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このからだの中に
海がある
真っ赤な血が
夜よりもくらい暗闇で
波打っている
今も確かに
沖のかもめが
今鳴いた
わたしの中で
確かに今
浜辺から続く道を
手 ....
カレーを注文した
一皿では足りないから
二皿注文した
けれど
食べる人が一人足りない
君が足りない
一皿のカレーを残して
私は店を去って行った
あの日
私一人 ....
機械の少年は
機械の少女に会った
機械のように恋をして
装置のように結婚して
遠く秋の空を眺めると
肌が乾いて懐かしい
あれは春だったのだ
二人はそう思うと
子供が一人
....
一つの時代が終わることを
想像もしないまま
わたしは一つの時代に育まれ
育んでくれたいくつかの人たちは
死んでいった
あの一つの時代が
今も変わらず続いていたならば
わた ....
あの日
あなたはひとりだった
わたしも
あの日ひとりだった
今はあなたはふたりで
おなかには
もうひとりいるのだという
わたしも今は
さんにんだ
....
あなたはわたしの
子ではないと
ある日母が言ったなら
その日から
またその日までも
子は母の子ではないように
自らの記憶を再構築し
それからつくられる記憶さえ
再構築しなければな ....
なつこさんが代休をとった
気配だけ
そこに残して
どこにいってしまったのだろう
お昼ごろ
今日なつこさんは
お休みだったんだね
という人が
かならずひとりやふたりいる
....
ばっぱが死んだよ
連絡がはいって
いくつかの列車を乗り継いで
たどりついた実家の居間のテーブルに
イクラの寿司があった
食べていい?
誰もこたえないので勝手に食べた
掌もあわせ ....
ぼくの街に
雪が降っていた
きみの街にも
雪が降っていたのだろう
受話器のむこう
きみが見上げた空から
言葉のない
声が聞こえた
そのひとの
本心があらわれた時
たとえばその人と
春に出会ったとしたなら
その時は
夏だと思う
わたしに遠慮なしに
草花は咲き乱れ
力のかぎり照りつける
太陽と
加減も知 ....
裏木戸が
閉じたり開いたり
冬の言葉で話してる
積もる
雪の音以外
何も聞こえない
意味の欠片さえ
さくさくと
家に帰る足音が
遠くからやってくる
もっと遠い
何処 ....
雪の上に寝そべりながら
ぼろぼろと落ちてくる雪を見ていると
それは錯覚なのだろうけれど
空をどこまでも昇ることができる
このまま
天国までいけるような気がして
目を瞑り
目を開 ....
その人のことを
空さんと呼んでいた
空さんは
だだっ広くどこまでも
青くなったり赤くなったり
涙したりして
人のようだった
空さん
時々丘の上から
呼びかけてみるけれど ....
十くらいはなれた
妹に
よく似た娘に
やさしくしてしまう
やさしくした後で
そのうかれた顔は何だと
誰かに言われたわけではないけれど
きっと僕は
そんな顔をしてる
もっ ....
今日友達がね、と
父さんに話しかけると
父さんの背中が
スローモーションみたいに揺れていた
揺れているだけで
振り向きたいのに振り向けない
奇妙な動きをし続けていた
ビデオが壊れた ....
夜空を歩いてたら
サンタクロースに会った
そのことを君におしえたくて
さがしたけれども
みつからない
君ははじめからこの世界に
いなかった気がしてくるのだから
不思議なものだ
....
おなじ水が
おなじ水のほうへ
ながれてゆくように
僕らは
さかなになりました
僕らはいつしか
濡れたからだで
水辺に立ち尽くしていました
はじめて会った
気がしませんで ....
無鉄砲な人ほど
やさしい人はない
人を撃つことの
痛みを知ってるから
無鉄砲な人ほど
ひどい人はない
人を撃つことで
守ることができたのに
社会は答えを
ただのひとつさ ....
ひとり遊びしてると
きゅうに孤独を感じることがある
ひとり遊び
という言葉を知らなくても
たしかに僕は孤独だった
夜遅くに
父さんが帰ってくる
忙しくて食べられなかった
と言 ....
仕事をもらった
知らない女の
角質を食べる仕事だった
女の足の中指は
親指より長かった
おれはその指のあたりを
重点的に食べたのだった
足の親指より
中指 ....
さわいでる
奪われたものを奪うため
あの山なみの
とても深いところで
秋の次は冬がきて
春はかならずやってきて
めぐりめぐって谷底を
ながれる夏の
水はもうな ....
獣たちがさわいでる
奪われたものを奪うため
あの山なみの
とても深いところで
秋の次には冬がきて
春はかならずやってきて
めぐりめぐって谷底を
ながれる夏の
水はもうなかった ....
atsuchan69さんの小川 葉さんおすすめリスト
(22)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
潮騒
-
小川 葉
自由詩
3
09-9-25
君のカレー
-
小川 葉
自由詩
2
09-5-15
春の機械
-
小川 葉
自由詩
4*
09-3-29
わたしの時代
-
小川 葉
自由詩
3
09-3-22
数
-
小川 葉
自由詩
3
09-2-21
オーキュペテーとケライノー
-
小川 葉
自由詩
2*
09-2-11
なつこの代休
-
小川 葉
自由詩
9*
09-2-10
イクラの寿司があった
-
小川 葉
自由詩
4+*
09-1-28
雪の声
-
小川 葉
自由詩
2
09-1-27
季節は今
-
小川 葉
自由詩
2
09-1-26
裏木戸
-
小川 葉
自由詩
8
09-1-15
世界
-
小川 葉
自由詩
5
08-12-23
空以外の空
-
小川 葉
自由詩
6*
08-12-19
妹
-
小川 葉
自由詩
21*
08-12-8
友達
-
小川 葉
自由詩
2
08-11-24
プレゼント
-
小川 葉
自由詩
6*
08-11-24
おなじ水のほうへ
-
小川 葉
自由詩
12
08-11-23
無鉄砲社会
-
小川 葉
自由詩
6*
08-11-19
ひとり遊び
-
小川 葉
自由詩
12*
08-10-24
ドクターフィッシュ
-
小川 葉
自由詩
3
08-10-10
世界山脈〔第二稿〕
-
小川 葉
自由詩
2
08-10-9
世界山脈
-
小川 葉
自由詩
4
08-10-8
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