わかんない。
好きって気持ちどこに置いてきたんだろう。
どこへ行ってしまったんだろう。
いまは、考えると火が灯ったみたいに暖かくなる。だけどそれもほんのちょっとだけ。
前みたく火力強く ....
毎日 ベタベタするのはニガテ
ランチ食べるのも 映画見るのも
買い物行くのも 小旅行だって
ひとりの方が気が楽だったりする
メールの返信だって 律儀な方じゃなくて
よく心配か ....
また春の風が
額を過ぎた
ふっと
潮の匂いがした
ような気がする
{引用=なつかしい声}
振り向くと
海がそこまで迫る
海は光る
反射して鏡のように
指を浸すと ....
ダイ、ダイラ、
風吹きわたり
陽あたりのいい場所で
投げ捨てた果実の種が
ことごとく芽吹いて巨樹となり
大地を引き裂いて
ダイ、ダイラ、
風吹きわたり
陽あたりのいい場所で
はらわた ....
暗い薄墨色の空を
綿ぼこりのような
存在感のない雲が満たしている
空がすごく低い
薄い夜空から落ちる雨が
僕の身体に滲みこんでいく
街灯に透ける僕の指
二重にブレてぼやける
街 ....
朝、仕事場のブチョーと一緒になってしまい、ヒジョーにメンドクサイ気分で会話を交わす。
ナゼかしきりにトラック運転手を勧められた。
何だ?ヤメて欲しいのか?
久しぶりに会ったあのコはちょっ ....
ヘミングウェイじゃないけれど
何を見ても何かを思う
この街は体に毒だ
記憶の濁流に押し流されて
立ち尽くしたまま泣きそうになる
冷たい風が刺す中で
涙だけが生温かった
....
赤い紅した微風吹いて
柔らかい肌した土の香りが
スギの種と一緒に
舞い踊る
君の鼻のてっぺんだけは
赤ら顔だけど
目尻はすっかり
春うらら
コートを脱ぎ棄て
日和に飛び込 ....
よっこらしょ
そんなことばが口癖となった
ひとしきり身の回りの片づけを終えると
臨月の大きなお腹を抱え物干し台兼用のテラスへ這い登る
白いペンキを塗り重ねた木製のデッキチェアに身を委ね ....
あたたかな骸
ころも脱ぎ去る
ひかり ひかり
拾うしぐさ
つぼみのように
水にふたつ
目と頬のはざまの歴史
ひとつの舌で掘り起こし
あなたは指の国境を消 ....
{引用=
淡い緑の中で
逆三角形の水色が
樹を見上げると
サクラではなく
古タイヤがいっぱい
なっているのだった
柔らかなまるいピンクが
身体を歪ませながら
通りかか ....
キミがわたしのこと
「旅してるみたい。」
そう言ってくれたから
キミと一緒に
キミの言葉たちと一緒に
一夜の旅に出かけたんだ。
わたしが風景をめくりながら
「遠くへ。この世界の一番 ....
昨夜、遺伝子と数回にわたって交合したけれど
最後まで、ぼくが触れたのは
ぼく自身の器官だけであったので、
結局のところ どんな言葉でも形容できない
感性や知性を、すべて破壊したい
....
あの頃顎下で切りそろえた黒髪は
いつの間にか胸下まで伸びていた
美しい茶色の髪を、あたしは毎日ゆるやかに巻いている
あの頃短かった不細工な爪は
桜貝色の花やきら ....
美しさは
人見知りするのだろうか
いつもつつましい
声をかけられるまで
犬小屋でかくれんぼしている
驚きは
宇宙人なのだろうか
いつも未知との遭遇で
出会ったと思えば
突然消えて ....
ひとの気配に気付き上体を起こしてみると
逆光に髪の長いおんなの姿を認めた
それがあのひとの妻美佐子さんとの最初の出逢いだった
彼女について何かとあのひとから聞かされていたのと
私に用事があ ....
波のスピーチを聞いていた
一人 10時に聴いていた
一定のリズムでノイズが鳴るばかりで
少し向こう
研究員がデカい装置を使って
スピーチを解読していた
偶然は必然であると言いた ....
縫い針で血芽吹くほどの詩語欲しき
夕日さす壺の深みに嵌まりしを
せせらぎの小川は歌う護岸にて
アルコールランプのあかりでキスをする
黒煙を上げる町角 ガムを噛む
星を映す海 静まってゆく宇宙葬
まちじゅうのガラスを割ろうよ 春来る
家 ....
雨霰 空見つめてその表情
風ひたと止んだる木々に雫落ち
曇天の言葉ひびいて立ち尽くす
あなたがそばにいるだけで
まわりが海に変わる
ほんの少しだけ夜のような
ほんの少しだけミステリアスな海
このまま小さな魚になって
あなたのまわりを漂っていたい
あなたは私の梢を揺ら ....
こどものころ
公園は島だった
オレにとって
公園は島そのものだった
いくつもの島を
オレは巡るのだった
そのなかでも
雨の無人島がいちばん好きだった
遊 ....
水葬の教室
鱗を捨てた冬
シーラカンスの鳴き声を聞く
バス停の一駅ごとに君がいて
みんな逆方向を指さしてる
からだじゅう絶縁テープをまきつけて
ひとのか ....
繁華街の路地に迷う
わざと迷う
箱庭の冒険
夜がほんとうに唐突だ
わたくしは外灯に明るくされている
だれの姿もない
わたくしと夜光だけがそこにはいる
繁華街の路地に迷う
わざと迷う ....
i
どこにでも空はある
この手元の
ガラス瓶のなかにも
耳を近づけると
かすかな雲雀の声が聞こえた
(sky in the bottle)
ii
....
星降る夜にちいさな灯りがぽつん
ちいさなお家で
窓の外にも聞こえてくる
若夫婦が楽しそうにおしゃべりしているよ
プチプチリルレ
プチリルレ
ここは とってもおいしい と
評判のち ....
中空の細い運河を
小さな郵便船が遡ってゆきます
あれには僕の手紙も乗っている筈です
誰に書いたのか 何を書いたのか
とうに忘れてしまいましたけれど
ひんやりとした透明な砂漠を
彷徨って ....
びよんびよんと超弦理論は
輪ゴムみたいなものらしい
指と指とにひっかけて
長さを変えて鳴らしてみよう
{引用=いくつかつなげてあやとりしたり
ゴム跳びなんかもしてみよう}
M&Mがチョコレ ....
窓 雪音
指 しずく
たどるままに
ころがる闇
水と光と
骨の轍が丘をめぐる
わずかな冬のはらわたを
苦く苦く抱きとめている
半ば沈んだ
舟の ....
最近、体が重くなった
癖がひとつ増えたから
街中では
がちゃがちゃと
大人たちが
癖を重たそうに
引きずりながら
歩いている
誕生日にひとつ
プレゼントされる ....
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