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今日の空が知りたくて
朝から空を見上げれば
昨日と同じ秋の空
でもどこかが違う
昨日はつぼみだった山ゆりが
白く大きく咲いている
今日の空は少しだけ
昨日の空より白かった
今日 ....
ドアを一枚隔てて夜と昼がありまして
月夜の晩にウサギの着ぐるみを着た狼が
こんこんこんと3回ノックした向こうは
太陽の頬が渦巻き灼熱の風が舞う砂漠で
一匹のさそりが穴の周りでクル ....
あなたをね
叩いたらティーンって
鳴いたのね
あなたをね
撫でてもティーンって
鳴いたのよ
チクタク チクタク ティーン
チクタク ティーン
チクチク ティーン
....
浴室に腰掛けて身体を洗っていると
虫の声が
地面を敷き詰めるように湧きあがって
ワッショイワッショイ
ジーンリージーンリー
私を神輿にかついでいるつもりらしいのだ
それならこちらも ....
その爺が傘を持っている時は
必ず雨が降るので
わたしは爺が通る
朝7:42の窓を
「天気予報」と密かに呼ぶことにしている
爺の背筋は驚くほど真直ぐで
たぶんあれは針金で出来ているね、と ....
詩の中に
僕もいなければ君もいない
いるのは僕と君
今
僕の前には
大きな壁が立ちはだかる
それは僕が必ず
乗り越えていかなければならない
今
君の前には
大きな壁が立ちは ....
ためた涙のせいで光が星に変わるころ
あなたのために
誰かがきっとやさしい歌を歌うんでしょうか。
泣きじゃくる声は
その歌がきっと
すべてかき消してくれるから
あなたはただ
小さな天体の真 ....
きみはかわいい
けれど僕はきみの眉間を憎む
特にその皺のできた眉間を憎む
だからきみと一緒にいて
きみが眉間に皺を寄せると
いつもそいつをぐいぐいっと
指で伸ばして消してや ....
相反する心情を瘠せた天秤に揺らし
語り始めの薬指が気だるいエレジーを集めた
訪れの春 もう10年も前だったか
遅れた控えめとセンテンスは
8年前には歪めながら
飲み干す牛乳瓶の翳 ....
光が光をまとうとき
ひかりかげり かげひかり
静かに昇る
譜をめくる指
文字の見えない
明るさの紙に
ひとつをひとつに書きつけて
降りつもる音を見つめている
....
自分というものに
気がつき始めたこの頃は
どこか落ち着かなくて
みんなと同じことをしていても
同じではなさそうで
みんなと違うと思われたくなくて
同じことをしている自分が
自分ではない気 ....
呼べる距離まできている
足跡
紐で縛って
すべて部品に分ける
部品をうめこんだ耳で
わたしを呼んで
この眠りが深いと教えて
見た事がないと言う顔をする
経験
脚で引き ....
う
ろ
こ
雲
空が
いっぴきのさかな
だったら
夕陽に
こんがり焼けて
う ....
お出口は右側
どうかお気をつけて
みなさんお気を
お気を確かに
非常口飛び出す
かわいこぶりっこ
出口がわからない
かわいこぶりっこ
手にはカッター
握りしめて
破片を ....
まめクジラの水槽には
売約済みの札が貼られていた
まだ幼いのか
さざ波を飲み込んだり
小さな噴水をあげては
くるくる浮き沈み
はしゃいでいる
こっそり水槽に指を垂らすと
あたたかい ....
思わず声にしてしまった
ことばよりも
言い出せなかった
ことばの
内に秘められた真実
レンガを幾つも積み重ね
ひとは誰でも
その真実をこころに閉ざしてしまう
日々の暮らしと
日々の思 ....
一、 某月某日 冬
凍る雨を浴びつづけて、一年を跨ぎ、
わたしの頬は、青ざめて、
虚ろな病棟の、白い壁に残る、
黄ばんだ古いシミに親しむ。
難い過去を追走する暗路を、
エタノールの流れ ....
大好きって
それは響きだ
大好きだなんて
叫ばなきゃ良かった
声に出さずに
叫ばなきゃ良かった
声に出して
叫んでいたら
きっと俺は
ここにはいないし ....
女にふられたので、
今度のこんどこそ、
この女でなければならない女にふられたので、
トマトジュースを飲んで、死のうと思った。
なんでトマトジュースかといえば、
野菜が足りないと思ったからだ。 ....
今朝
澄んだ風が吹くようなので
ぶらりと散歩に出た
用水沿いにも彼岸花
延期になっていた運動会の
開催を知らせる音が響くと
そういえば
と ついつい
よく晴れた空を見上げてしまった
....
もういらないの
それは残念
よかった
使い捨てだなんて
知らなかった
わたしが欲しいものはあなたも欲しいものとして
作りすぎるところだった
よかった
もうないから
続きを剥がすことは ....
不思議な人が
一億個の不可思議を抱え
目の前でにっこり笑った
さて
僕は何から始めようか
おはよう おはよう
僕は君にとっての
不可思議のひとつでいい
....
(かじって
すてて)
レタスを洗って
いたい
今日はずっと
レタスを洗って
一枚一枚
丁寧に
拭いて
いたい
今日はずっと
知るのがいやで
本当はもう ....
一.
戦争を俺は知らないんだと はじめて思い知ったのは
キプロス島に ある朝突然逃げ帰った妻が いつか話した
占領の話 地下室の話 息を殺して
あいつが真似た マシンガンの ....
パンに トマト ぬるぜ
カタルーニャ式 だぜ これ
オリーブオイル かける よ
バージン エクストラ です よ
たまご も 焼いちゃう
べーこん イベリコ豚 だよ
....
(でっかいのが、死んだ。)
風殺すようないかり肩に丸刈りの白髪頭乗せて来るのは あれは
ロブス 漁師で 工房の隣の教会の管理人だ
逆光でも分かる お調子者の いつものいたずら ....
大きなガラス扉
日焼けしたブラインド
貸店舗、の白い貼り紙
コンビニになりきれなかった
角の、たなか屋
殺風景な店先のコンクリートには
ただひとつ
小さな郵便ポストが生えたまま
舌 ....
卵が割れてまた割れて
中途半端がどろりどろぉり
二進も三進もいかない生
ハウスダストやカビたちに
あらゆる雑菌病原菌
もういいから寄生しなさい
変色するほど侵食して ....
赤ちゃんが乗っています
世間でステッカーがはやりはじめると
和泉町3丁目にある零細ステッカー会社の社長はへそまがりだから
赤ちゃんだけ特別扱いするのはおかしい と言い出し
次のような亜種をどん ....
スーパーのレジで
おつりのコインを数枚受け取ると
「わあ、お金が増えたね」
と娘は目を輝かせる
自動ドアから出るときも
「あのおばさん、きっと親切な人なんだよ」
ふわふわと歌う
....
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