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靴の底が
磨り減っていくのも
気づかずに
空ばかりを仰いでいる
乾いた風に晒されて
いつの頃からか
哭ことをやめた
歪んだ骨の擦れる音か
褪めた血が流れる音か
ときおり哀しい ....
手のひらに感じる暖かさがあれば
他には何も要らない
日々思い出を積み上げても
それは単なる一里塚
それは儚い夢幻
振り返れば跡形もなく
積んだ記憶さえ残ってはいない
手の ....
この気持ちを
誰かに
聞かれたのなら
どう私は
応えればいいのだろう
私にさえ
私はわからないというのに
あなたに
私の何がわかるというのか
ただ
ただ孤独という悲しみばか ....
男は言った。
「日本人の好きな花といえば、桜が筆頭だ。
だが、桜より彼岸花が好きな人間もいる」
「桜は自分が咲ける場所だけを、移っていく」
「彼岸花は違う。北から南、あの時期にだけ、 ....
祈りの数だけ神がいて
祈りの数だけ願いがある
何故人は祈るのか
恐れおののく、その先の
抗いきれぬ力に前を遮られ
溜め息さえも躊躇して
祈りの数だけ花が咲き
手向けた花の ....
満月とは中秋の名月
ゆらゆら揺れる水面にて
時と戯れる
満月とは君の面影
苦しい時も笑顔を絶やさず
額の汗をそっと拭う
僕は忘れたりしないよ
君の優しさを
君は ....
腰の曲がった老婆がひとり
大雨の中を歩いている
両手を鎖に繋がれて
重い足枷を引きずりながら
濡れるに任せ歩いている
彼女にも愛は確かにあった
独り暮らしの雨は寂しい
愛は何処へ ....
君は知っている
自らの命のはかなさを
自らの行く末を
生後僅か百八十余日の命
それでいて綺麗好きな君は
けなげに身の回りを整えている
与えられた僅かな命のために餌を食む
....
わたしはわからない
口をきけない
あなたの悲しみ
わたしにはわからない
耳がきこえない
あなたの悲しみ
わたしにはわからない
目が見えない
あなたの悲 ....
手をつないで
蛍を見に行ったのだけど
あまりにも きみどりの光が舞うから
僕は天地を失いそうになって
繋いだ手を
ぎゅっと握ったのです
そうすると
君もぎゅっと握ってきたので ....
黒いレースカーテンに透ける色ガラス窓が
めずらしい声で鳴きつつ
さっき
ひび割れてくのを
めでもみみでもはなでも
くちでもてでもあし
でもせいきでも
あなるでも
ないき
かん
....
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