すべてのおすすめ
何処か知らない 浜辺
の砂の上に座りこんで ぼんやり
海を眺めていたようで
すぐそこの岩屋の蔭

から蟹が一匹
ちろっと動いた ように感じて
眼を凝らそうとしている
つもりが逃げ ....
地獄のとある片隅に
けしごむのかすがうずたかく積もっている
ここはけしごむ地獄
後悔ばかりして生きていた人間が
人生を白紙に戻すため
けしごむを動かす
ぐい、ぐい、ぐい

自分の人生は ....
疲れた体を横たえ雨の音を聴く
水音の底から甦るいのちは
限りなくやさしい

長かった旅の終わりに向かって降りて行くとき
人はなぜ柔和な表情になるのだろう
暖かいビロードを愛撫するように ....
倦んでいた
人ごみを避けると風が冷たかった
空の色が変わろうとしていた
古本屋でたまたま買った
サガンの「悲しみよ こんにちは」を
喫茶店で一気に読み終えたあと
いたたまれなくなって
ひ ....
フィリッピンの
バタンガス地方
カラカの
小さな漁村が消え
三〇万KW石炭火力発電所 出現

あつい日盛りで
海には風もない

遥かセミララから
ふるぼけた石炭船が着いて
なんに ....
紺がすりのような夜を眺め
穏やかな一日を思ううち
心は幼年に浮遊して
小さな手から落としたごむまりを
おにいちゃんが思いっきり地面にたたきつける
ぽーん
ぽーん
空を見上げて
追いかけ ....
美しい憂鬱
高貴なる倦怠
曇り空の下のチューリップ
仔猫は路地を駆け出し
大きな黄色い車に轢かれた
子供たちはチョークで人型を描き
死体を学校の花壇に埋めた
その土によってしか咲けなかっ ....
舞台の中央には透明な攪拌機がありまして
僕によく似たピエロが登場します
ピエロは無言で虚空を凝視めると
両手をひらひらさせて様々な八月を取り出します

粗末なリュックに詰め込んだサツマ芋 ....
いまひとひらの蝶
ゆっくりと私の眼を奪って
流れ着いたのは何の彼方でもなく
オフィスの私のデスクだった

電話の喧騒の中
不意の来客は用件を語るでもなく悠然としている
よく見ると胸に社章 ....
どうしても
ヒロコちゃんのくちびるが
ほしかったの

ピンクいろのふくを
たくさんてにいれたわ
ピンクいろのいえをたてたわ
おとうさんもおかあさんも
こいぬのリリも
ピンクいろに ....
家族が
微笑みあって食事をしている
目の前に出された献立はみなそれぞれ違うのに
年齢も性別も所属団体も違うのに
それぞれがそれぞれの話題を
提示してかきまぜて咀嚼して
家族スープになって
 ....
ゆいごんじょうをかけという
まいにちまいにちゆいごんじょうをかけという
ふるほんやにいっていっさつひゃくえんのぶんこぼんをかえという
まいにちまいにちかえという
びょういんへいけという
でき ....
時代遅れの政治家並に肥満して
申し分ない冷暖房付の部屋に
横たわり 詩をつくるその男の 別して
濁った目と憂鬱な顔こそ 思うに

現代詩そのもののありようとは言える。
ありふれた喫茶店の  ....
ぼくの愛する人 ぼくの恋人よ
きみの歯が入れ歯になるまでの{ルビ一世=ひとよ}
その時までずっと一緒に居たい

あの遠い山宿に生まれた期待
かぎりなくつづく田舎道の散歩
きみの部屋でともに ....
次はあなたの番です
鳥が丸い目をくるくるさせながら言った
そんな なにかのまちがいだわ
だってわたしまだこんなに若くて元気なのよ
反論しても無駄だった
鳥は粛々と書類を広げて
わたしの ....
天ぷらを揚げているうちに
この世にいるのがわたし一人きりになった
キッチン
みんないなくなってしまった

父も
母も
あなたも
娘も
隣の中村さんも
隣の隣の西野さんも
裏の ....
眠れない夜に
窓から差し込むおぼろな光が
私を月の世界へ連れて行ってくれやしないかと
目を凝らして
そのうち光と影の境界もあやしくなってきて
本当に自分は今
月へ向かって
旅立とうとして ....
恋を忘れ愛を忘れ、待つという感情もなくしてしまった

みにくく肥えた腹には怠惰がつまっている

夢の中で私は何度もナイフを腹に突き立てる
中からナイフに貫かれて出てくるのは
こひびとの胎児 ....
背中に
冷えた地球の大きさを感じながら
夜空にときおり描かれるひっかき傷を眺めている

