ユリナについて書こうと思った。
ユリナは小さな茶色い瞳をして、通りすがりの猫に
かたっぱしから話しかけ、ふと空を指さしては悲し
い顔をする。悲しいのは空のせいではなく、指のせ
いであることに、 ....
おとこの乳首はさみしい ふたつの
わすれられた 夢のあわいに
ひらかれる とおい戦線
それを おんなの指が
不思議そうに つまむ
ぼくは一般人
どこの世界も奇異に見えるが、
見る自分もまた奇異
今日もまた
朝の散歩をしていると
詩人に出会いました
その詩人は
詩人でありながら
気持ちに言葉は ....
誰のものでない足跡が
泥のような海に向かっている
きっと
闇の生まれるところ、
果てと呼ばれる
光、奪われる場所の
刹那の真実を知りたくて
、対消滅
小さな声でつぶやく
今日も遠 ....
なりひびくたびにきみのことばかり きみのことばかりかんがえてしまう まだすきだ
きみのこえをわすれてしまいたいのに きらいなきみのこえばかりずっとこころからはずれてくれない どうにかして
なきたく ....
絡まりあう指と指は
あなたと私の存在において
要は他人、というレッテルを
にわかに隠そうとする
今朝は天気予報が大嘘をついた
日本から3時間半、高度に慣れた躰は世界初の時速431キロの風景に晒される。南京ロードに花吹雪は散らない。圧倒的な人ごみが蹴散らす埃が舞う。暗躍するのはスパイではなくスリばかり。資本主義の国で引 ....
ぼくは詩人
失うものがあるということは
それだけ
生み出してきたということ
今日もまた
朝の散歩をしていると
詩に出会いました
失うものがあるということは
それだけ ....
バス停にライオンが伏せていた
バスを待っている人々が
たてがみや尾や背をなでていた
いろとりどりのバスが来て
ライオンはそれに乗り行ってしまった
人々は
去ってゆくバス ....
ぼくは詩人
動けないことと
動かないことは
まったく別なこと
今日もまた
朝の散歩をしていると
防風林に出会いました
均等に並べられた
その杉の木は
まっすぐ
空の ....
もどかしい
思うほど できなくて
伝わらない
切ないばかり いっぱいになって
しょうがないぢゃない
だって あの人は
あたし ぢゃ ないんだもん
きこな きこな 波の上に きみの唄を 聴いてみたいな
きこな きこな 波の上は とても優しい 風が吹いている
ゆらり揺られ きみを思えば 向こうの空は 明るくなって
海は開 ....
イスタンブールの地下鉄は
地上ばかり走っている
アクサライから旧市街へと
銀色の車体は
まるで路面電車のように
地上を走る
髭面で大きな
トルコ人のラッシュの中
日本人 ....
この国ではシステムが再構築されていくたびに
それは人間らしさを失ってゆく
それは僕らのためのものであるはずなのに
僕らを切り捨てて一人歩きしてゆく
社会は生きにくく暮らしにくく変わってゆく
....
電話のベルが鳴り
風景から影が消えていくのを見届けながら受話器を握る
「あなたは一万人のなかから選ばれました。」
声は筋繊維のように束になっている
間を置くことなくしゃべりつづける受話器を
....
思い出なんか
数えたことがないけれど
きっと淡いパラフィンに包まれて
膨らんだり縮んだりしているのだろう
ちいさなスイッチのような音が
高い屋根から響いたら
誰もが
大きな空の上へ帰 ....
ぼくのもっとも尊敬する詩人は
F君である。
F君は現在ガソリンスタンドで働いている。
そこがどこであろうと
まるでそこがカリフォルニアであるかのように
真っ黒に日焼けして。
F君の詩を ....
そんなわけにゃー
あたりまえにゃー
にくー
にくー
たんすいかぶつー
おくれっをくれっ
むにゅむにゅ
(肉喰らう音)
ベジタリニャンは草食動物?
ミーはミックス(雑種)の、ミ。
ミ ....
息を吸って
息を吐く
そんな簡単なことが
あなたは
出来ない
笑いあう
謝る
手を振る
おじぎする
そんな
簡単なこと
(わしの仲間は
(戦争で
(みんな死んだ
....
ぼくは詩人
存在というものが存在する限り
無もまた存在する
今日もまた
朝の散歩をしていると
不思議なものに出会いました
光のような
ガスのような
音のような
何 ....
遠くばかり みていると
いまを みうしなってしまうけど
遠くをみてないと じぶんを
うしなってしまうから
いつでも星を さがしているんだ
この部屋の外を知らずに咲く花へ異国の水を注ぐ夕刻
蝶の背に針を刺すのを嫌がれば夜の間に逃げてしまうよ
不安だけ夢の中から持ち帰る見開いた目に焦げる黄昏
触れられるために生 ....
ぼくは詩人
何事もすべて通過点
今日もまた
朝の散歩をしていると
少年に出会いました
横断歩道のつもりなのでしょうか
道に線を引いて
何本も何本も
1つ1つの線の前 ....
じめんがないているようにみえるのは
わたしがないている足で歩くからで
なぜ足がなくかといえば
それは顔がわらうからだ
じめんが泣くと顔がわらう
だからあしたもわたしはわらう
地 ....
花粉症で 鼻をズーズーいわせている君が
小さなくしゃみをした
花粉を拡大すると 意外に刺々しいもんだから
眼球じゅうに花粉が突き刺さっている図を想像したら
ドキドキドッキンした
そのド ....
本を捨て風を追え
光の鉄筆を持ち
刻むがいい
化石となり残る言葉を
考古学者が
その意味を追うだろう
ノートを捨て雨を打て
声にならない慟哭を
写すがいい
降り積 ....
かなしいときはいつでも
文房具屋さんへゆくの
駅前のデパートの一階へ
夕暮れに自転車にのってゆくの
いろとりどりのペンで
ためしがきができるわ
あの人の名前を思い出さないように
一筆 ....
生野菜が部屋を出て行く
生の野菜
それだけの理由で
ぼくらはたくさんの歯形をつけた
外では大切に育ててきたバス停が
音もなく
静かに腐っている
逝くものだけが優しいのだ、と
き ....
<前文>論ずるより書けとは御尤も、かと思います。論ずるのは専門外ですし、例え中傷を受けようとも毅然と書いている方が粋だと思います。ですから、此方での発言者として考えを投稿するのは一度きりにしようと思い ....
ルーシーはたとえば
自分の名前の入ったあの有名な歌が嫌いで
ルーシーは
くそったれ
くそったれ
それが日課で
ルーシーは
やめて
やめて
言いながら空を見る
ルーシーは
ルー ....
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