満ちていく孤独
渡 ひろこ

孤独な夜の狭間に
行き場を失った
言葉たちが
ゆらゆらと
哀しく宙を拡散していく


握りしめた想いが
指の透き間から
硝子の粒子となって
サラサラ零れていく


染み入るような寂しさが
背後から
ふわりと包むように
私を抱きしめる


沈黙を守るケータイ


時間だけが
素知らぬ顔をして
通り過ぎていく


見放された空間に
闇だけが
色濃く降りて


足首から
だんだん胸の上まで
ひたひたと
満ちてくるから


孤独な夜の魚になって
流線型の寂しさで
隠れてしまった
言葉たちを
ついばみながら


ティアドロップの海を
身体をしならせ
ゆるり と泳ぐ

寂しさの錘で
深くもぐったら
海の底へ置いていこう


貝になってしまった
あなたのアドレス



自由詩 満ちていく孤独 Copyright 渡 ひろこ 2007-09-26 19:54:07
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