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きみの吐く
藍色の空気につつまれるたび
わたしはぺしゃんこになる
圧縮されたわたしは宇宙をとびかう電波みたいに
ひらひらと空を舞い夜を見渡して
みどりの泉でからだをふやかし
きえない炎 ....
よそ者は居場所を選べないので出口に着いたのは間違いかもしれない。窓越しに見る飛ぶ影に命の区別がなかったように、ぶつからずにはくぐれない空を首で抱えて、じくりとすべる頭にかぶった布の織目も知らないんだ。 ....
扉が開く
扉が閉まる
最後の客人が去って
君の誕生日は終わる
ソファーに残ったやさしい温もり
弾けないピアノ
吸えないタバコ
ところで
光より速いものが存在しないのならば ....
あなたの写真を 一枚も持っていなくて
あなたに よく似た絵があったから 売ってもらいました
ありったけの貯金をおろして 買ってしまいました
めざめるには あまりにながく
ねむっている おとこの
みみもとで しんみりと
おんなが うたっている
うしなわれた ことばで
いつか君の病気が治ったら
どこにでも行こう
そのときまでに俺は
いろんなところを見ておくから
いつか君の病気が治ったら
カンパイしよう
缶ビールでいいよ
もう薬はいらない ....
夜に開いた
隙間を
埋めるように
雨の旋律が
耳に届いて
孤独にいる者の
遊び相手と成りはしないだろうか
滴の奏でる音が
たった一人の為の
優しさとなって
降り注いで
あなたは雨 ....
せかいの おわりに
きみとだけは いっしょに
いたくないと いわれたら
がんばって
せかいを すくう
逸れて
墨糸が口付ける
臨界
場を
逸れて
....
ゆうがた
ひとびとの背がかなしい
ひとびとの背を超えてゆく
魚がかなしい
水が均衡する
まずめどき
幻想の水をしなやかに
幻想の魚がおよぐ
しのびよる色が
....
僕が働く村は 小さな漁村で
大工仲間のゴルカ君と ベンチに座ってお昼ごはんを食べる
ゴルカ君の奥さんのロシェさんはお料理の先生で
ゴルカ君の持ってくるお弁当はいつもキラキラしている
ゴ ....
牛屋は牛食わず、とか
わけの分からないことを口走りながら、
牛に呼び掛ける詩を書いたことがある。
「ホルスタイン。
詩を書きたい。
ずぶ濡れのお前に向かって。」なんて、
決心にしては妙 ....
背中がまがっているよ
葉巻が落ちたよ
おじいちゃん
手を 貸すよ
おじいちゃん
買い物のビニール袋が
たくさんだよ
おばあちゃん
手を 貸すよ
おばあちゃん
....
赤い煉瓦で出来た
縦横無尽な通路を
あなたと手を繋いで歩く
空は青くて
遠くて
でも
どこからが空なんだろうと
ふと思った
あなたは背が高くて
背の高い男の人と
あまり付き合ったこ ....
あおしんじゅの森は
樹海の森だったし
あたしはその結晶を とても美しいと思った
粒の小さい 白い涙のようなそれは
体に悪いと知っても
飲み込み続けるよりなかった
ゆるい雪のよう ....
なので、
朝食にはレモンを選びました。
細い腕で積荷を忘れられず撫でる、
あなたにはぴったりだと思うのですが。
あどけない思い出は、見ない振りで通り過ぎ
ることを許してくれな ....
ほのぼのした顔で
有るったけ ふみにじり、
思う存分に略奪して
走り去ろうと
する
と、
足に纏わりついた母
「行かないでおくれよ
なんて云うので
「ああ、そう
お腹 ....
画布一面に
描かれた椿の
色彩の深みは
凍えた空を思わせて
ひとすじの風にさえ
枝葉のさざめきが
聞こえてきそうであった
重なりあう緑葉の中に
たった一輪きりでも
咲き誇る花は
見 ....
怒りの顔を持ちながら、声をあげないすべてのもの。(ルネ・シャール)
それぞれの季節に、ハンカチはそれぞれの弧を描いて揺れた。
敵意を抱いた哄笑のしたで、
あらゆる死のイマージュを飾 ....
桜の花びらが散り
グラウンド沿いにつくられた遊歩道に降り積もる
つよい風が吹いて
目を瞑るしかなくて
吹き飛ばして
恐る恐る目を開けると
視界いっぱいに花びらが激し ....
あっぷるいろに、そまる
いみたちをよこめに
とりは、うたう
はなも、うたう
すなはうたえないから
なみにこころよせ
わたしをみつめる
ちからづよ ....
まがいものは 百年もたぬ
詩語は 意味をはこばない
わたしらは 修羅であるから
もとめあいながらも ついに
手を むすばない
曖昧だ
曖昧だ
あーいまーいーだ
私の位置がそもそも
曖昧って
いうの
と
喉に焼け付く
胃液の味を堪能し
駅のトイレの水を流す
涙
うずうずと流れ
あの星
美しいわ ....
本をよむわたしのよこで
母がりんごをむいている
わたしもうまくむけるようになったのよ
そういってわたしは
いっしょうけんめいわきめもふらず
休みなしでむき続けた
我にか ....
さらさらと、ワルツを集めてる
頭を垂れたワルツを
集めている
真冬を凝縮して
少し熱っぽい朧な
器官の彼岸に
赤や紫を
粉々にして
昨日の電話口から溢れ出した ....
なつかしい匂いに
ひたる冬、
寒さは
使い慣れたはずの指先に
疑いようも無いくらい
数をつのらせて
まもるべきが
すべて、に
なる
泣いてしまうことも
ねむ ....
こわれてしまったものがある
いつまでも続く夕暮れの中で
何も変わっていないのに
こわれてしまったものがある
見えるものは何も変わっていない
やっていることも 何も変わって ....
快速急行の扉にもたれるはりつく
体を支える一枚の板
堅いものはもろくもあり
安心してはいられない
となりに見えるレールがなめらかにうねっていく
滑らかな流れは
どこからやってくるのだろ ....
死んだ鯔が漂っている
ゆらゆら ひれをふりながら
近づいてくる 油の浮いた港の水を分けて
俺の思い出を裂いて
一漕ぎで 鯔はあきらめる
記憶の追跡を 死というやわらかな退廃を
この ....
5526℃の太陽熱は
約1億5000kmかけて地表に届き
夏にはいやというほど
冬にはものたりないくらい
ぼくらにその存在を感じさせる
ヒトの体温は
魚類には熱すぎて
触れる ....
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