灰皿に盛られたオードブル
そこに手を伸ばすことをよしとしない
もらい煙草が正解。街へ出る際には
誰かに聞かせる小話だけあればいい
フリーダム。
自由は、雨あがりの蛍光灯にぼんやりとしている。





コツコツする足音、地下鉄のホーム。に、つるり鮮やかな緑色の椅子立ち並ぶミニマルな夜は、終電の少し前に酔ったような ....
それが、
どんな言葉だったのか。
風呂にでも入りながら考えるとしよう。
空っぽの口に装弾した犯人のことも。
まもなく、
冬がやってくるというのに
さながら、
新品の漆黒のコートに
無数 ....
妻が平日に東京へ行くことになった。
友だちが故郷の鹿児島から仕事の都合でこちらに来るので会いに行くということだった。
ほぼ十年ぶりの再会だそうだ。
鹿児島から東京に出てきて、僕と結婚し、千葉に引 ....
まただ。―別れ際の挨拶に、
握手をするもんじゃない。
居心地のいい部屋を出て行く時と同じ。
ドアノブから手を離せなくなる。そして、
僅かながらにあいた扉の隙間をすり抜け、
部屋の中へと鼠がか ....
優しい国のふもとでは、
テレビのなかで、パソコンのなかで、
夥しいテントが並べられている。
積み木のような高層ビルの森の透き間を埋めて、
資本家の設計した本土総力戦を生きた、
こころに赤い傷 ....
高速道路で、
料金所に座っているのは神父だった。
「これからどうすればいい?」と
ぼくは訊いた。しかし、彼はパントマイムするだけ。
「救済って命がけの手話みたいだな。」差し伸べられたその
真 ....
 
 
 
いつのころだったか、わすれてしまったし、どこからきたのだったかも、はて、となってしまった。体温のようにそこにあった、ぬくぬく、や、ぬるまゆ、や、ぬめり、にみられる、ぬ、的なもの。それ ....
上着で頭をすっぽりと隠して、いかにも雨宿りでもするといった格好で
玄関に立つ泥棒たち二人。一方の男が合図を送り、もう一方の男が
捲れかけた網戸を気に食わなさそうに蹴破り進入する。そして、
はじま ....
真向ひし雪大文字に息呑みて
崇高なる美に心洗わる

鴎には雪が似合ふと久々の雪積む
景色川辺に立ちて

乙女子が幸せそうな顔をして
隣に座る夜の地下鉄

口紅をつける事なき此の日頃
 ....
汗にまみれた身体
―働いた後によくもまた

「やってられないよ」
誰かが言った

湧いてくる感傷の ツケを払うとでもいうのか
暮らしとともに流れる汗は

皆口々に言っているよ
身体 ....
授業の間、生徒がノートをとりつづけるだけの
つまらない教室の窓の向こうにS山があって
半世紀かけて、削りとったそこには
これまたつまらない工場と採掘現場の跡が残る

どんよりとした曇り空。ワ ....
「それじゃ速すぎる。もっと
ゆっくり見なくちゃ分らないよ」

昨日、ぼくは結婚した友人とともに
見張り番をしていた。
肉体に閉じ込められた見えないドラマでもある
その愛を、
イメージ通り ....
新雪を犯して歩む足跡が黒く
続きて物語めく

人走る足音ひびく小夜床に
大寒と言う静けさかとも

蓑虫が瓦に下り風花に
吹かるるが見ゆ窓に寄るとき

胸のすく音させて割る うす氷
 ....
夏の夜

プラットホームは驚くほど臭い

それは 

サラリーマンが屁をするからで

みんなじょうずに屁をするから

ぼくはまだ 

その音を聞いたことがない

電車が来る ....
背景に滝を入れて撮られ居り
見知らぬ人との旅の安けさ

惜しみなく冬陽を浴びて青みたる
蓬のつづく海の辺を行く
(和歌山の燈台 日本の最南端)

銀婚の旅と出できし紀州路に
海の景色は ....
この草のにおいを意識し始めたのは、
いつからだろうか。
翳る当為が、こおりのように漂い、
透きとおる幻視画のような混濁のなかで、
きみどりいろに塗された、切りたつ海岸線が浮ぶ。

冬の呼吸 ....
水の鈴が鳴っている
鈴のあとを鈴がゆく
葉の上
土の上をゆく


手と手をつなぎ
生まれる音
伝えたくて
仕方ない笑み


呼吸を疑い
息を受け入れ
あきらめと ....
毒薬のような願望を散りばめた、
陰茎の夕暮れが、
いちじく色の電灯のなかで燃え尽きると、
ようやく、わたしの夜が訪れる。

