台所で玉子を割り
箸で溶いて
フライパンでバターとからめた


食卓であなたと向かい合い
それを口にふくんだ時 はじめて
涙が溢れてきた
  (お前も卵にはなれなかったのだね)

 ....
きみにとってぼくがそうであったように                   
ぼくらにひとつの指針が ....
彼の生家へ行った

仏壇のある部屋に通された
彼の寝ていた部屋だ
私の寝ていた部屋には 通されなかった

彼の母の母に 手を合わせる
「最近髪がよく抜けます」と報告
彼の母が
「疲れ ....
半身透明のガラス窓の向こうで視界が勝手に傾いて
電気スタンドを次々を倒して
薬瓶の入ったポケットから取り出した丸い地球の
模様を虫眼鏡で確かめていきます

立ち上がった椅子の前でテレビの ....
日本の冬はなんともはやうそ寒いし
不景気の師走の街もうっとうしくて
仕事らしい仕事もほとんどないし
飯島さんのせいでバルザックによみふけって
『従妹ベット』おもしろくておもしろくて
ユロ男爵 ....
ねむれ。
胎児のように、ねむるがよい。
せいけつなみなれた風景の、
すこしばかりの変化など気にせずに。

あわれなものだ。
マルチメディヤとかいうものに
おかされてゆく母胎の中では、 ....
ワイパーを身体につけたんだよ
ネジでさ、おへその穴に固定してね
勤続十五周年だもの
いろいろな人が去っていったもの
自分へのせめてものご褒美だもの

憧れていたんだ、ワイパーのある ....
起きたら
三島由紀夫だった

下唇を噛んだら血が出て
三島由紀夫の血はこんな味なのか とか
白くて小さめの歯は けっこう硬いのだ とか

会ったことないのに懐かしむ

せっかくだから ....
コーヒーをいれました
二杯
一杯はわたしのために
そしてもう一杯はあなたのために

並木のイチョウは黄色く色づき
風が吹くと何かの音をさせる季節
けれども窓は閉じられていて
見るこ ....
朝 通勤途中の人に
夜 犬の散歩をする人に
僕は 笑う

会社では
「あなたは愛されて育ったでしょ。」
と よくいわれる

僕は 生まれてすぐ人に預けられた

母に 社割で 花柄の ....
(あ)


っという間もなく
それはもう

ではなかった

語られることのないおとぎ話は
ただ
さらさら
さらさら
と音めいていて

僕の両手はいつも
掴まえることが ....
今、NHK教育で「ハイスクール・ウルフ」を観ながらこいつを書いている。なんであれほどのアホ・ドラマをNHK教育でやるのだろーと前は疑問に思ったこともあったが、今はわかるよーな気がするぞ。あれは、(非常 .... ほの暗い駅
列車の中で一点を見つめている
あなたの眼差しを見送る

”お気をつけて”

その一言だけが伝えたかったのだけれど

ベルが鳴り止んで動き出したのは
列車ではなく
ホ ....
にんぎょうをひろいました
どろをきれいにあらって
あたらしいふくをきせて
るぅ となづけました
おなかがすいたというので
くだものをかってきて
かわをむいて
るぅ となづけました
 ....
途方もなく繰り返される通勤という愚行
なんとか自由になろうと編み出した歩行
いまでは神保町から西新橋まで徒歩強行
満員すしづめと戦いながらの空しい思考

電車と速歩各一時間でストレス解消成功 ....
父はつまらぬ魚屋でございましたが、係累は多うございました。
たいそう古くから魚屋を営んでいたと申します。
けれども嫁はどこの馬の骨ともつかぬと祖母は母を貶めました。
わたしは母の係累をひとりも存 ....
東京駅の地下街で倒れた

「わかりますか?」と問われ

わかっているのは君のことだけだったので

「ラ・フランスは長野の特産」と、さっきわかったことを答えた。
まだ若かった三十年前、薄っぺらいクラシックラルースをテクストに辞書と首っぴきで
ランボーを読み、痴がましくもその全訳を夢見たものだったが、十歳の少年が「金利生活
者になりたい」などと書いているの ....
[目ざめている]

朝からずっと
手のひらを見つめる
遠くのほうで
蛙が鳴いている







[祖父]

