すべてのおすすめ
夜ってきっと縦長
昼間干された空は
くるくるまるめられてる
夜ってきっと縦長
仔馬のたてがみみたい
しなやかだけど強いの
朝に潔く譲る
人はピンポイントに照らされ
ひとりひ ....
前をむきましょう
って
どこをみればいいですか
上にはいつも空がある
ぐるっとまわれば地になることも
知っているけど知ってはいない
顔をあげましょう
って
明日はどっちの方 ....
たまねぎを刻むと涙が出る
それにかこつけて
少し本気で泣いてみる
そうして
矢張りわたしは
要らない子かも知れないと思う
だけど午前の台所は
悲劇ごっこをするには明るすぎるし
誰かを想 ....
あなたにメールをおくったあとは
ねこのさかな
ぼくのけいたい
ぎゅっとにぎってつかれちゃう
から
ゆかにおく
しばらくしたら
ぼくはせいざ
けいたいに むかって
のぞきこんで ....
未来はもっと不確定
気まぐれとわがまま混ぜて
形の定まらないアメーバ作った
夢は形を変えて増えていく
自分と未来は追いつかない
ひとつひとつ失われる記憶があって
それが僕らを焦らせ ....
白いチョークで
道路にドアを描いている
白いチョークでは
どんなものも白く描かれるから
羽を描いても
飛ぶための空が描けない
だから僕は
ドアを描こうとしている ....
今夜
おれは冷めたグリーンカレーを
丁寧に温めなおして
ひとり寂しく食べたよ
白い腕輪のことを考えながら
クーラーの効いた部屋で
ビールを飲みながら
グリーンカレーを食べたよ
....
夏にゆうれいがいなくなってから
夜はとても蒸し暑くなって
何だか過ごし辛くなった
ゆうれいを捜しに
ときどきぼくらは心霊スポットに出掛けるけれども
工事中にたくさん人の死んだトンネルにも ....
街の中心
その、少したかいところ
高架化されたせんろの上を
古びたでんしゃがはしる
ねむいからだをはこびながら
きみのすむ都会から、とおいまちへ
眼下にひろがるまち
せなかには洛 ....
ずっと
胸のエンブレムを隠して生きてきた
正義のヒーローが
ひとりいた
今どき分りやすい悪なんて
そこらそんじょに転がってるもんじゃないし
ギターが弾けたらよかったのに
古 ....
帰り道に迷って
泣いてる子羊
あの空の羊雲は
違うよ
君の帰るところじゃない
涙を拭いてよく見てごらん
発見はいつも
ほんの足元からはじまるんだ
背伸びをしてると
ほんと ....
男は冷蔵庫の中で傘を飼育している
夜の方が良く育つときいたので
朝になるとわくわくしながら傘に定規をあてるのだが
傘の長さが変わっていることはなく
その度にがっかりする
けれど男は知 ....
七夕や清く正しい朝帰り。
お昼時の込んだ食堂で
ヒロシ君、と呼べば
3人は振り返る
ヒロシ君はクラスの中に2人はいる
ヒロシ君はテレビの中に5人はいる
ヒロシ君はヒロっちゃんと呼ばれることが多い
らしい ....
時を刻むより他に
自分にはすべきことがあるんじゃないか
時計は思った
けれど何をしようにも
手も足も出るわけがない
ただ柱にぶらさがって
そこはそれ時計の悲しい性なのだろう
正確 ....
かけおりた坂道のおわりには
ボーダー柄の、夏が
波のような顔をして
手をふっていた
それから、 と言ったあとの
あのひとの声が
ノイズにのまれて、ちらちらと
散ってしまったので
....
入院してる友達のために折ってるのと
その子はちょっと淋しそうに
鶴を折っていました
それを手伝おうと
わたしも折ったのですが
できあがった鶴の
羽を広げようとしたとき
その子 ....
友達と仲直りをした娘は
昼食を食べ終え
さっさと青空の下に飛び出していった
子供同士っていいね
うん
娘たちは今ごろ
どのあたりを走っているのだろう
昨夜の小さなほころび ....
わたしは、ほんとうは楽譜なのです
と 告げたなら
音を鳴らしてくれるでしょうか
指をつまびいて
すこしだけ耳をすましてくれるでしょうか
それとも声で
わたしを世界へと放ってくれるでしょうか ....
家具屋に行った
広いフロアを丹念に見て歩いたが
家具はどれも高くて
困ってしまった
結局小さな置時計をひとつだけ
買って帰ることにした
また時計を買ってきたの?
呆れ顔でそう言う妻に ....
さよならの「さ」は
さよならの「さ」
さよならの「よ」は
さよならの「よ」
さよならの「な」は
さよならの「な」
さよならの「ら」は
らっぱの「ら」
突撃らっぱ ....
ムーニールーがありんこを相手取って
裁判をしているころ
お日様は林檎を
真っ赤に染めて
林檎はムーニールーに食べられるのを待っている
カタツムリが雨の中
小さくくしゃみしたけれど
ム ....
とどがいます
打ち上げられました
寝ています
どこにも行けません
助けて
なんて頼まない
とどだから
なんだか疲れたので
しばらくここで休みます
ひとりです
ダイヤモンドダスト
....
夢のまた夢だった。
子供の頃のワールドカップ。
クライフのプレーをTVで初めて見た日。
あの瞬間の衝撃を、今も鮮明に覚えている。
学校を休んで見に行った。
ワール ....
金魚もいないのに
君は金魚鉢を買ってきて
それから金魚の餌と
水道水の塩素を中和する
透き通った小さな薬品も
買ってきて
それでも結局金魚鉢の中を
金魚が泳ぐことはなかったのは
....
どうせなら
この世にいるすべてのライオンが
友達だったら良かったのに
あいにく僕には一頭の友達もいない
だから食べられても仕方ないんだ
そんな言い訳ばかりが得意になっていく
ライオンのこと ....
部屋の中で素振りをしていると
外は激しい雨が降っていて
どこかとても遠いところから
僕の知らない動物の鳴き声が聞こえる
シマウマはたてがみも縞模様なのだと
テレビ番組でやっていた ....
自転車にひょっとこ
荷台ボロボロ
俺、激しくペダル
自転車にひょっとこ
走れ
俺号
うおーっ、うおーっと雄叫び
おまえの背中が春に似ていて、俺
自転車にひょっとこ
泣けるねえ ....
日めくりカレンダーをめくって
紙飛行機にする
1年間で365機の飛行機が
この部屋を飛ぶ
赤い3の字を模様にしたのが
白いテーブルに不時着する
他に行くところもなく
行く ....
人さらいは人をさらったことがない
これからもさらう予定がない
けれど人さらいは人さらい
それは何の比喩でもなく
人さらいが人さらいであるということだ
何故人さらいは人さらいなのか
生まれた ....
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