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水面をゆらしながら
初夏のかぜが吹きすぎる
こいびとの手をひいて
堤防をころげた
草についた水滴はあまくひかる
さかなが跳ねてぱちゃんと音をたてた
はねまわる ころがる
だきしめる ....
震える指先が凍りついて
いつか口に含んでも動かなくなったとき
幾度も自分を納得させる言葉を吐いた
私は人より多少不自由なだけ
壊れた右耳は機械の力で補える
動かない指先は動く片手で補える ....
ねむるためのよるに
ねむらない
とかすはずの砂糖を
とかさない
珈琲は苦いほうが目に痛い
肝油ドロップをふたつぶ口に入れて
つくりかけのシャツをつくりきる
かたづかない部屋に
....
よるはわたしをまたず迫ってくる
気がつくとあたりはくらく
わたしは電気をつけずにふとんにくるまる
ひるとよるの境目が
きいきいと鳴くおとでめをあけると
よるが目の前に立っている
わたし ....
おやすみなさいとゆめをみない
おはようとめがさめない
こんにちはとてをふれない
さよならとふりむけない
しらないうちにわたしは
がらがらごえのばばになり
ひとりきりでさくらのしたに
ねむ ....