耳が遠くなった祖父は
海に似てきた
くりか ....
ましかく な


つち の
少し 上
ころっと

笑ったの

沈む
柔らかい

折り畳まれた


流れる 
朝 
ひ 
自由になりたい
自由になりたい

っていうのが
口癖だったわけ

そしたら朝起きたら
翼がついてたわけ

そりゃもう嬉しくてね
飛びましたよ

ぐるぐる
ぐーるぐる

で ....
髪を結い

自分ではなく
     君を
縛っていたのだと
     気づく
誰がなんと言おうとも、私は三流怪奇詩人でありたい。インターネット上において、私は、ポエム書きのパキーネだったり、リリック&ことばあそび書きのりりと☆だったり、連作詩書き兼マルクス主義フェミニストのルク .... 真っ白な画用紙の
その真ん中に

僕は

しま

と書いた

画用紙の海で遭難した船乗りが
泳ぎ疲れないように

ある日、画用紙の海で遭難した僕は
後悔することになる
 ....
季語は流通する
つんのめりながら流通する
枯れ野を越え、遠山を越え
関東平野を越えて流通する
人から人へと流通する

ある時は雪をかぶった
実南天のように可憐に
ある時は水辺に咲く
 ....
夏の空には白い雲がながれ
暗い緑色の湖にうつる木々
幼い想いを秘めた草いきれ
揺れて動く昆虫の青い狂気

母と若い二人の姉とぼくを
残して夏の日父親は死んだ
集まった縁者は皆知らん顔
 ....
 この頃 冬といっても
 僕の国や
 何も知らない人達の国では
 ギリシャ世界のアネクメーネのように
 どんなに寒くても
 明日への蓄えがなくても
 火の点し方さえ知らなくても
 飢 ....
「絶対」とか
「歴史に残ります」とか。

たくさんたくさんもっといろいろ
ナニかを見ていれば

そんな言葉は口から出ないハズだ
震える指先が凍りついて
いつか口に含んでも動かなくなったとき
幾度も自分を納得させる言葉を吐いた

私は人より多少不自由なだけ
壊れた右耳は機械の力で補える
動かない指先は動く片手で補える ....
古本屋の女主人は
若くて
美しくて
両の目の間が人より少し離れている

本をめくりながら
チラリとその方を見たりすると
何故自分が生きているのか
時々わからなくなる
岡村明子さんのおすすめリスト(178)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
月のもの- 石畑由紀 ...自由詩1304-1-24
きみにとってぼくがそうであったように- よねたみ ...自由詩1204-1-23
帰郷- 山内緋呂 ...未詩・独白12*04-1-19
夕闇ガラス- あやさめ自由詩504-1-17
浮気のバラッド- 狸亭自由詩204-1-17
ねむれ- 狸亭自由詩404-1-15
ワイパーのある生活- たもつ自由詩2204-1-15
服と裸- 山内緋呂 ...自由詩36*04-1-5
テーブルクロス- たもつ自由詩803-12-26
笑う人- 山内緋呂 ...自由詩7*03-12-24
「あいうえお」(「五十一のデッサン」より)- たもつ自由詩11*03-12-24
カテゴリについて(二流詩人7つの条件補遺3)- 佐々宝砂散文(批評 ...9*03-12-23
発車ベル- たもつ自由詩3203-12-18
るぅ- アンテ自由詩7*03-12-17
歩行による思考の試行_- 狸亭自由詩403-12-17
ゆうこく- 佐々宝砂自由詩7+*03-12-17
わかった- 山内緋呂 ...自由詩6*03-12-17
自己の言語回路からの自由へー九鬼周造著『日本詩の押韻』私解ー- 狸亭散文(批評 ...1803-12-12
目ざめている- 青色銀河 ...未詩・独白503-12-12
笑う_船- 砂木自由詩11*03-12-11
煙草- ミサイル ...自由詩2403-12-11
- 山内緋呂 ...川柳803-12-9
二流詩人7つの条件- 佐々宝砂散文(批評 ...30*03-12-9
- たもつ自由詩803-12-8
季語は流通する- コンパス自由詩303-12-8
五十三回目の夏に- 狸亭自由詩503-12-8
冬越し- AB(な ...自由詩1003-12-8
偏見へ偏見(食券制なので返券も可能です。)- 山内緋呂 ...未詩・独白4*03-12-6
指先と神様- 竹節一二 ...自由詩503-12-6
- たもつ自由詩903-12-5

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