社会人になり
今は汚れていない真新しい革靴
今は愚痴も殆ど入っていない鞄
春の匂いを香る風
自転車を漕ぐ
グルグルペタペタ
僕を追い抜いた学生さん
その瞬間に突風が吹いた気がした
....
遠くで雷鳴の音
携帯電話の非通知記録
夜来の雨
不確かな不穏
不安な予感に促されて
滞る思考
刹那の絶望
刹那の希望
そして
....
ゆらゆらかげろう
玻璃の向こうに
柔らかき草萌ゆる
丘、ありて
音もなく 風渡る 景色に
あきもせず
遥かお山はぼんやりと 薄蒼く
頬杖つく
椅子の背は
しっとりと ....
天井裏の住人からいつまで待たせるのだという私信を頂戴したのだけれど私は彼女をそれほどまでに長い間待たせたのであろうかと頭を抱えた私の昨今の記憶は曖昧で彼女と最後にいつ私信を交わしあったのかは定かではな ....
古腐れた木のあいだから
ピンク色の肌がこぼれている
わせわせとしながら土が舞い
よってたかってみんなに詰られるも
おちゃらけるブー助
こころには
キラリんと杭
ばかっぷりなブー助
....
も もしかして
パソコンが
恋人になっていたから
ネガティヴヱヴリデイ
テレビドラマに
触発されたら
人をもっと愛せたかもしれない
真似ごとでも
そう気づかなくても
私はバカだから ....
すっかり暖かくなった風を感じ
嗚呼もう冷たい絶対零度の季節は終わったんだなと
しみじみ思い
人生の中で一番内容の濃い冬のことを思い出し
ゴミが入ったのか瞳から涙が流れた
....
きじがなくとうたれるけれど
うぐいすないてもうたれない
はてさてなぜなのでしょうか
「人間が食うからじゃないか」
もはんかいとうをありがとう
でもはずれですちがいますよ
わたしがう ....
恋はあたかも 影法師
追えば逃げ 逃げれば追うの
そういったのは 誰だっけ?
ならば 月よ 星よ 太陽よ
街の灯よ 夢まぼろしよ
照らしておくれ 明々と
四方八方から 包み ....
新しい歌を数滴
耳に流し込むだけで
僕は簡単によみがえる
3059円が僕の生命線
とおいひの
うたになまえをあげましょう
ながいこと
おまえさまの 「な」をしらなかったね
はじめまして、なつかしいうたよ
ひとひら
のーとの「きれはし」にやどっておいでだね
はな ....
足跡は
続いていく交差点の
その先に落ちている
踏締めるには少しだけ、遠い景色
よくありそうな一日を
(転がるように)
*
無駄なことだと、言葉にしたものと
無駄 ....
色褪せて見えるのは
それは
移ろうものだから
言葉にしなければ
無いもの
消えていくものだもの
言葉にしたら
何れは
虚しいものに変わるもの
想いは泡の玉みたいに
たく ....
夢のつづきを上映なさる、
あめ色に半透明な
翅のスクリーンに
隙もなく並べられた円卓が。
潤む瞳、
凸レンズ式の
灰皿におとした視線に煙り
鉛の筆跡で笑えず。
夕べは、霧の森で ....
ただ一度
抱き締められた
その腕は
遠い日の
引き潮のように
わたしを
つれていってしまいました
ここにいる
わたしは
こい を
しているのですか
こい を
してい ....
ボルトを緩めると
あめ色が流れ出てきてしまいそうで
おとといから触らないようにしている。
頭の中は、それ。
誘蛾灯の青の下、
ただ、乞うている。
声だけが残る
焼け落ちて
....
私が、いくら黒ずんだところで
霊を量れることはない
一度たりとも零さずに{ルビ口遊=くちずさ}むことなどありえない
月が、いくら青ざめたところで
距離に近づくことはない
離れるばかりで引 ....
私は歌人
自分というものは
他人がいてはじめて
わかるもの
今日は折りよく
朝の散歩をしていましたら
詩人に出会いました
毎日毎日
朝に散歩をしては
多くの人やものと ....
亜光速で移動する阿藤快。
刀を振りかざし、
阿藤を追いかけるは、
阿刀田高。
その速度は、
もはや光速を超え、
時を遡り阿字本不生。
逃亡の果てに、 ....
「『たたかう』んだよ。」
生まれて初めてRPGゲームというものをやった私に
見るに見かねた兄はそういった。
ブラウン管に広がる広大な異世界を前に
右も左もわからない私は
兄の言うがままにカー ....
この骸に湧き出でる
形無きもの
己の心に押しつぶされるならば
その重さはどこから来るというのか
わたしがあの人を想うとき
どこかで誰かの心から
何かが消えているのだろうか
わ ....
ねぇ あの日の夕焼けを覚えていますか?
こうして君に手紙を書くのは久しぶりですね
今の体調はどうですか?
僕は相変わらずのままです
今は幸せに暮らしていますか?
僕はそんな言葉では表せな ....
「お土産は、何がいい?」と
聞かれたものですから
私、何とはなしに
「らっきょう」と答えたの
お父様とお母様が夕食後に奏でる
小気味良い音が好きなのです
ぽり ぽり ぽりり
....
ぼくは詩人
美しいものを感じる気持ちは
誰もが同じ
たとえ自分の世界が違っても
今日もまた
朝の散歩をしていると
歌人と数学者に出会いました
歌人は数学者に
短歌を数学 ....
見上げた空は
朽ちた星々の残留思念
生まれて死んで
死と再生を輪廻する満天
静まり返り
押しては返す波の音がひたすらに
耳に鳴り響くよ
死と再生のメトロノーム
何もない世界で
....
ぼくは詩人
言葉の数が少なくても
通じ合える気持ちが大切
今日もまた
朝の散歩をしていると
桜の木に出会いました
その木の枝には一枚の紙が
結ばれていました
ほどいて見 ....
まっすぐな帰り道が見えなくなると
穴という穴からノームが這い出て
ら、るほ、ら、ら、るほ、
ダークダークノームダーク。(あれるっちぇんど)
君たちの手に掴めるものはわずかしかない
ら、るほら ....
くたびれた頭を枕にあずけて
今日をほどいていく
僕の一日の終わりに
ながれはじめるイメージはいつも同じ
恋しいひとの部屋までの家路
急な坂の上、五階の角の窓、
高みに近づいて行 ....
「恋してないのに恋の詩がかけるんるんですか?」何年か前にある女性から問われた事がある。その人は小説を書いていて、自分が必ずしも体験していない事も書いているのに、詩は気持を書くもの、そういう気持になるき ....
赤ちゃんの頃に発する声は
まだ音とも言葉とも判ラない
シかシ
ソレはまるで
チャペルのステンドグラスの光に
人の心が透かさレるようなもので
光に透かさレた心から
また新たな光が生まれ ....
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