すべてのおすすめ
かけおりた坂道のおわりには
ボーダー柄の、夏が
波のような顔をして
手をふっていた
それから、 と言ったあとの
あのひとの声が
ノイズにのまれて、ちらちらと
散ってしまったので
....
わたしは、ほんとうは楽譜なのです
と 告げたなら
音を鳴らしてくれるでしょうか
指をつまびいて
すこしだけ耳をすましてくれるでしょうか
それとも声で
わたしを世界へと放ってくれるでしょうか ....
おそらく ぼくは
求められる ということだけを
求めていたのだ
あの夜 ぼくは
正真正銘どうかしていて
月にさえも 誘いをかけていた
そこに 他意はなく
そこに ....