ひどい振動がして
一台の車が頭上を通り過ぎたが
その一瞬に
私の視界を遮ったヘッドライトと
一晩 ....
ゴミラは疲れてしまった。
うつむいて
とぼとぼと茶色い海辺をあるいた。

テトラポットが陽気な声で
「あたしはゴミじゃないわよ」と言った。
でもゴミラは知っていた、
テトラポットはゴミラ ....
喉もと
鏡で位置を確かめる
思い描いた真っ直ぐなラインに
鋸の歯をあてがい
両手で柄を握りしめて
鏡に写ったわたしが
ゆっくりと押す
引く
ずうう
細胞が裂ける
肉が千切れる
 ....
膨らんでしまった
地球の半分の大きさになった

わき腹に インドネシアがささるし
南アフリカからドイツまで腕をのばすと
陽が射さないと 苦情がくる

こんなに大きくなったのに
考えるの ....
あなた、頑張って

隣で寝ている妻の寝言にびっくりした
寝ているのに何故わかったのだろう
わたしはちょうど42.195キロのフルマラソンの最中で
トップを走っているのだ
これからきつい ....
目醒めて夢をみたのか
夢のなかで醒めたのか
ともあれ俺は夢のなかで
不意に見出したのだった
油絵具でかっきり描いたような無人の街と
そこにたたずんでいる俺自身を

夢なのだから飛べるはず ....
世間はタソガレであるが
私はいま目覚めたところであり
いまからロードーしなきゃならんのであり
それは私が選択したことなので
いたしかたないのではあるが
なんてうんざりしてたまらないタソガレ
 ....
10月には花嫁になる予定の女からの電話に
秋晴れの連休でどこかへ連れて行ってもらいたそうな子供たちと
布団干しを手伝ってもらいたそうな妻の目を盗んで
ガレージから車を出す



     ....
男はもう何日も水を口にしておらず
這々の体で村へたどり着いた
中央の広場には煉瓦を組み合わせた立派な井戸があって
水がいっぱいに溢れていた
男が早速つるべで何度も水をくみ上げては
勢いよ ....
Maunaは山
Kaiは海
だから
さしずめ山海通り

斜め向かいの家で
巨大な犬が柵の内側を徘徊していた
裏庭の木が
嵐の夜になぎ倒されてしまった
パイナップルの実が
茎のてっぺ ....
さらばわかめよ
さいの目の豆腐よ
鰹よりも昆布よりも煮干のだし汁が
行平の片手鍋の中で
煮えくり返るその様よ
天然ガス13Aは
ハイカロリーバーナーより青白く燃え盛り
今まさに妻は夕餉の ....
二十数年前
大量の醤油を飲んで自らの命を絶った科学者がいる
それが私の父だ
いったいどれくらいの醤油を飲んだのか
警官が説明しようとすると
母はそれを遮り
私の手を引いて長い廊下を歩き ....
卯左飛四さんの自由詩おすすめリスト(94)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
コレスポンダンス- 狸亭自由詩603-10-6
けしごむ地獄- 岡村明子自由詩303-10-5
思い出- 狸亭自由詩103-10-4
十月×日- 岡村明子自由詩603-10-4
石炭船の船長の話- 狸亭自由詩403-10-3
ごむまりの月- 岡村明子自由詩703-9-30
- 岡村明子自由詩603-9-30
八月のミックスジュース- 狸亭自由詩603-9-28
- 岡村明子自由詩703-9-28
くちびる- アンテ自由詩203-9-26
ファミリーレストラン- 岡村明子自由詩403-9-25
井上光晴小説教室- 狸亭自由詩403-9-25
肥満譜- 狸亭自由詩503-9-22
恋人よ、君の入れ歯が見たい- 狸亭自由詩303-9-19
- アンテ自由詩3*03-9-19
天ぷら- たもつ自由詩1403-9-17
離脱願望- 岡村明子自由詩203-9-15
怠惰- 岡村明子自由詩103-9-14
高原の夏の夜- 岡村明子自由詩203-9-11
ゴミラの消失- 佐々宝砂自由詩5*03-9-11
コップ- アンテ自由詩403-9-11
大陸- 山内緋呂 ...自由詩1103-9-11
本当の名前- たもつ自由詩703-9-8
墜落のはじまり- 佐々宝砂自由詩503-9-2
ただ書き殴ってみた独白- 佐々宝砂自由詩203-8-28
9月の傾斜- 山田せば ...自由詩403-8-14
井戸- アンテ自由詩7*03-8-13
山海通り- アンテ自由詩3*03-8-6
味噌汁大爆発- 山田せば ...自由詩503-8-5
醤油- たもつ自由詩9203-7-9

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4