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「ダックス!」
といきなりいわれた
ソファーでひっくり返って
ノビている姿が
ペットショップで見かけた
ミニチュア・ダックスにそっくりだという
あんなふうにやわらかい腹をムキダシで
無垢 ....
甘やかな
ひとさじの記憶を舐めたので
それにすがって
いまでも背負う
185センチをもてあます
トンガッテ戸惑う魂を


(ウザイ)
(ウルサイ)


五角形のつぶてを
吐き ....
ひとひら
  ふたひら


黒い水辺の
むこう岸


藍色の闇に
ふわりと浮かぶ


燈籠のような
花明かり


ひとひら
  ふたひら


うろこのような
 ....
階段をふみはずしたとたん
ガラガラと足元からくずれていく
ころがる立方体
白い平面につぎつぎと映る画面
バラバラになったコラージュのような
アナタの顔が散らばる


ダウンロードしよう ....
なだらかな曲線や
いびつな凹凸も
形通りに
そっと撫でてやると


こわばった起伏が
するん と解けて
一本のゆるんだ線になった


とたんに安心して
ぽろぽろ涙をながす
キ ....
指先ひとつでクリックするように
リセットボタンを押すように
ある日突然
消されてしまったワタシ


ひりつく喉の渇きも
どんより重い胸の疼きも
置き去りにしていってしまう
アナタは
 ....
「取れないのよ」
薄紫の煙草のけむりのような輪を
月桂樹の冠みたいに
ぐるり と頭にのせて
隣りの席でカノジョがボヤいている


アノヒトのことが
頭から離れないと言う


そう ....
コンコースに響く
着メロの不協和音


スモッグの下
クラクションの多重奏


熱帯魚たちは
濁った街を泳ぎ


あちこちに転がる
温んだ水にまどろむ


浅い眠りの透 ....
誰の胸の奥
こっそり巣食って
ほくそ笑む


(オイシイノダヨ
奥底のとろけた秘密
舐めたいのさ
なめらかな偽善)


封印された
マメ粒ほどのヤツは
青むらさきの
促進剤 ....
ひとひら
白い花びらのように

ひとひら
優しい言葉のように

私の髪に 肩に
静かに舞い降りてくる


思わず手を差し出したら
ひとひら
掌の中 ふわりと落ちた


こ ....
闇の中を漕ぎだしていた
引きよせるのは
奈落からのとろりとした旋律


あらがわず
身をゆだねることの心地良さ
どよんとした
澱に堕ちていく意識
にぎった櫂がゆっくり波紋を描く

 ....
親指でしか語れなくなった


指先が覚えてしまったのだ
無機質な凹凸に触れるだけで
整然とした文字が手に入ることを


まっさらな紙の緊張や
そこに落ちるイビツな文字
との格闘も捨 ....
夜をかさねた底で
かすかに聴こえてくるのは
淡くほどける
ひとしずくの
きらめくゆらぎ


一定のリズムを打つ心拍
冷酷に刻まれる一秒


整然とした規則の中で
とぎすまされた ....
近づくクリスマス・イブに
街は華やいでいる
通りを歩くカップルは
皆 幸せそう


艶やかなイルミネーション
眩しいツリーのショウウインドウ


きらびやかな中に
とり残されてい ....
とうりゃんせ と唄われた
神社の裏手
一本の老樹が
わずかに肩をいからせながら
両手を広げ
しどけなく枝先を垂らす


関所と謂われたこの地で
何のためらいもなく
敷きつめられた白 ....
教室の窓から3列目
頬杖ついて黒板を見る横顔に
囁きかけて…って思ってしまう


第2ボタンまで開けた白いYシャツ
肘までまくり上げた袖から続く
長い指の爪の先まで見つめてしまう

 ....
月の清けき夜 
折からの澄んだ風が
波のように襲ってくる感情を
鎮めようと
湖面を撫でるように
一陣 通りすぎる


暗い森影からの
ふつふつと湧くざわめきにも
耳をかさず
震え ....
おめかししてまいりましょう
からす瓜もほんのり色づいて
アザミの花が熱いため息ついたから
あなたに逢いたくなりました


おめかししてまいりましょう
赤いカエデに負けないように
くちび ....
はにかんで笑う アノコの
やわらかな心のヒダを斬りきざみ
助けをもとめるノドブエを噛みくだいた


アノコに突き刺した
痛みと悲しみの
鮮烈な返り血を浴びたとたん
それはドス黒くキミに ....
森林の中
ひっそり潜む
小さな月


あさい眠りの
はざ間を泳ぐ
黒い魚影が


ゆらり と
身体をしならせ
ついばんでいく


冷たい魚の接吻に
吸いとられていく
 ....
さあ 耳を澄まして 心を静めて
金木犀の香りにだまされないで
こちらをじっと見つめて
あなたの手のひらにのっている
この罪は何の罪?


そう 口を噤んで 囀り止めて
秋桜の可憐さにま ....
ブラック・コンテンポラリーのリズムに身を委ね
カモミールの香りが漂う部屋の中
あなたへの想いだけが
ゆるゆると飽和して溶け出していく


手をのばして 重ねて 見つめあう
濃密なアトモス ....
まばらな枯れ葉を飾った街路樹
細い枝先が交差して編んだような
小枝の投網にひっかかり
捕われてしまった晩秋の月


きっと月の頬には
網目の痕がついているだろう
憂鬱な月の溜め息が
 ....
         エブリデイ Hightになって

         キーボード ころがり落ちる

         All night long デミニッシュの不協和音

        ....
孤独な夜の狭間に
行き場を失った
言葉たちが
ゆらゆらと
哀しく宙を拡散していく


握りしめた想いが
指の透き間から
硝子の粒子となって
サラサラ零れていく


染み入るよ ....
20世紀の赤黒い染みが
今でも時折りフラッシュ・バックする


黒い大きな瞳が見たのは何か


虐殺か
暴行か
母の死か


彼らの瞳の奥の悲しみを
計り知ることはできない
 ....
神が引きあわせし
おぼし召しか
地下に沈んだ
鈍色の界隈の中で
二つの魂は出逢った


強く惹きあう
その穢れなき愛は
至高の芸術を
求めあい


深く
深く
蒼い情感の ....
            はり裂けそうな心を

            そっと胸から剥がして

            激しいROCKに浸してみる

            ドラムの振動に
 ....
少女の面差しで
はにかんだ笑顔で
やさしく騙してあげる


上目遣いで
しなやかな手つきで
やわらかく招いてあげる


ふりむいた横顔
まばたきする一瞬
瞳の奥の冷めた光に
 ....
          水に挿した青磁器を彩る

          切り裂かれた花々たちが

          私に{ルビ現在=いま}の終わりを告げる

          過去の栄華を断 ....
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