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色鳥の彩(いろ)美しき姿かな
虫の音は生命(いのち)の調べ闇照らす
彼岸花畦道の縁飾りゆく
日常の喧騒忘る花野道
秋の燈やひとり静かに瞑想す
赤薔薇の 散華重ねる 涙雨
雨蛙 読経は要らぬ 世話と知れ
不如帰 鳴くは遠くに 聞いてこそ
徒花に なるを待てるか 鬼灯花
よの明に 消えてなくなれ 蛍の火
晴れの日の白々しくてカーテンを引く
昏く雨降り続きレインコートの黄鮮やか
清水のように靄 窪地に溜まり溢れて
花のなくて12月の太陽
ビルの林立と車窓 都市生きて
朝霧ひっそりと都市は遠景
うつらうつらまどろみの泉湧く
夢博士淡い樹木と補虫網
読書してシナプス ....
昼食えば仕事が終わったかのようで
猿股の 月の輪熊 鎌倉で くすぐられる
最新型 通信衛星 カマイタチに 苦しむ
散歩する 罪深い 完璧主義の クラムボン
桜咲く 釣堀で 確認された {ルビQ=クー}資料
裁判 ....
片恋のボタンはずして息をする
坂道を二人乗りして夏が行く
できたての朝は真夏のゼリーかな
水族館ガラスに映るあなた見てる
砂浜の足跡がまた波に消え
潮騒の残響に潜む君の声
父さんが履歴書を書く春炬燵
ホテルXOの看板黄砂降る
ままごとの包丁洗う万愚節
春昼やゴム手袋が落ちている
歯ブラシを真っ赤に染める受難節
小橋中橋京橋渡る花疲れ
....
年下の夫に穿かす白タイツ
闇鍋や阿部定を呼んだのは誰だ
涙目で火事を見ている阿部サダヲ
ほっぺたのにきびをつぶす初鏡
初夢の母がガメラを噛み潰す
恋愛に逃げ場はないぜ貼る ....
ピアス穴に通すえんぴつ去年今年
門松に祖父の植わっておりにけり
探偵は白紙の賀状握りしめ
雑煮餅世間知らずでござんすよ
この町は海市に合併するんだとか
春らんまん桃色うん ....
薄い青風と坂とアラームと
始まりは 皮肉な光と 脱力感
踏み切りが私を呼んだ白昼夢
時間には逆らえないねと十六時
夕焼けは君が言うほど赤くない
食事なら色彩欠如の晩餐会
....
空泳ぐ魚が水面に映ってる
せせらぎの声が今日は風邪ぎみで
光る瀬に低空飛行の戦闘機
居眠りの私を蟻が巣へ運ぶ
川の瀬に溺れる私の夕まぐれ
さようなら魚が跳ねて言いました
苔むして 夏の日足に 映える石
雨やみて雲雀の飛んだ水たまり
何を見て驚いたのか鯉のぼり
紫陽花がたくさんのいろ人みたい
桃をむく香りと北へ寝台車
空目指し向日葵たちが背比べ
アリが来てわたしの足を ....
唾を飲む。
ごくり、と耳に響いてく。
目を閉じる。
あの日の空が見えてくる。
聞こえてる。
君の歌声今もなお。
声をだす。
浮かんだ言葉をひたすらに。
泣いてみる。 ....
しとしととヒエイ霞てつゆの雨
青田には頼もしげなるつゆの雨
梅雨の雨降りくる中を歩みゆく
スイカ玉 抱えた君が 懐かしい
雨に濡れ紫陽花のため息ひとつ
思い出に指先染めて蛍草
ヒツジグサ夢の{ルビ水際=みぎわ}でまどろんで
ジャスミンの香りに偲ぶ「愛の通夜」
向日葵やひとり見送る日 ....
雨降りて 蛙も宿りに 帰りたり
窓枠に 狭しと並ぶ 白きもの
紫陽花の 葉の裏見れば 蝸牛
長靴と 黄色い傘の 帰り道
水たまり ....
梅の咲く 古都にうまれし 新しき珠
夏葱や魔法使へた少年期
麦藁帽誰かの思い出波に消ゆ
夏草や旅の鞄に陽が落つる
梅雨の晩送られし日々の紙一重
夕立の山小屋のよな紙一重
麓から頂上までをなぞる指
折り紙を折る指に癖あらわれり
夏服を脱いで蜉蝣乱舞せり
青簾恋匂い立つ畳の間
青葉の日プロコフィエフ午後一時
詩が好きで詩学が好きでもみじ緑
近江富士まさおな琵琶湖子と共に
空わたり沈むまなざしみずたまり
二季またぎそよぐ野の墓みずたまり
何も得ず何も見ず居るみずたまり
輪を{ルビ描=か}かずめぐる生の輪みずたまり
....
五月雨に映えて{ルビ清=すが}しや草緑
散歩道寝そべる蛇に邪魔をされ
木漏れ日に透かして緑の影模様
憂鬱な世界を壊せ青嵐
吹き荒れる緑に心さらわれて
....
散ることを知らずに咲けぬ霞草
この皿は一人暮らしの味がする
万華鏡最初の絵柄はよかったのに
一輪挿し咲いているのは違う花
地下鉄の窓の鏡が怖いだけ
あくる朝アドレス帳 ....
夕陽がしぼんでゆきます砂時計
冷凍庫いつかの恋がフリーズドライ
夜景はね化粧が下手ねとすっぴんで
片恋はまた雲となり俄雨
言いそびれし言葉のジュラ紀の地層調査
またあした ....
つぼみですあなたの前では枯れるまで
曖昧は曖昧だからやさしいの
恋列車整備不良で停止せず
さいたま港そんな港は知りませぬ
残された飛行機雲を撃ち落とす
あなたといふ三文字 ....
愛されてアイスクリームは溶けるまで
生きるため乗りこむ船よ浮草よ
ふろしきに包まれしものの声を聞く
地図になき地を吹く風との対話あり
野に蒔いた手品の種の発芽待つ
アラー ....
桜散りすでに秋の風たちぬ
にせもののあなたと過ごした月見草
朝顔のつるに巻かれし夏の園
脱皮した蝉のぬけがら捨てられず
キセルしてまでも行きたい終着駅
靴底に見つけた春の ....
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