{引用=ていねいに、することは、
祈り、をささげることに、
にている、
すばらしいものが、
みな故郷にかえってしまうひに、
売れのこったパンのように、
かわいているのは、
だれのおもいで ....
わたしをゆるしてください
そうやって
かつてわたしのかたちをしていた
うろこをはいでゆく
ときにはたてのようにして
じぶんをまもるためにまとっていた
うろこをはいでゆく
そん ....
シーサーが私を見ている
深い夜 小雨の中 家に帰ると
玄関前に 毛並みの揃ったシーサーが座っていた
私を見ているのはシーサー
静物は 私を洗う
....
泥沼
暗い泥の中 うずくまる
わたくしの想いは 気泡になって
ゆっくりと のろのろと 浮き上がる
底のない 沼から ゆっくりと 浮上する
ドロドロの水圧に 耐えられるように 螺旋に
....
小さな傷には小さなばんそうこうを
大きな傷には大きなばんそうこうを
深い傷には情けないほど無力だけれど
ポケットに入れておいても邪魔にはならないはずさ
自分に使ってもいいさ
誰かにあげてもい ....
かさ重なった
野良犬のむくろに抱かれ、
牛乳を飲んだ。
嘘をつく唇は
ふる震えてる、
蛋白質。
汗が乾いたあとの
つめたさ ....
{画像=110315220914.jpg}
*
黒い身体をください。
身体に暗い闇を纏い、
心を閉ざし目を瞑るのです。
黄色い帯を体中に塗ってください。
真っ赤な星をそ ....
描き方は二つあって、
対象を直接に具体的に描くか、
対象を囲む他のものを描いて間接的に浮き彫りにするか。
事態に対して皆がする運動について、
それが是か非かという当否、評価 ....
膿んだ傷のある腕を
長袖の服で隠して
調子の外れたハミングは
いつでも古いシャンソンをたどって
彼女はマリーと呼ばれていた
マリアンヌみたいなコートを
いつも着ているせ ....
おやすみなさい
お手上げ 手に負えないよ あなたのせい
おやすみなさい まあお聞きなさい
赤子が泣いている
泣いてる事を伝えたいのだ
泣きすぎて泣き声しか聞こうとしない
顔をぺ ....
{引用=―― {ルビ東風=こち}吹かば 匂ひをこせよ 梅の花
主なしとて 春な忘れそ ――}
行かないで
行かないで
こんな恋文なんて要らな ....
メンテナンスを終えた
体から
さらさらと
水が流れる
この冬溜め込んだ
迷いや悔恨
さらさら
さらさら
流れてゆく
体にも
四季がある
こうして
新しい季節 ....
触れる以上,握る未満。
相手の気持ちを推し量るように,自分の気持ちが出過ぎないように。
お互いの,開いた手にできる指の隙間を埋めるように。
離れたくないし,離さないし。
そっと ....
レグルス
黎明
山笑う
焼畑
黄昏
立ち尽くす
鈴虫
共鳴
耳留まる
潮騒
ざわめき
咽び泣く
人は誰もダラダラと
洟が出て
人は誰も咳くしゃみ
繰り返す
ちょっぴり寒気して
体温計ったら
38度5分も熱があるだけ
人は誰も会社学校に連絡して
人は誰もただひたすら
布団で寝るだ ....
みしてよ と
いうのは あかくなる肌が
ことばで 染まるようで 愉しい
いやいや と
いうのは ことばが 手のように
なぞる心地が とても良いから
ガキのころの写真を見ていると
お前はいっつもぐっしゃぐしゃの顔で泣いてるか笑ってるか
どっちかで
俺は大体彼方を睨みつけている
何でってお前が生まれて
お兄ちゃんたる俺はカッ ....
(笑)が便利なので、
この頃ひどく
多様している。
ダイエット中なの(笑)
掃除はしてるよ(笑)
彼氏が欲しいな(笑)
大体の言葉は
これでぼやけて
角が立たない。
あの ....
日差しのない日に どんなことをするべきなのか
私自身の体は 言葉も無くしている
見ていたのだろう 風の流れる様子を
人は ただ そこに流れているだけだった
色々な色の車を 見た
私は 涙 ....
ショーウインドゥの中にはド素人の描いた
ローランサンの贋作が飾ってある
どんなに遠くから見ても錯覚すら起きない
紫と赤の花弁の中で白い少女が
脂蝋化の死体さながら微笑んでいる
車のフロントグ ....
{引用=それを、聞きのがして、
提燈アンコウのように、ひかり、
ただ、
春を、まっている、
鋏をいれて、ほつれをひろげる、
物語がはさまれる、
この浴槽で、犯行におよんだのだ、
強い、断 ....
網戸に
みっしりと
あたしの嫌いな
蛾が
はりつている
義母が
買ってきた
生貝を
食べる
喉元に
違和感を覚える
吐く
あたしは
貝殻の ....
逆立ちする樹は
王子の星を三本で覆い尽くし
そのうち星は崩壊
逆立ちする樹は
なぜか地球の一角に
サンテグジュペリの祖国の支配
沢山の奇跡の巨大な島
地上の奇観 バオバブの森
漂流 ....
ざわざわ
ざわざわ
ざわざわ
広い校庭を埋め尽くす生徒たちが
ざわざわ
ざわざわ
ざわざわ
騒がしいから注意したい
だけど今日も見わたすかぎり
キミたちのほとんどの苗字が佐藤
この ....
以下、私の友人である故中川路良和君の処女作品集でもある『頭變木』所収の全詩篇です。
初対面より間もないころ、人には見せたことがないのだが、と中高生時代に書き溜めた作品をなぜかひそかに読ませてくれ ....
とうとう俺たちも大人と呼ばれる歳になって
なつかしい顔ぶれ集めて飲み明かした
乳歯が生えてる頃から知ってる奴らが
スーツで身をかためてさ
それぞれ何かを背負って道を歩き出した
い ....
汚すことを恐れて、
変えてしまうことを恐れて、
引っこめた寒い指を、
ため息であたためる。
好きで好きで仕方ないものには、
まなざしで触れるしかないのか。
言葉より目配 ....
水
渇く
飢える
水が
水が足りない
ペットボトルの水を
空中にぶちまけて
ふざけるなと一人唱える
この世には
上手くいかない事が多すぎる
渇く ....
すしを
いっしょに
たべにいく
かれしが
いるという
ことすら
あきらかになり
もはや
むりだと
わかった
100円寿司を
たべにいったり
するらしい
むり
もはや
....
不在のあなたに手紙を書こう。季節はすっかり夏になったと。
あの苦し紛れの日々は終わったと。
なだらかな背に流れる
夏の日差しは
存在の側から送る今生の別れなのだよ。
不在のあなたは私を苦しめ ....
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