今日という日がまた終わる
道端に残してきた足あとは
気まぐれな風によって消えるけれど
口元が固く閉じることはない
今日も生きぬくことができた
喜びは風に揺られながら
消 ....
シリウスが綺麗になったから
息子と一緒に
夜の海へ出かけた
星の匂いが鼻をつく
息子の手には
骨董レベルの携帯が握られていて
それは
息子の母親の持ち物だった
....
庭の落ち葉を掃き集める
足元に猫が、頭を摺り寄せ
日溜りに寝そべった
病室の窓から
川向こうの桜を眺め
花見のようだと
喜ぶ父さん
帰るはずの家は遠く
山向こう空は ....
枯葉がたくさん 地を這っているので
焚き火をしましょう、と
あなたが言うものだから
ボクは
ライターと 竹箒を
しっかりと 握るのです
この庭中の 枯葉どもを
全部集めようとすれ ....
『恋って、どんなだったっけ?』と
思えるほど身も心も酷使する日々に ありがとう
なにが出るかわからない恋に浮かれる日々は過ぎて
手作りの愛には端から負担を感じつつ
....
霧雨のなかを
朝ぬすびとは帰る
愛するひとのもとへ
かれこれ三日もなにも
食べさせてあげることができない
ついできごころで
ぬすんだほしを
返してしまったせいだ
俺のこころも
俺のゆ ....
ひたひた
ひたひた
金木犀の落ちる音
しとしと
しとしと
冷たい雨の滴
風は ひゅうひゅう
口笛を吹きながら
わたしの温度をさらって行く
風は さらに勢い ....
お酒を飲むと
むかしは
食道から火がついたように流れ込み
身体じゅう燃えたようになったのに
いまは
まるで水のよう
そうやって
何杯もやっていると
目が回ってくる
すまし顔じゃい ....
冬の空に
オリオンが南中する頃
ベテルギウスは涙を零して
名前が呼ばれるのを待っている
冬の空の、暗い、
まるで何も存在しないかのように ....
僕は季節の花を知らない
風に乗って飛んでくる
その日その日の荒波の日常
生きていくのに四苦八苦
でも死に憧れるほどでもない
それほど深刻でもない
共有する時間だけが ....
もしもし雨よ 雨さんよ
いつまで降るの?
もうすぐ
わたしの誕生日なですけど..
空から
お札が降ってきますように
道端に
いい男が落ちてますように
....
鬱蒼とした樹林の中に ぽつんと
廃屋を見つけて嬉々として騒ぐ
住む者のいなくなった がらんと
した埃まみれの部屋を磨き彩る
あのベッドはどうしようか?
軋む階段はいつ直そうか?
割れた ....
憧れが
ささやかな私を満たす時
ひとつの幸せを見る
あなたは
時間とともに
美しくなってゆく
朗らかに広がる樹木から
眩しくはない光が差すように
あなたがいる場所には
精霊が ....
あなたは四十になりました
お祝いに
枯れかけた木に
お酒を振舞いましょう
花が咲き
ふたりに散らしてくれるといい
美しいまま
散ってゆくのは
夢でしょう
酔いましょう
一夜 ....
掌からうたが溢れ
あおいそらに吸い込まれていく
天上人の哀しみの衣を揺すり
流れ星がひとつ零れて散った
足下からうたが生まれ
あおい海原に 滲んで消えた
深海魚の喜びのざわめき ....
他を照らせぬ光が集まり
枯れ木の夜を編みあげる
ゆらぐ景
降りそそぐ火
ふるえ よろこび
まばゆい鈍
それら 夜の鳥の浮力のすべて
融けるように溶けふたたび潜る
....
わたしよりも弱く
儚く
人生の計算問題ができない
そういう人を守るため
あなたは去っていった
「君ならひとりで生きていける」
よく聞くセリフを生で聞いたよ
でも
そうかな?
....
上町の焦げ臭い定食屋の隅に
加藤が座っていた
何十年も前からここに憑いている
かつてはこの辺りにも産業があった
公僕たちがしなやかな課税に遊ばれ野原をかけめぐっていた
雨音を聞いた俺は外 ....
どうしても肌寒い蟋蟀質の摩擦によって
むしろ冷却されるわたしたちは概ね
低温のまま一生を終える腹部だ
脆い部分からアルコール消毒されてゆき
ついには殺虫されてしいんとす ....
ひ ゆるめば
あかされぬ 水平線 の
語り 眠らせる 睡蓮
トレモロ
頬 寄せれば
いななく しらかぜ の
うちつける 火 の 扉
飛沫 で 消して
そこ ....
冷たい指先から蝕んでいこう
蔦に絡まって夜明けを見よう
廃墟の中のオブジェクト
あれは、人だよ
あれは、生き物だよ
リスの子供が言う事には
あれは世界遺産らしい
最近ママが教えてくれ ....
宣告を受けた日
私たちは意外なほど冷静だった
それはおそらく
屈強な父の姿には癌という病名が
あまりにも似つかわしくなかったからで
父はいつもの如く寡黙だったし
私 ....
もう一度、始まるのです
そう言って眠り落ちる人
危なくはないですか
休みたくは、ないですか
瞼の裏側の静かな暗闇で
一人で旅に出るそうです
朝までには戻るから、と
その人は
積 ....
熱を噴出す元気もないのだ
この身体は
惨めな思考に埋まっていく
塞がっているのは
向こうでなく
自分のほう
明日よ
おまえのことがわからなくて
今夜も僕は眠ることができない
現実を消化するのが僕の仕事だ
逃げ出さずに立ち向かうのが僕の務めだ
明日よ
なのにおまえは夢や希望だとか
しがみ ....
取り締まることのできない光の減少が
駅のホームに加算されていき
歩みと停止を繰り返す人影を貶める
遠近法を失い胸まで迫ってくる欠落に喘ぐのだ
やがて満たされる黒の描写の内 ....
窓越しのアルデバラン
暖炉が背中でうたうなら
ベテルギウスは指輪にかわる
ポタージュの香り満ちる星座紀行は
甘くも、はかない
やがて旅人は
アンドロメダへの郷愁にかられ ....
あなたの方で風が吹いている
わたしはわたしで知らないことばかり捜している
秋がそこらじゅうで溶けはじめるとき
空き瓶には夕くれが満たされるとき
幾つもの詩を繋げるようにして
わたしはあな ....
こころをたぐりよせる
うでを磨いて
影絵のように
いくらでも
二次元では
ふたり
美しく描ける
君のかたちと
私のかたち
重ねれば
叶わない望みも
遂げられた
気がした
....
背を追いたてる響きがある
歪みを映す光がある
遠い道から見つめるものの目
暗く乾いた熱のような目
異なる滴は異なるまま
鏡を流れ落ちてゆく
やわらかくはならない
....
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