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まだ柔らかな朝の光を受けた街は
サッパリした顔で無防備に佇んでいる

夜に息をひそめていた澄んだ空気を
胸いっぱいに吸い込みながら歩きだす

あらゆる事が起こり得る一日の始まり
だ ....
君と僕の
柔らかすぎるところは
交わりやすくて

忘れているわけじゃないけれど
柔らかすぎるがゆえに
止まることができなくて

傷ついたと言われるまで
君に言葉を投げてしまう

 ....
僕が時々
夕食を買いに行くマックに
いつも立っているクルーの女の子

いつもオーダーを取りながらも
唇が乾くのか単なる癖なのか
唇を湿らすように舌を
チラチラのぞかせる

唇から漏れ ....
ナイロンで滑る指
艶めかしさに酔い
月の果てに漂う

今宵の月
冴えて

今宵の月
独りで

輝いている


 夜の屋内プール
 水面に反射する
 水銀灯・ナトリウムラン ....
マスターが男の子の髪を切っている
どんな話の流れからそうなったのか

 「袋のネズミ」ってどういう意味

と、マスターが男の子に聞いている

男の子は得意気に意味を説明しだす

 ....
青空に向かうクレーンが指し示す方向に
ハンドルを切りながら
その造形の美しさに目を奪われる

一瞬

アクセルを踏み込むと滑らかに
あまりにも滑らかに加速していく車
陸橋の上り坂をカタ ....
公用車で県東部から県北部へ
ロングドライブ

昼下がりの街道は
ストレスもなく流れて

時速50キロで次の現場への道を
トレースする心地よさ

集荷場のある集落を抜けると
広い谷戸 ....
新宿の高層ビル群のすぐ裏手
ありふれた住宅街が広がる

(歩いている)

かつては丘陵地帯だったであろう
上り坂そして下り坂また上り坂

(立ち止まる)

雀の声烏の声
ヘリコプ ....
開かれ行く道を見ている
その空白を
その荒れ地を
その土ぼこりを

空白の上
冬枯れの青い空は広く
この空白が埋められるには
まだ暫くの時間が必要に見える

空白の背景に埋もれる高 ....
なきたいときには なけばいい

僕たちは何かをためらうことばかり
覚えていて
ほんとうの声をなくしてしまった
声帯が震わせるものは空気
音にしかなりきれない
言葉のオブジェ
である理性 ....
右足と左足の発する音は
明瞭に違っていて

それは大地を踏みしめる
力の違いでもある

厳密に言えば僕は
左に軽くよろけながら
歩いているのだ

それが右手の小指に感じる
鈍い痛 ....
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