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――{注三千世界の烏を殺し主と朝寝がしてみたい=高杉晋作が作った都々逸}――
寝物語の睦言に
誰がうとたか{ルビ漫歌=そぞろうた}
熊野の{ルビ牛王=ごおう}を裏返し
....
{ルビ翠=すい}の{ルビ竹生=たかふ}に月夜影
稲穂に似たる紫は 二目と見れぬ稀有な花
最期の時を飾らんと 今を盛りと咲き満つる
風も無き夜に{ルビ竹葉=たかは}が騒ぎ 月花に浮 ....
時の{ルビ端尾=はつお}を握り締め
いまだ名もなき{ルビ形=なり}を孕み
音なき音に耳を{ルビ欹=そばだ}て
真空妙有の{ルビ現=うつ}に凪ぐ
深遠に{ルビ籠=こ}む白い背 ....
七つ下がりの風通り
透かし模様の薄絹に
{ルビ囁=つつめ}く日射が
なだらかに滑り・・・・
{ルビ疾=と}うの昔に置いてきぼりの
ブリキの箱で ひしめく玉が
熱 ....
薄ら{ルビ氷=ひ}染める朝影は
思い焦がれた凍て蝶の
きらと溶け合う
玄冥の{ルビ吐息=いき}―――
砂絵のように脆い心で
{ルビ消=け}残る跡を 思い{ルビ染=し} ....
{ルビ畦=あぜ}に腰掛け{ルビ見和=みな}ぎし先の
{ルビ揺振=ゆたぶ}る木立は
神のやすんば
紅い雀が{ルビ舞風=まいかぜ}の中
命の際まで飛び翔ける
漏れる ....
赤いおととが ひらひらと
右に左に身をくねり
赤いおべべは誰のため
水に弾けて凛と舞う
するりと冷たい{ルビ玻璃=はり}のなか
くるりと廻って裏返し
{ルビ ....
{ルビ朝凍=あさじみ}の
利休鼠に
朱を刷いて
きと{ルビ誘=おび}かるる
垣の山茶花
暗香に
袂を引かれ
仰ぎ見つ
名残の雪に
....
菜の花畑で見る夢の
差しくる日影も目映くて
菜の花畑で見る夢の
{ルビ解=は}つる思い出 風を追う
青陽の影
かげろうの刻
薫り合う間に
{ルビ翔鳥=か ....