やっと唄えるようになった16人が
唄った歌は
たくさんの人に向かって
中空を漂っては消え
漂っては消えてしまうので
なかなかたくさんの人たちには届かず、
僕たちはもう一度中空に向かって唄っ ....
いつか やってくると
願っていた
ゆめみた ガラスの靴
わからずに 足にすれば 先があると
いきつけると 信じていた そんな
昔話が揺らぐ あたしの
街のかたすみ靴物語り
      ....
「それはダメ!」
 そんな声を出してしまったものだから、いぢわるな彼はますます面白がって、手に持っているノートをパラパラと眺めた。
「うわー、きったねー字だなー、いつの?」
「十五歳の時の」
 ....
嘘つきたくて
小柄な爺の世迷い言

小僧よく聞けこの俺は
15の時には家出して
街から街への放浪暮らし
幾度も幾度も死にかけて
山の上から街を見て
谷の底から月を見て
たどり着いたが ....
寂しさの夜を歌おう
ものの寂しさにいつも
消えていくその歌はない
君へと捧げるこの歌を
さび付いた工場の跡地から


寂しさの朝を歌うから
寂しさの歌にいつも
何もあらわれるものすら ....
いつも空に広げて歩いていく
僕は歩いていくということを生きていこう

この胸にあらゆる悲しみをそうすれば
胸に消えていくものたちがのどかな世界をいつも

音もなく広がっている
僕にはその ....
すっかりと丸くなった母の背中を押し込んで
いく、とバネのように弾んで台所へと消えて
しまった。庭の隅で父は、苗木のままの紫陽
花を随分と長い時間見つめている。時計の針
はここ数日で速くなった、 ....
自分を解放しようとする
きりがないから眠ろう僕は
そうすることが一番だろう
僕をそんなことに考える

起きている幼い頃から
その声がしている
海辺に人が立つ
人々の街に

自分を考 ....
渚を歩いていたときのことだ。

波打ち際に、細くなめらかな黒い曲線が描かれていた。
それは波の姿を象って視界の及ばぬ範囲へと延々と続き、
足元に目をやれば無数の点の集まりで、なにかの種を思わせ ....
世界は円で完結する




民族も
思想も
姿かたちも




些細な異差の
凝縮された拡大




あなたのどこかが
もしも欠けてしまったとしたら


誰かと
手をつなぐとよいのです



 ....
5歳の僕は風の中にいた。
底の町から吹く風は暖かかったが、
上の町から吹く風は冷たかった。

底の町から吹く風を顔面に受け止めて
膨らんでゆくと
僕は虫になって舞い上がった。

谷の反 ....
わたしがたたずむゆりかごは
なにものよりもあたたかく
やわらかいものですから
たとえば
すずめのあしおとが
みみもとでなったとしても
わたしはきづかないことでしょう
あさ ....
玲瓏の雲がたなびく
岸辺
ゲノムを運び終えた生き物たちが
崩れた山のように
積み重なって倒れている

おびただしい数の
生き物たちの目や口や鼻
牛や馬に混じって
人の体も横たわってい ....
{ルビ東風西指=とうふうさいし}七日間

見えない時間に手を引かれ

終りと始めを繋ぐ日に

白猫、黒猫、青猫は

私を人だと思わない

私の穴は猫達の誰も知らない隠れ{ルビ舎 ....
{引用=故モーリス・ベジャール氏に捧ぐ}


魂が徐々に

輪郭を帯び

しなやかな闇の

波を抜けて

姿をあらわす


共に

時の砂はおち

動脈をめぐる
 ....
夜は静かだろう

なんて思うのは
私の耳がどんなに外に傾いているのかということ

胸のうちでは本当は、どれだけ沢山の働き蜂が、働き蟻たちが

せわしく流れていることだろう

私の子供 ....
きのう
飛び去った飛行機のように
蛾が震えていた
取り残された最後の技師が
数値を記録し続けている
薄汚れた窓硝子の向こう
森を走っていく少年あるいは少女の白い素足が
境界を飛び越えなが ....
丘を走る老いたランナーの濡れた額
君は見たことがあるか
皺だらけの手に
まとわりつく子どもの手
を払いのけ
上手く駆けられるだろうか
疑問は
ランナーの背後に残されるのだ
最後に拍手
 ....
  ガラス越しに会いましょう
必ずしも世界を共有しない方がいい

わたしはこっちへ
         貴方はあっちへ

  それでも感情だけは疎通する

 わたしが笑えば
      ....
あなたに贈るこの花は
あなたの為に咲いている

あなたに気持ちを伝える為に
わたしがせっせと育てたの

毎日毎日水をやり
大事に大事に育てたの

一生懸命咲いている
花はわたしの気 ....
恋人たちが
裸になる夜は
計算が合わない
数が音に
なってゆくから

建築物の息づかいも
聞こえてきたよ
スポンジみたいな
緻密なリズム

さびしさの背中に
スプーンを落として ....
あなたは書かれた事のない手紙
いまだ出された事のない手紙
封を切られないまま
大切に言葉をしまい込んで


わたしはそっと考える
その言葉がどんなに心を震わせるかを
わたしは夢を見る
 ....
                090105


九官鳥を起こしてから
夜具をたたむ

昨夜、飲み過ぎてしまい
エスカレーターで蹌踉けて
危なく転落するところだった
すぐうしろの ....
砂丘から砂が流れて来たら
それは夜の始まり

私は眠る準備を始める
天井を通る赤い水流を
電灯から白い汁として引き込む
煤けた電球の先から、光りながら
とめどなく溢れる白い液は
黄色い ....
かもめよ、教えてください
埠頭をかすめて海に消えたひとりひら
海雪の行方を

海峡の雪雲に隠れたプロキオンだって
待てば姿をあらわすでしょう
その、抱く思いに揺れていたとしても

 ....
きみはひどく咳き込み
すぐに踞った
今日は風がつよいね
手をつないで
髪を
なでた





すきだよ


あまく
湿った声は遠く
いつも
おびえているみたいだった
 ....
空色のスモックを着て
如雨露も空色だったから
お空のかみさまになった気分で
プランターに雨を降らせた

ミニチュアの森を作り出す
背丈の小さなこのぐん生が
何という名前を持つのか
お空 ....
音楽と光が止み
(ひそ、ひそ、)
雪など降らぬ、ましてや星など降らぬ
最初から諦めて、無数の
ただ、咳が
ただ、冬が
最初から諦めて崩れ落ちた白い灰の気配で
見知らぬマフラー ....
 翼を張ってゆくものよ

 あたたかな地に
 まひるの陽に
 なびく
 しなやかな草たちに

 昼から夜、夜明けから夕べへと
 金色の弦が鳴る
 翼は 風を抱く


 ....
忘れていって
生まれてまた
呼吸を覚える

雪にのまれて海を探す
枯れた花が埋められたら
そこからはもう逃げ出すしかない
白の中をゆっくりと
その中から生える手に足をとられても
白の ....
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