すべてのおすすめ
いってらっしゃい
と手を振り
別々の時間が始まる
あなたは電車に揺られて会社へと向かい
わたしは洗濯をはじめる
あなたはお昼頃わたしを思い出し
1時にはわたしを忘れる
わ ....
あなたを愛することがなければ
たぶん一生知らずに済んだこと
せつないという言葉の重さ
罪を背負って生きていく苦悩
夜ごと幻影に抱か ....
いたらない
わたしが
なきながら
てのひらにうけた
こもれび
なにがよくて
わるいのか
おしえてくれた
あしもとにおちた
こもれび
そこをみつめて
そこからはじま ....
すきまぬって
おまつりだ
すきまぬって
たいこたたこう
おまつりだ
ふえもふこう
さけものもう
すきまぬって
わらおう
おまつりだ
おまつりだ
すきまぬって
....
すべてが終わると
その町にも銃を担いだ人たちがやってきた
彼らはこの国の言葉や
この国の言葉ではない言葉で話すものだから
町の人々はますます無口になった
少年は喧騒と沈黙でごったがえ ....
きみの涙は、
僕が舐めてあげる。
きみの瞼も、
きみの耳も、
背骨の窪みも、
おへその穴も、
その淡い茂みの奥も、
みんな僕が舐めてあげる。
おいで。
世 ....
それは
いまにもきえいりそうに
ふわふわと
ぼくらのまえにあらわれ
ながれにおち
みずいろにひかりながら
ながされていったけれど
あのひ
だれにしられることもなく
ひ ....
まるで森の中にいるみたいにいい匂い
なんて君が言ってくれるから
僕は手を木のようにひろげて
君を抱きしめてみたのだけれど
そうやって抱きしめるほど包まれる
くらくらとする君の匂いのほ ....
顔見知りの小さな川に
小さな女の子の幻影が
駆け抜けて 消えて行く
風も
駆け抜けて 消えて行く
結ぶ糸の切れた光が
ふりそそいで
確かなところを
踏みしめることの
でき ....
私が見た程には
写っていなかった写真を
やっぱり写っていない と
ため息つきながら
見ている
風も光も
写っていないので
もういちど
写しに行きたいけれど
あの風と光は
....
ふみつけると つぶれるように
なげつけると こわれるように
ことばにしてしまうと
こわれてしまうものが ある
たくさんのことばつかったので
おびただしく こわれたものたち
たい ....
そら に わ
ゆび で かいて
わたし の へや
すっかり ながれて
みえなくなる けど
ずっと かお あげて
そこへ きっと
すわって
そよいで
ながれて ....
出会うのが遅くてごめんね
なんて
あやまるのはやめてください
たとえそれが
ほんの束の間でも
気の遠くなるような数の
偶然を重ねて
ここに
ふたり
寄り添えた奇蹟を
今はただ
....
つい忘れがちな
社会性 積み上げて
ピラミッド ごそごそ
いつまでも忘れられない
なくなった関係 積み上げて
ひとりきり ひそひそ
どこにもやれない
無関係性 積み上げて
バベ ....
物理的にいうと
今現在あなたとの距離は
約10センチメートル
ここは
広大な宇宙の拡がりと
気の遠くなるような長い時間の交差点
次の瞬間!
あなたは
もう二度と
わたしの手の ....
ミルク飴 の包み紙
くちょっと 丸めた
剥がされた まるみ
ころがされ とろけ
消えた
来る日も
また来る日も
毎日 毎日
朝も昼も
そして長い長い夜も
あなたのことばかり
想いつづける
何気なく交わした会話や
時折みせる少年のような微笑や
偶然に触れた
....
「これを採るにはこうするんや」
と
口を大きく空に開けて
走り回っている
おとうと
おおきすぎるそれがちょっとこわい
私に
「これ、わたがしの味がするでぇ」
と
たくさんの
....
みぎにねがえりをうったら
ゆめが
ころがってきた
ひだりにねがえりをうったら
ゆめがまた
ころがってきた
ころがりでたゆめは
うずをまき
すぱいらるの
かなしみに
なみだし ....
しねない
なんどしんでも
しねない
男が嘆く
しねない
なんかいしんでも
しねない
あぁ
女も嘆く
男はこれまでに7回
高さ50メートルの橋から
海に身を投げ
....
8つのおとうとは
私が夕飯時になっても
食卓に来ないので怒っている
8つのおとうとは
私を呼んでも返事もしないと
私の部屋のドアを蹴り
「何か悲しい物でも、隠しているのか」
と問 ....
純粋でなくていい
つきぬけてなくてもいい
ふつうでありたい
ふつう
ふつうっていうのは、つまり
スーパーでみかんを買ったり
駅でコツコツ足音を立てて歩いている
大勢の人と
あま ....
明るい娘たちだ
美知子が寝込んだ今日も
夕食を作り、洗濯をし
ピアノに行って
キャッキャと笑って
ぐっすり眠っている
小学六年の薫は
ふくらみはじめた胸を
ホイホイとかかえて笑 ....
明日人間ドックに行こうとしているのは
まぎれもなくあの時列車に飛び込んだあの人だ。
鏡を眺めながらしんみりと
最近、なんか顔色悪くてねえ
などと話しかけてくる。
そう言われても
な ....
わっこ ほっこ ゆぎっこ ちみで
なして おらえのほうさ ふるなだべ
まんじ あさはやぐがら おぎでしゃ
みぢ こしゃねば あるがれねべた
ゆぎっこ つもって あるがれねべた
....
最初から
おじいさんや
おばあさんが
いたわけではないのです
ただ風ばかりが吹く
何もない夕暮れのようなところから
むかし、むかし
と物語はいつも始まるのでした
やがてお話が終わる ....
読みかけの詩集を逆さまにすると
文字の列たちは
不ぞろいのビルディングになりました
そして
下のほうにあった余白は
広い空に
しばらくその様子に見とれていましたが
何かが足りない気が ....
春が
わたしの中に入ると
増えます
やがて溢れ出して
玄関では靴が
遊びたそうにしています
あなたは
とてもかなしく
笑う。
こすもすの
ひろがりのように
笑う。
いきものの
さがをいとおしむように
笑う。
ずいぶん
ながいときがすぎたが
きょう、やっと
ふたりは
わずか五ミリほどの
ラビリンスを
うんだ。
ちいさな
コンクリートのすいそうで
ちゅうにうきながら
まようことしかしら ....
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