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今朝
露にかがやいて
咲いた朝顔が
のこらず
消えてしまつた
―小鳥が来て
食べてしまつたわ―
と
その家の母親は
呆れ返つたが
真実は
その ....
お腹が空きました。
理念なんかじゃ食欲は満たされません。
私の存在意義を消去法で見出されようが、
私の隠蔽されていた使命が
明らかになろうが、もう知りません。
お腹が空きました。
....
くっくぅ、くっくぅ、くるっく
からくりどけいがときをつげる
くるっく、くるっく、くっくぅ
色づいていく、みどり
くっくぅ、くっくぅ、くるっく
深まりゆく季節に
....
透明にて頬をつたい
ほろりと落ち袖元を濡らし
貴方の元へ行ければと
恋しき心彷徨い途方に暮れれば
能の面のようになっていると
囃し立ててた貴方が浮かぶ
嘗て泣くこと弱さと思い
感動悔 ....
他人がわからないのは重々承知でも
あなたのことはちょっとわかる気がして
だから絶対に踏み込めない壁を感じて
そう思いながらも同じ電車に乗っていたいような
そんな気がして
終電逃したかなっ ....
僕らは縄跳びをします
回数はとっくに僕らの歳を超えて
縄の外、日が暮れていきます
僕らは縄をなくし
それでも縄跳びは終わることなく
気がつけば僕らは形をなくしています
誰もが僕らのこと ....
着物を纏い
おしろいをはたき
紅い紅をひく
あとは道を行きかう男どもに
色目を使い やさしく手招きをすればいい
それがあたし達の仕事ってもの
嘆く女もいる
本当に抱かれたい人は一人だ ....
天井がずいぶん高いなって思ったら空だった
わたしはいろいろ忘れてしまった
エレピの音が恋しい
必要ないのに笑うのはやめようよ
遠くでたくさんの音が聞こえる
とても賑やかだ
コーラ飲 ....
紡ぎだされる現実は苦しくも
様々な色を添える
深紅が飛び散れば
花となり やがて枯れゆく茶となりて
貴方を包み
布はみるみるうちに思い込みにまみれ
煌びやかな虚栄がそこ此処 ....
苦しかった
つらかった
我慢してた
誰かにきいてほしかった
吐き出してしまいたかった
ただ、 ....
十六夜の月は浅葱染まり 色恋の欠片埋める
薄明かり {ルビ髻華=うず}似た簪を照らし微笑む{ルビ郎女=いらつめ}
夜光の蛍 箱に押し込め 籠の鳥の嗤う
{ルビ淫佚=いんいつ}な浮き寝 鳴 ....
あたしはその昔
シェヘラザードという名の娘でした
アラブの乱暴な王様に
命がけで気を張って
千と一夜の面白話を
語り続けてくたびれて
猫に生まれ変わった現世
このアラベスク模様に ....
時の数だけ 愛が生まれ
幾つもの 物語がつづられる
俺の傍から君の笑顔が消えて
1年が経つ
いま思えば 俺は君のために
何をしてあげられたのだろうか ....
雨は降る
無情の
恵の
日は注ぐ
旱魃の
神の
一本の幹に触れる
真っ直ぐな
曲がりくねった
別れた妻を想う
不肖の息子を想う
置いてきた過去 ....
葡萄を食べ
梨を食べる
肉を食べる
空気を吸う
空白の時間
昨日した事
覚えてない
漂う虚脱感
苦痛が体を
走り抜ける
どれほどに
苦しまずに
湿った土を踏みしめて
森の奥へと道をゆけば
森の出来立ての酸素と
自分の使い果てた二酸化炭素は
ここで交換されてゆく
時折り光る木漏れ日を
泉のように手ですくい
そこに生まれる光と
....
右の瞼を落として閉じた世界を観る
正方形に区切られた場所で
時折触れる温かさに怯え
地球儀にバラバラの心を溶かした
過去
....
夜は耐え切れない
幾千幾万と千切れ降り注ぐ夢
このちっぽけな時間が手を伸ばし
歌うコップ一杯の空
何が白紙の無限性だろうか
人身事故が小躍り
それは定めだった
お前らはヒト
....
かわいい三つ葉を抱く
緑を纏った
輝く人
よく響き渡るも
繊細な
その声は
強化硝子か
眼を逢わせるのが
なんとも
面映い
自由に
行き来が可能な
日日は
否応無しに
....
鬼ツバメを頭に乗せた女が
口をつける勢いで話をする
ゲイのオトコの、Tシャツに透ける乳首だとか、
まぁそういった話で
あたしはその塗りたくった唇から
目を離さないで居る
と ....
緑濃い{ルビ山陰=やまかげ}から
ひらりと紋白蝶がさまよひ出た
断崖の下は海の群青
湧き上がるすでに夏とはいへぬ
冷ややかな風を器用に避けつつ
蝶は陸に沿つて舞ひはじめる
波打ち際には
....
灰色の日
カエルのせわしい声が
遠くからも近くからも
響いてくる
やりたいことをやろうか
やめようか
心が迷ってしまう日
銀色の日
車の通る小さな音が
遠くからも近くからも
大 ....
泥棒のような前傾姿勢で
妹の洋服を
箪笥から引っ張りだして纏った
ふわわ、と甘いにおいが漂った
わたしは服を持って居なくて
だから何時も裸で暮らして居るのだが
この頃はとみに寒く
や ....
神は子を産みました
子はやがて分裂し2つになりました
そして私と貴方が生まれました
互いは互いを求め合い
いつしかまた一人に戻りました
貴方は私、私は貴方
....
遠ざかる二段ロケットの軌道
静寂に浮かぶ銀のカプセル
どちらが動いているのか、は
もはや問題ではない
ただ、離れてゆく
{引用=
(お腹空いたかい、ラナ
(大丈夫、ピザを持ってき ....
街灯に照らされると
夜道に私の影が伸びた
どこまで歩いても
影は私についてくる
( どんな時も、ひとりじゃないよ )
立ち止まる 私をみつめ
黙った姿で影は{ルビ云 ....
眠れない夜を
いくつも乗り越えてきた
思い出と傷を抱えて
何度も足元をすくわれなかがら
それでも乗り越えてきた
救われることなんか
ちゃんと願えないくせに
夜明けが来ることに
涙が ....
いくつかの橋が
思い出せないでいる
名前を覚えなかった川の
こちらとあちらを
思い出せないかたちで
きっといまもつないでいる
完全なものが美しいと
君は言うけれど
不完全なものは
....
昨日も
明日は見えなかった
けれど今日は見えた
だから
今日という日を必死で動いた
見えるところは全部
手の届くところ
走って行けるところ
体力が尽きるまで
今日を動いた
今日 ....
酔っ払い
どこまでも寂しくなる夜
赤くほてった顔でふらふら歩き
電信柱に額をあてて寄りかかる
辿り着いた
バス停のベンチにへたりこみ
夢に見る
愛しき君 ....
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