どうしてこの子は
こんなに静かな遊びを
思いついてしまったのだろう
座り ....
朝起きると武士だった
(拙者、もうしばらく眠るでござる
と、布団を被ったが
あっさり古女房に引き剥がされた
長葱を{ルビ購=あがな}ってこいという
女房殿はいつからあんなに強くなったのだろう ....
幼子が堅く握った手を
僅かにゆるませるように
朝の光を浴びた梅の木が
真白い花を孵化させている

豪華さはないが
身の丈に咲く、その慎ましき花に
頬を寄せれば
まだ淡い春が香る

 ....
川口 掌さんの佐野権太さんおすすめリスト(16)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
雨の街、雪の橋- 佐野権太自由詩15*07-12-13
S.O.S_———この星が落っこちる前に- 佐野権太自由詩5*07-11-28
牛とあるく- 佐野権太自由詩24*07-8-13
海の日- 佐野権太自由詩38*07-7-24
いちねんせい- 佐野権太自由詩23*07-4-17
桜川- 佐野権太自由詩31+*07-4-13
海とポンコツと、おまえ- 佐野権太自由詩18*07-4-12
春の蟹- 佐野権太自由詩15*07-3-31
青いピースサイン- 佐野権太自由詩34*07-3-29
お父さんスイッチ- 佐野権太自由詩53+*07-3-23
鳥の唄- 佐野権太自由詩17*07-2-23
初めての絵本- 佐野権太携帯写真+ ...17*07-2-21
レモン海- 佐野権太自由詩26*07-2-16
貝あそび- 佐野権太自由詩29*07-2-7
武士のつかい- 佐野権太自由詩58*07-2-6
春の歩み- 佐野権太自由詩27*07-2-5

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