すべてのおすすめ
ああやっと見つけたお前はそんなところにいろ
ドアを開けたり閉めたりして
出たり入ったりしろ
振りほどいた手は振りほどきっぱなし
アクセルを踏んでブレーキ
両手でつかめるものは ....
ひらがなを覚えたのは
褒めてほしかったから
泣かなかったのは
泣けなかったから
望まないのは
叶わないのが怖かったから
受け入れられないのが
受け止められないのが
拒絶され ....
スイッチを「パチン」と入れて、
と思ったら
スイッチがない。
あるはずのところに
スイッチがない。
昨日、
夜寝るときにはあったのに。
今朝、
顔を洗ったときにはあった ....
君に出会って
感情は高ぶる為にあるのだと知った
君と話して
初めて
人間の声を聞いた
君と見つめ合って
今まで僕は
何も見えなかったのだと知った
君に触れて
僕は一瞬
....
その岩は岩でしかない。
だからただ、そこに居る。
雨が降り、風が吹き、雪が積もり、雷が落ちても、
その岩は岩でしかない。
ただそこに居続ける。ちっぽけなふやけた岩だ ....
渇く渇く渇く潤う
行き止りのない道を
いつまでも
忘れていることがあるにせよ
それは帰れない{ルビ道程=みちのり}であって
忘れていることなど何もないのだ
あどけないうすい影は
....
帰り道に迷って
泣いてる子羊
あの空の羊雲は
違うよ
君の帰るところじゃない
涙を拭いてよく見てごらん
発見はいつも
ほんの足元からはじまるんだ
背伸びをしてると
ほんと ....
どこかで風の止む音がしたの
走っていってみたけれど間に合わなかった
私の花園で赤い花が咲くことはもう無いでしょう
どこかで水の零れる音がしたの
走っていってみたけれど間に合わなかっ ....
まひるに
月が笑いながら
堕ちてゆくのを
見とどけてしまった
罪
サルビアの
紅が憎くて
泣き叫ぶのもかまわず
摘み取ってしまった
罪
こめかみが
痛くてたまらない
や ....
カレンダーが
隙間を 埋める
いちいち 並んだ文字
規則正しく
色までついてる
ななめに さいて
ずらしても
あくる日は 書いてなかったように
きちんと くる
時 ....
ふわり、風
ふわり、髪
いつかの夏の真昼の丘で
風にそよいでいたきみのこと
ふわり、風
ふわり、髪
いつかの夏の真昼の丘で
きみの光が思い出に捕らわれそうで
....
何を忘れたかったのだろう
街に一つしかない小さな駅で
男は窓の外に向かって手を振った
無人のホームでは鉢植えに植えられた
カモミールの花がゆれるばかり
やがて男を乗せた列車が発車すると
駅 ....
たおれるって
あきらめることでは なくて
おきあがれない こと
かよわなくなった こころ
暗く 憎しみばかりつのる時
灯は しずかに 病みを照らして
今は 夜
ただ ....
もともと性に合わないんだ
優しくされるのも
穏やかになるのも
まんざらではなかったけれど
もともと性に合わないんだ
じっと見つめてごらん
鉄塔のもっと上
じっと聞 ....
たとえば少年の溜息を
たとえば少女の独白を
空は拾いあげるでしょう
空にはみんなの星がある
たとえば背広の焼酎を
たとえば情婦の香水を
空は拾いあげるでしょう
空には ....
あしびきの
やまどりこっこ
こけこっこ
たまごうんだよ
ぬばたまの
よるにうまれた
くろたまご
つるっとひとくち
おいしいね
おはだつるつる
たらちねの
ままのおっぱい
みるき ....
次に私が拾った獏は
これはもう生まれついての
野良獏だったから
やっぱり夢は食べなくて
好んで食べたのは・・・嘘
あぁ 私はどうしたらいいのかしら
せっかくイイヒトで通してきたのに ....
詩人は
小心者で繊細な癖して
意外とだらしない
ちらかった原稿用紙の上
飲みかけの缶ビール
吸殻だらけの灰皿
空の100円ライター
そして一冊の詩集
ボードレールの悪の華
詩人は ....
ぎゅっとしたいんだ
ぎゅっとされたいんだ
だれになんて言われようと
今ここでぎゅっとしたいんだ
今すぐにぎゅっとされたいんだ
セクハラ親父じゃないっ
ぎゅっと何かを引き換えにしない
....
ある日
自動ドアの前に立ったら
開かなかった
押しても引いても
やっぱり開かなかったので
慌てて君を呼んだ
ちっとも開いてくれないんだよと言いながら
二人並んで立ってみた ....
ねぇ、アリス
貴女が居なくなっても
この世界は続くと思っているでしょう
ここは
たまたま落ちた夢の国
だから
たまたまなんて
二度と起きたりしないのよ
ねぇ、アリ ....
かけおりた坂道のおわりには
ボーダー柄の、夏が
波のような顔をして
手をふっていた
それから、 と言ったあとの
あのひとの声が
ノイズにのまれて、ちらちらと
散ってしまったので
....
入院してる友達のために折ってるのと
その子はちょっと淋しそうに
鶴を折っていました
それを手伝おうと
わたしも折ったのですが
できあがった鶴の
羽を広げようとしたとき
その子 ....
いま泣いたら
なぜかもう二度と
笑えなくなるような
そんな気がしたから
空に向かって入道雲を
ググっと睨んでやった
まひるに嘘をついたりしてはいけません
善良なあたしは
....
私の獏は夢を食べない
捨て獏だったからかしら
母乳で育たなかったからかしら
理由はわからないのだけど
とにかく夢をさし出しても
ふんっと顔を背けてしまうから
長い長い格闘の結果
....
みずいろの風に吹かれて
すこしだけ早まった鼓動が
うなずくように合図をしたら
それが夏のはじまりでした
手のひらでつくった影に
割り込むように差し込んでくる
陽の眩しさを避けて木陰 ....
横顔が少しだけ
ジュリエット・ビノシュに似た女
夕暮れの淀屋橋の上
水面に揺らめくネオン
ポケットから携帯電話取り出し
ほんの一瞬だけ考えて
携帯電話投げ込んだ
小さな水音
小さな泡
....
まっさらなノートを買った
でも
それだけでは
所有にならない
光のようなシャツを買った
でも
それだけでは
所有にならない
汚さなければならない
涙が出るほどに
渾身の力で ....
森のかなたへ
碧をたどる
濡れた黒髪
指でなぞる
空をそのまま
うつしたような
蒼のしずく
ぽとり
ぽとりと
堕ちてゆく
ふかい水路へ
そこから生 ....
バスルームの飾り棚に
置き去りにされていた
JAZZの香
蓋を開けた刹那に
よみがえる記憶
ああそれは
一年も前のことで
そういえば私は
まだ泣いてもいなかった
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