ろまん・こみっく
モーヌ。




裸足で しるされた やはらかい 足跡に

さらさらと 波が 水を しみこませてゆく

その消滅の a・b・c(ア・ベ・セ)たちの

静かに 弾けあがってゆく モノフォニーの

ほつれた髪に さくらめく 紅の音符の 連なりが

まばたきをした ひとりごとを こぼしてゆく





それを 口々に たどると 温和な 潮風のなか

忘れられない メロディーを 巻き込んでゆき

きみを 忘れて ぼくが 死んだって

メロディーは 流れる水から ひかがみに はねあがる

まるで ひとつの詩の 終わりが いつも 余白を のこし

続きを ほのめかしながら こぼれてゆく ように





水際の 雲をうつした 砂の 水かがみの じゅうたんを

あぶなかしく 小走る みやこ鳥と 青灰に あゆもう...

はじめから 思い出に なるための

横顔が 淡く かすみのように 飽和して

誰も たどりつけない 砂礫になって 流れて にじむ





妖精みたいに 薄着した 女の子と

アリョーシャ・カラマゾフの ような のっぽの青年が

ゆきつ もどりつ して 蓄音機のうえでの ように

ゆっくりと 回転を おおきく めくる めいていった

ブランシュール... 存在... 肌や 声なんか

見えるんだ いっぱいになって

子どもの頃にしか 見られない

凪いだ海や 水平線が いま 手招きをして

呼んでいて やまないのが...















自由詩 ろまん・こみっく Copyright モーヌ。 2006-07-18 10:52:59
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