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「ショクヨウガエル」という物悲しい名前の蛙がいる
まるで人間に食べられるためだけに生まれてきたかのような名前の
体長十五〜二十cmにもなる巨大な蛙

正式な和名は「ウシガエル」
食用とし ....
サメのひれを持った人が
ゾウの鼻を踏んづけたまま
時計の歌を歌った

それで終わる物語に
読み仮名だけが振られている

今日は春も近いのに
誰も二階から降りてこない
疲れてピアノが寝ていた
狭いピアノだったので
添い寝をすることもできた
やがて、か
間もなく、か
多分それくらいのことだろう
僕であることを間違えた僕を乗せて
草の列車が発車する ....
彫りの深い司会者が
深い彫りの中で溺れて
ウェディングケーキはもう
瞼の中でしかカットされない

花束を越えて
何度も生まれてかわろうとする
たくさんの父と母は
まだ静かなまま ....
涙の中を泳ぐ魚がいて
僕の源氏名はまだ忘れられたまま
あなたは僕の順番となり
順番は花びらのびらとなり
そのことで誰も困りはしない
こうして縮まった身体をひょうっとすれば
僕らの不 ....
世界で一番悲しい人が笑った
花のようだった
花の名前と同じ速度で
列車は走った
良い陽が入るね
そう話す乗客たちの袖口は
等しく汚れていた
窓の外にはいつも窓の外がある
という ....
一家全員がそろったのは
昨年の正月以来だろうか
兄嫁が妊娠したという話を聞くと
父はたいそう喜び
押入れからアルバムを取りだし
いつもの昔話をする

それは色あせた一枚の集合 ....
駅前にはたくさんの
駅が並んでいて
降り出した雨に
みな一様に同じ音をたてている
線路は出鱈目にひかれ
それでも人は
誰かを待ち続けなければならない
世界で一番
悲しく笑うため ....
スパイスきょうじゅ
スパイクはいた
スパイクはいて
スパイスのんだ
いちめん ひろがる 
じゃがいもばたけ
おくさんうめたの
だれでしょう

*

あさ うたたねをしていたら ....
水槽の中には
迷い込んだ
ひとつコブの駱駝がいて

その上は
とても静かなので
置かれるものがない

それをあなただけの
目が見ている

寝癖が空調にそよぎ
わたしはも ....
白線の内側におさがりください
融けかかった身体が通過して行きます
主成分は耳とし耳けるもの
声のいくつか
危険ではありませんが
触れると昔を思い出して
いささかに寂しい
窓とし窓 ....
靴下を洗濯籠に投げる
途中、失速して
僕の知らない野原に落ちる

しばらくすると
一匹の美しい横顔の生き物が
くわえて行ってしまった

もう何も無くさないようにと
決めていた ....
言葉のひとつひとつに歓声があがり
思い思いに笑い転げ
級友たちの恋の話は
昼休みの教室で佳境をむかえていた

数年も経てば
誰もが通る道である
ということを知るのだろうが
その前に ....
なくしたものと
もういない人とが
ありえないシーソーで
つりあってる
そんな救いのない話しか
思い出せない
と証言台で男は述べたが
語尾はすでに
空気と区別がつかなかった
街のい ....
ふわふわのシャボン玉の中では
ふわふわの魚が泳いでいる

しゅわんとはじけると
魚は空にかえっていく

私もかえりたい
空じゃなくていいから
ふわふわじゃなくてもいいから

 ....
きらびやかな服を着て
きらびやかな街に出て
たまごの美味しいお店で
美味しいたまごを食べ
たまごが美味しかったと
あなたに電話をした
何て答えたのか覚えてないけど
あの日はあなた ....
何故降り積もったのか
僕らを組成する因子は
間違えることなく
ある日僕らを僕らにした

悲しみは毎日のように語られけれど
掌には幾ばくかの幸せが残されている
まだ誰も本当の悲しみ ....
きみは船長で
ぼくは車掌だった
二人でずっと
夕日のようなものを見ていたけれど
夕日だったのは
きっと僕たちにちがいなかった
海にも線路にも続くことのない
ロープでできた乗り物を最初に降 ....
国語の教科書
「急がないと」の「急」が
「魚」に見えた

