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ひとけなき寺のくぬぎの春嵐。
春雨は別れの歌の余韻かな。
南溟
墓の無い終わりを告げる水の羽
{ルビ弥生=やよい}より流れ落ちたる{ルビ卯月=うづき}かな
とどまらずただこぼれゆく冬の雲
傷を抱 ....
冬めきてラディゲ読む夜の重さかな
幻滅と悔い残してや恋の冬
この星に我ひとりなり冬の雨
黙々と落ち葉掻きやる白痴かな
吸ひ殻と誇り捨てたり枯れむぐら
老媼の叫び響くや空ッ ....
目のかたち光ではない光かな
澄むことを望めば遠い光かな
澱み澄み澱み澄むこそ光かな
白ひとつ午後に置き去る光かな
めざめては ....
目を閉じた赤子の笑みに触れる花
ひとひらをくちうつしする涙かな
赤子の手何を語るや散る桜
とどまらぬ光の糸をたぐる花
名づけても名づけきれぬ日花 ....
眩む手にあふるる翳り冬と春
けだものよ応えぬ瞳応える背
降り止まぬ目に見えぬ雨降りやまぬ
花と骨つながるいのち星ひとつ
....
青空の手に触れはにかむ冬の顔
描きなぐる雪のはざまを埋める景
ひとつにも無数にも降る雪の問い
ころびゆく我が横に空たちあがる
....
ねむりたい頭のうえの冬蜜柑
渚なきからだ横たえ冬を聴く
白髪に月がふたつの冬夜空
斃れるはきさまだと知れ雪つぶて
おのれこそ ....
母と云ふ字は嫌ひ苺も嫌ひ
忘れな君いまここにあるこの菫
オランダの苺囓れば昼間の月
たそがれに水星の見え{ルビ土筆=つくし}生え
春枕翼を持たぬ鳥が飛ぶ ....
蛍
ちりちりと
夏の焦げ目
柿の実の 甘さは
夕日の においする
・夏休み だけど気持ちは ホ短調
・葉の先に 色を落として 夏去りぬ
・星色に 輝く空を 見る日まで
・憧れて 流す涙の 速さかな
・白百合の 真珠連ぬる 丘に立ち
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