春の呼吸は夏を活かし、秋に捨てられ冬は泣いた
ねえ、子供のように笑ってよ
君が居ればそれで済む話さ
眠る間際に、なんてくだらない雨を見たのか
窓が濡れながら、その枠には収まりきれないほどア ....
家を出たのは君から逃げるため
明滅を繰り返す黄色い信号を横目に
僕はまた歩き出す
桃のにおいがする水を買ってから
部屋に戻ろう
遠くでトラックがはしっているような
そんな音を聴 ....
いきなり「近代詩再読」などと大きく出たが、僕に出来ることは限られている。一般に近代詩人に分類されている人たちの中で、僕が好きな詩人、興味を持てる詩人をとり上げて、数ヶ月に一回のペースで、何がしかの文 ....
その人は
みずのようなものに写っている
七月をみていた。
来世にのこる後悔を
かいつまんで
ならべかえた
しろいひる。
自転にふさぎこんで
がたん、と
額がはずれたとたん
死よりゆ ....
巨大なこころの隅っこで
きみは正しく泣いていた
そしてまた粟立つ夢を見た
固体のこころを掴んでいた
僕は疚しく吐いていた
僕はまた泡になる夢を見た
模型のこころを造っていた ....
暗闇を覗けば
{ルビ真黒=まくろ}を掬い
囚われて
堕ちる
暗い
{ルビ闇=すきま}
黒い
{ルビ闇糸=あんし}に
捕らわれ
逃げられず
果てなく惑う
行方もない風たちを
帆にはらませて
もう帰らない船の
船笛の消えていく先
短い呪文
アストロラーべ
二人の旅路を
羊皮紙に書き出しても
深海の底に
沈む姿があって
透明な海藻に ....
その人が、燃えていった
毎日よりも人は集まっていた
いなくなったというよりも
手放した、と言いたかった
彼らは笑う声で
透明な空を細い道にして
順番に順番に、昇っていった
花が、咲いてい ....
優しくはない
でも突き放すのでもなくほほを撫でる
一月の夜風は
軽い気持ちで靴音のメロディを運んで行く
もうすぐオリオン座回廊だよとささやいて
見上げる先で
いつもオリオンは ....
ひそひそと 魔物の 小さく 懇願する様よ
魔物 こそ 鞭に 打たれ 小さく 懇願する様よ
私らこそ 水の滴る 場所で 魔物を 嗜虐しなくてはならない
うそをつけ
石を 打て モーゼの十戒は ....
デッサンどおりに
造れないかたちを
君や何かのせいにしたり
いっそ壊して造り替えたい
嘘だけど
まんざらじゃなかったり
そんなもんだって
わかってるけど
君の口から聞き ....
暗い夜道の向こうからランタン売りがやってきたよ
道行く人には見えないらしい
こうもりマントをすっぽりかぶり
すべるように探しているのさ
まれに時間の隙間に落っこちた
わたしのようなものをね
....
片腕ここに
置いていくから
忘れないで
きのうのこと
そうか
はじめて
きみの夢を
聞いた
もう
これで
おしまい
夢のような日
風が
冷たい
雪は深い
....
古びたカサカサの皮膚が
いつの間にか
みずみずしさをとりもどし
ムクムクとふくらむだけふくらむと
はじけて
新しいいのちがはじまる
ひとつ
またひとつ
失われてしま ....
(伸ばされていたのは僕らではなく、日の光だよ)
そう、
つぶやいていたのは誰の横顔だっただろう
同じ服装の顔と顔とが集まっていく、丸顔の時計の下は
いつも降り積もるばかりだった
きょうし ....
銀色の髪
明るい瞳は緑
ささやく指先は桃色
つま先はあるの?
ライラ
君はしかめっ面で花という花をみんな摘んでしまい
眩しい朝が広がるに任せる
深い深い森で
夜 ....
北国生まれにとって 凍えない秋は不思議
河の彼方 海を思う日常に 溶け込めたような午後
真理
真夏に連れてった海のこと覚えてる?
君とならあのジャンボ機にも
漕いでって 飛んでって ....
走る少年
帰る家
つま先埋めてそして蹴る
つま先埋めてそして蹴る
草原砂漠雪原荒野
草原砂漠雪原荒野
飛び越えた水溜り
何隻の船 追い抜いただろう
飛び越えた神々の山
上は衛星 ....
夜のプラットホームで
骨がきしむ程
抱きすくめられて
心よりも先に
からだがイタくなる
メを閉じて
ジンジンしている
この世で君とふたりだけ
ジンライムに力を借りて
ユける処までユき ....
そうだ、この街を出よう
いつかのスケッチブックと メモの切れ端
一昔前に流行ったいじめられっこの唄
キャスケット深く被って
誰にも ばれることのないように
そうだ、この街を出よう ....
遠くにおいてきた時間を
一つ一つ取り出して
今の僕に重ねてみた
懐かしさと共に思い出す
未熟だったあの頃を
自立の為に選んだ道
自律を願って歩んだ道
幼さと若さの間で
ひたすらに足 ....
たとえば
昼の商店街を
そろそろと歩いていれば
思いもかけない
ありふれた日常が
ふと新鮮に映ることがある
八百屋のみかんが売れ残っている
床屋は暇そうに新聞を読む
居酒屋は閉まっ ....
じいさん
また戦争のはなし
チョコレート
ぼくは
イメージを喰らう
足のうら
火の雨が降る
ひゅうって
紅い空
熱くて
真っ黒な死体
水のない川
ぷかぷか流れる ....
永遠が永遠じゃなくなるのは
心から永遠を望んだ瞬間(とき)
心から永遠を望んだ瞬間(とき)
永遠は終わりを告げる
深夜の洗面所に
たちっ、たちっ、
冷たい音がしている
さっき
閉めたはずなのに
音は止まない
たちっ、たちっ、
寂しそうなひびきで
それはずっと続く
どうにもならないね
....
部屋に入ったら
はげしい眠気
ふらふらと
たおれる
クタクタだ
へとへとだよ
つかれちゃった
もうねむる時間だ
太陽が壊れちゃった
月も隠れちゃった
季節はなくなる
ゼッ ....
悔いなんてなにもない
なんてどうでもいい嘘をついた
その部屋は冬の海のように
優しく揺れ続けている
雪に咲いたあの花の名前を
結局思い出せないままだった
君は時計とともに僕の部屋へ来て ....
こおったうみが
おそらにある
かみなりこうせん
びびびんばびー
ひとつ ふたつ
あなをあける
そこに
おほしさまうめたら
きれいかな
星に願いを祈っても
ソコまで届かなにゃ意味は無い
これじゃ猫に群がる猫じゃらし
流れ流れて冬の海
たとえ願いが叶うとも
やがて朽ちるが人の性
それじゃ土竜か ....
ポリスの名曲に、『見つめていたい』という邦題の曲がある。“好き”という感情はまさしくこの“見つめていたい”という気持ちなのではないだろうか。
好きなものは、どれだけ眺めていても飽きないものだ。恋愛な ....
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