きみの「ああ」が好きだった。
やさしい瞳でうなずく、あたたかい「ああ」が好きだった。
僕らはいつも少年達のように空を見上げて、周りからは「鳥になりたいふたり」なんてひっくるめられたね。
いつから ....
やさしい言葉をきくと
私はゆらゆらします

やさしい言葉はきれいです
きれいなものというのは
どうやら壊れやすいですし
汚れがつくと目立ちますし
また汚れが落ちにくいようですし

や ....
                      communication breakdown (1〜3)

  キュウリ

ある日目が覚めると
きみと知らない女の子が
向かい合って朝ごはんを ....
ベルマークを集めています
買い物はベルマークのあるなしで決めます
これで世界中の子供たちが
鉛筆で作文を書くことができるのです
でも、この国には子供がいなくなりました

スノードームを ....
彼が台所で欲情した

ごめん

もう




私は誰ともできないの
だって子供ができるんだよ
できたらいなくなるんだよ

彼は
左手でポケットのコンドームを揉みしだき
右 ....
私が 一滴も
何ものにとっての海にも
なれぬことが要因となり
アスファルトは 
忽ちに透け凍った雪の成れの果ての 
既に 雪ではないものの 下で
アスファルトは
ただ 固く  ....
うらやましいお方
金曜の夜は
「あと2日も一緒だ」と
「幸せだなあ」と
そのお方と一緒に眠られます

土曜日は
しじゅうお布団でごろごろ
あなたは昔わたくしに「ころころしたい」
とお ....
 その問題の前提に、なにか欠落を感じた。しかし、それを言葉にすることは、なぜだか憚られた。神への冒涜であるような、淫らな暴露であるような、そんな気がした。
 私は旅に出ることにした。
 はじめ ....
台所で玉子を割り
箸で溶いて
フライパンでバターとからめた


食卓であなたと向かい合い
それを口にふくんだ時 はじめて
涙が溢れてきた
  (お前も卵にはなれなかったのだね)

 ....
みえこは日増しにおなかをせりだし                       
いまではぼくのと いい勝負                           
でも内容がちがうと 夜ごと     ....
初夏の日に映える
あの黒い羽根は
あなたにいつか送るつもりの
今はないしょの手紙

内容はまだ明かせませんが
なにしろ黒いのです
ところどころに紅さしてはいるけど
腹まで真っ黒けなので ....
この度は思いもかけないことでなどと
気休めを言うものではありません
死ぬことは生きている限り必然で
むしろ生きていることこそが偶然なのだと
私たちは本当は知っているからです

眼前の笑いか ....
吐きたい吐きたいと思いながらようやく粥を啜る。
C型じゃなくてA型の肝炎なんだから死にゃしないと医者が言った。
まあ、死にゃしないんだろう。
死にかけですら、ないんだろう。

風が滅法強いの ....
ぼくは最近おなかが出てきた                                 
だってみえこが言うんだもんなあ                                      ....
起きたら
三島由紀夫だった

下唇を噛んだら血が出て
三島由紀夫の血はこんな味なのか とか
白くて小さめの歯は けっこう硬いのだ とか

会ったことないのに懐かしむ

せっかくだから ....
彼は語る、
砂糖壺に群がる蟻のように勤勉に、
生まれたばかりの赤んぼ並に計算高く、
梅雨時になると痛み出す古傷の神経組織に似て巧緻に、
洗ってもこすっても落ちない風呂場の汚れよりも執念深く、
 ....
霊安室の白い籐籠のなか
ピンクの野の花にうずもれた君の
艶のない栗色の背中から
ひからびた鼻先から
濁った黒目のまわりから
しぼんだ肉球のすきまから
丸々と太ったノミどもが次から次へと ....
青い花を探しているのだと
そのひとは言いました

私も青い花を探していたことがあったのです

ずっとずっと昔 千年のそのまた千年も前のこと
白茶けた山脈を歩いていました
足元には雪があり ....
「私を束ねないで」と書いた詩人・新川和江のことが私は大好きだけれども、あの詩はあんまり好きでない。束ねたければ束ねればよい。名付けたければ名付けてかまわん。カテゴライズしたけりゃ好きにすりゃいいじゃん .... Aliceと書いてアリサと読むの、
と女は言った。
黒の手袋をベッドサイドに垂らし人工の月明りの中で背中を見せる
のは初めて、
と女は薄く笑う
きしむ音はチークの椅子かチープなベッドかそれと ....
あいつは普通の人間なのだと、地上でごく当たり前に生きているひとりの男なのだと、そしてあいつとの交渉はつまりセックスに過ぎないのだと、そういうことにしてしまいたい誘惑に駆られる。そうしてしまえば、これら .... 窓にノックの音がする
こんな寒い夜更けにやってくるのは
あいつしかいない