静寂をうたう障子は、わたしのふるえる呼気で、
固く閉ざしてある。 ....
午前6時まだ昨日、サンシャイン滑り込む部屋も瞼の先は夜。換気扇がぬるい空気を吸って吐いてを同時に行っている。冷蔵庫の存在はとどまるところを知らない。電球はエジソンが発明した。ぼくのバランスは崩れまいの .... 花弁を剥きだしの裸にして、白い水仙が咲いている、
その陽光で汗ばむ平らな道を這うように、
父を背負って歩く。

父はわたしのなかで、好物の東京庵の手打ち蕎麦が、
食べたい、食べたいと、まどろ ....
おおむぎの穂が、ゆれてる
ひかりやかげに、ゆっくりとけて
ぼやぼや、いまにもきえてしまいそうなくらい
クロード・モネのえ、みたいに
ぼくら、ぼやぼやしている


ぼくら、相田 ....
電線の仕組は分からない
とにかく君のことばかり考えてしまう
国道沿いの、看板のライトの下から見上げる
電線を。向こうの夜空も

僕は官舎にテレビを持ってきていない
新聞も、ラジオもない
 ....
曇を知らずに
ついばむかたち
花のかたち


あこがれ
うしろめたさ
午後の砂の輪


置き去られた目の幾つかが
むずがゆくからだにひらいても
窓を見つめることがで ....
沈黙とは磁石のように引き寄せるもの―

 マグリットは間一髪のところでサンドイッチを掴み取った。
パンの耳がついていたことを記述しておく。それから電話の
ベルが止んだ。向こうから、ぼそぼそと声 ....
閉じかけて
影はすぎ
片目だけの
花が咲くほどの
遅いまばたき


まぶたの裏に葉音があり
色のかたちをくちずさんでいる
散る花 咲く花の響きがあり
手のひらを隠し
 ....
亡霊を手に指揮棒を振るう老人の
ずれ落ちた眼鏡に映っていた。
風が鳥を離さないと同様に、鳥もまた
風から離れようとしなかった。
「魂のつがい」と題された音楽が聞こえた。
風の鳴らすシンバルと ....
二階から、
木漏れ日が差し込む無人のロビーを眺める。
これがぼくの仕事なのだと言い聞かせながら。
それから退屈が巻き起こす余計なものに
飲み込まれる。書類にじっと目を通す。
窓の外からまぎれ ....
授業中。昔の話をしていると
いい加減馬鹿馬鹿しくなってくる。
それでも、無地の黒板と、無地のノートから
何かしらの兆しを感じているけど

叶うなら授業中に片思いの時間をつくると
口にしてか ....
病院玄関前に
雨上がりの路上に
いちばん風が吹いていた

折れたアンテナが 屋上で
ひとりでに揺れていた
午前5時37分、街灯が消えた

ヒューズが飛ぶように
鳥が飛び立つ
宥めす ....
ブライアンさんのおすすめリスト(146)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
[:smoke- プテラノ ...自由詩108-1-7
フリーダム/アーキテクチャ- nm6自由詩8*07-11-30
コート/冬- プテラノ ...自由詩5*07-11-29
今週、妻が東京に行きました- たもつ散文(批評 ...21*07-11-29
[:horn- プテラノ ...自由詩1*07-11-29
白い夏- 前田ふむ ...自由詩22*07-11-3
フラれる- プテラノ ...自由詩3*07-10-21
カルネヴァーレ- nm6自由詩1207-10-14
[:Glass- プテラノ ...自由詩1*07-10-13
60P_「短歌2」より- むさこ短歌5*07-9-23
サウナ- プテラノ ...自由詩3*07-9-18
マウンテン僕- プテラノ ...自由詩3*07-9-10
aug_2007_._8.25- プテラノ ...自由詩4*07-8-27
51P_「短歌2」より〜_昭和五十年- むさこ短歌7*07-8-2
「屁」- プテラノ ...自由詩1*07-7-30
47P_「短歌2」より〜47歳の頃(銀婚式)- むさこ短歌4*07-7-29
感傷的な夏より—連弾する午後の夢- 前田ふむ ...自由詩33*07-7-26
ふるえ_あがない- 木立 悟自由詩707-7-3
停泊する夏- 前田ふむ ...自由詩23*07-6-29
ピース・ピース・ピース・ピース・ピース- nm6自由詩607-6-11
森番—透過する森のなかへ- 前田ふむ ...自由詩38*07-6-6
印象派- はらだま ...自由詩19*07-5-24
声のない夜- プテラノ ...自由詩7*07-5-21
ひとつ_まばゆく- 木立 悟自由詩807-5-13
水のないバスタブにサンドイッチを手にした男が座り込む- プテラノ ...自由詩5*07-4-29
水と眠り- 木立 悟自由詩507-4-6
「あちらこちらで」- プテラノ ...自由詩5*07-4-1
出張- プテラノ ...自由詩7*07-3-31
[talk]- プテラノ ...自由詩6*07-3-29
/病院玄関- プテラノ ...自由詩7*07-3-10

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5