魚がないと大変だと思っているうちに
心もひれになって
ふわふわと泳ぎだした

先生や友達もみんな
大きい魚や小さい魚 ....
重さ、とは
預かること
預かる、とは
許すこと
許されること

必然的に張り巡らされた
偶然によって
僕の細胞は君の細胞と出会い
やがてまたひとつの
重さとなった

雨が降って ....
ソーダ水で出来た犬が
門扉に挟まり痛がっていた
放っておけばどこまでも
転がって行きそうな僕の身体は
僕の心の中でまだ眠り続けてる

橋を渡る
腐食した金属のようなものが落ちてい ....
母さんは夜なべをしていたけれど
手袋の類は編んでくれなかった
やがていつものようにフジヤマがやって来ると
腕相撲やカードの相手をし
それでも決してゲイシャ・ガールみたいに
振舞うこと ....
久しぶりに三人で手を繋ぐ
いつもより寒い冬
汗をかいた小さな掌は
どことなく妻に似ていた

歳を聞けば指で
三本や五本を出していたのに
今では両手の指すべてを使わなければならない ....
リモネン、セプテンバー
君の名で良かった
繋がり
繋がろうとする
僕らの身体は
いつも酸っぱくて
どこかが潔く
欠落している

育った街で
僕らに罪は無い
同じくらい
 ....
船をまたぐ
昨日より長くなった分だけ
自分の脚に目盛を入れる

円盤のような声で
おしゃべりをする少女たち
そのフードの中には
いくつもの星が散らばっていて
誰も知らない星 ....
両手いっぱいに
林檎を抱えている人がいた
あんなに抱えて
きっと林檎が好きな人なのだろう
僕は右手にひとつの白球を持って
王国をつくりに帰るところだった
気付かなかった
キリンの傷に
裏の木々より背が高くなったのは
誰の所為でもないのに
金属のものを身体につけられて
何かの記念のような姿で立っている
沈みかかる夕日を見て
人は美味しそ ....
階段には鍵が掛かっていた
鍵を持っている人はみな
蟹のような格好をして降りて行ったが
昨夜食べた蟹は形も違うし
赤く茹で上がって
あんなに嬉しそうではなかった
降りられない階段を見 ....
浮かれていた街も
今では寝静まり
人々は家に帰り鍵をかけ
浮かれ損ねた奥底に
ひとり夜明け

少し離れたところで
青年は白い息を吐きながら
朝の新聞を配っている
早くから大変です ....
鬼のいない鬼ごっこを
弟と久しぶりにした
記憶の中ではまだ
幼いはずだった足音が
いつの間にか大きくなっていて
少し誇らしげだった
何も追いかける必要など無かったのに
大勢の人の ....
みつべえさんのたもつさんおすすめリスト(473)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ショクヨウガエル- たもつ自由詩906-2-13
読み仮名- たもつ自由詩406-2-12
きろ、つきはなし- たもつ自由詩6*06-2-11
じみこん- たもつ自由詩506-2-10
きろ、つきはなし- たもつ自由詩5*06-2-9
春の裁ちかた- たもつ自由詩1406-2-5
一族- たもつ自由詩806-2-4
駅前- たもつ自由詩406-2-3
ファザー・グース(2)- たもつ自由詩11*06-1-31
寝癖- たもつ自由詩406-1-27
わわく_ろらん- たもつ自由詩15*06-1-25
脱衣所- たもつ自由詩906-1-23
少女飛行機- たもつ自由詩21*06-1-22
ハミング- たもつ自由詩1106-1-19
かえる- たもつ自由詩1706-1-18
たまご- たもつ自由詩1006-1-16
雪眠る- たもつ自由詩706-1-15
乗り物- たもつ自由詩706-1-14
水族館- たもつ自由詩1006-1-12
誕生- たもつ自由詩1806-1-9
真夏- たもつ自由詩606-1-7
ジパング- たもつ自由詩606-1-5
初詣- たもつ自由詩5206-1-2
リモネン、セプテンバー- たもつ自由詩11*05-12-31
冬の円盤- たもつ自由詩1305-12-29
白球- たもつ自由詩705-12-24
- たもつ自由詩305-12-23
- たもつ自由詩205-12-23
イブの夜明け- たもつ自由詩505-12-21
- たもつ自由詩1105-12-19

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