上着を羽織ってベッドから出る
夫は眠りこけているいつものように
かすか
とはとても言えないいびきをかいて

 ....
きょうも
花ぱらり
波ほろり
あるく ひとびと

うまれた頃の温度
中途半端なしあわせに痛んで
降りたくないと
泣いたねがえり

満ちていた
旅のはじめ
いだいなふるえ
落ち ....
所サンの イラスト入りペーパーバッグ
(ミスタードーナツの景品)
が棚の上

何年生きてんだよ

下北沢の古具屋で
ランドセルを買ってくださいよ

別れた恋人に
死ぬまで会えない
 ....
邪魔な{ルビ感情=モノ}などこの手で潰してしまえ
メキメキ鳴る音さえ心地よくて欲情する
バキボキ鳴る音すら気持ちよくて乱れていく

愛してる?好きだった?
そんな言葉はいらないよ あるのは真 ....
森はあたしの同級生で
森というのは苗字ではなく名前で
苗字は山田とか佐藤とか鈴木とか
そういう犬のクソみたいなたぐいだったと
思ってほしい

あたしはいつも森とだけ呼び捨てにした
mor ....
私と声との隙間で咲くバラの思惟
半睡の岸辺で眼のように
眼……が 硝子空を夢みてうたい続ける
星と息の往還 ここから 土の裂け目が始まった

眼窩にまでさし延ばされた凪の ....
頭上でせわしく機械音が響いている
腐った畳を敷いた地面はひどく歩きにくい
どうしてだか私は暗い茶畑を徘徊しているのだ

踏みこんだ裸足がずぼりと畳にめりこむ
視界いっぱいに夜空 雲間 ....
「青空文庫」のホームページ。

> 青空文庫は、利用に対価を求めない、インターネット電子図書館です。
著作権の消滅した作品と、「自由に読んでもらってかまわない」とされたものを、テキストとH ....
わが歌は毒虫の背に投げられし赤く冷たき林檎のひとつ

階段の踊り場に立つあのひとの胸に抱かれてゐるオドラデク

かの城の地下奥津城の牢獄に我あり愛し君を待ちつつ

流刑地に落ちゆく君の背に ....
佐伯さんのおすすめリスト(91)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
H君へ- 折釘散文(批評 ...804-2-21
風、吹いてないけどさ- 長谷伸太自由詩804-2-14
communication_breakdown_(1〜3)- アンテ自由詩12*04-2-12
ベルマークを集めています- クリ未詩・独白3*04-2-7
- 山内緋呂 ...自由詩7*04-2-7
凝結した魚- A道化自由詩504-2-2
金土日(2)- 山内緋呂 ...自由詩10*04-1-31
泣きたいけれど涙が足りなかったので、私は考えることにした。- ポロリ散文(批評 ...3*04-1-25
月のもの- 石畑由紀 ...自由詩1304-1-24
みえこは日増しにおなかをせりだし- よねたみ ...自由詩704-1-21
クロアゲハ(百蟲譜17)- 佐々宝砂自由詩4*04-1-21
仮タイトル「おそうしき」- 山田せば ...未詩・独白1004-1-18
吐きたい吐きたいと思いながら- 佐々宝砂自由詩204-1-14
ぼくは最近おなかが出てきた- よねたみ ...自由詩604-1-13
服と裸- 山内緋呂 ...自由詩36*04-1-5
私の偶像に捧げる五つのエチュード_あるいは_直喩の二十五の文 ...- 佐々宝砂自由詩204-1-3
畜生- 石原大介未詩・独白13*03-12-25
青い花- 佐々宝砂自由詩4*03-12-21
名乗りについて(二流詩人7つの条件補遺1)- 佐々宝砂散文(批評 ...403-12-10
『Alice』- 川村 透自由詩6*03-12-6
あいつとわたし_その3- 佐々宝砂自由詩203-12-2
あいつとわたし_その1- 佐々宝砂自由詩2*03-11-28
歩々日々- 石川自由詩403-11-22
買って- 山内緋呂 ...未詩・独白403-10-24
壊れたものは戻らない- 海美自由詩203-9-24
森の背中- 佐々宝砂自由詩5*03-9-19
境界蝕- 徐 悠史 ...自由詩303-9-7
舟が見える風景- 佐々宝砂自由詩403-7-19
青空文庫- EnoG ...おすすめリ ...203-7-7
Kに贈る(百鬼歌集赤色版より)- 佐々宝砂短歌303-4-6

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