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今も覚えてる。
素っ気ない茶封筒。
ボールペンで書かれた名前。
八枚と、一枚と、三枚。
四枚と、二枚。
一ヶ月はぺらぺらしていた。
時間について考えた。 ....
くらげが浮いている
通天閣の上にくらげが浮いている
ぼくらの時代はうざいんだって
透明な短冊が
あちこちで今年も風に揺れている
お経のように整然と
願い事が綴られているけど
院ばかり ....
きれいなあきびんを
ひろったので
ひとり
となづけた
ごしごしあらって
ちいさながらすだまをいれると
そこをころがって
からからおとをたてた
まどべにおくと
ひとりは
かぜやあ ....
忘れるのはきっと至難の業だから
僕たちはもうずっと
楽しかった時だけを思い出していようよ
そして私が腕を伸ばした先に
あなたが居ればいいと思う
交差点ですれ違ったって
きっときっと引止めやしないよ
久しぶりの帰省すると
父も母もさらに
小さい
そのくせ
私の好物に
ことのほか敏感
いなり寿司とか
フルーツとか
裏手にある斜面の先に
小さな墓地があり
花を ....
タクシーで溺れた
昔はあんなにうまく泳げたのに
手足をばたばたさせても
座席の底のほうに沈んでいくばかりだ
ナイター中継を聴きながら
運転手さんが舌打ちをしている
水の中では舌打ちすらでき ....
僕の部屋からは
プラットホームが見下ろせる
知らない人ばかり詰め込んだ準急を
この窓からいつも見送る
ここは始発駅だ
短い旅程の百度参りを
飽きることなく繰り返す
乗車率427% ....
いつもと同じ駅までの道を
いつもと違う時間に
いつもと違う服を着て
いつもと違う靴を履き
いつもと違う速度で歩く
短い影
アスファルトにくっきりと
轟くような蝉の声ふいに
ぴたりと ....
閉じ込められた魚たちは
ぶあついガラスのおくで
海の夢をみるのだろうか
そとにでると
すこしだけ
雨の匂いがたちこめていた
....
暑いのに起きられない
体から噴出す汗で
寝巻きもベッドも布団も
何もかもびしょびしょ
電話が鳴っても
知らない
チャイムが鳴っても
知らない
そんな
一人の部屋で
夏
夜も昼も
....
あ、ああ、あ、ああ、あ、もうすぐ消えてしまう
昼がこわい、夜がこわい。ねじを。ねじを巻かないと、
昼がこわい、夜が。こちらの音をきくために、
あちらがわに回りこまなければいけないような、
そう ....
1学期まで
おとなしかったあの子が
不埒な夏に
持っていかれる
朝一番のプール
塩素の匂いのする更衣室
ざわめきと
流れる髪
草が薫った
自転車置き場
夏の始まりは
たし ....
海に行く
護岸の上でいつものように
体操をしているおじさんと挨拶する
釣り糸を垂れる
魚が一匹釣れる
魚を一匹殺す
やがて日が暮れたので帰宅する
途中おじさんはもういない
今日 ....
いれものが
ふたつありました
ふたごのようにそっくりでした
どろみずをひとばんためておくと
いっぽうはどくみずに
もういっぽうはのみみずになりました
のみみずは
ひとびとののどをうる ....
突如現れ行く手を阻む
急流の渦に
巻き込まれぬよう
さらわれぬよう
細心の注意を払っていたのだが
この淀みにはちょっとお手上げ
けれど
も ....
えにかいたように
みごとにころんだ
あたまのうしろで
ものすごいおとがして
なにがなんだか
わからなくて
だいのじになって
ぽろぽろなみだがながれて
たいようのまわりの
にじいろ ....
高校生になって
大人になれると思ってた
冷静になれると思ってた
友達が増えると思ってた
彼氏ができると思ってた
憧ればっかり抱いてた
でも
勉強ばっかりで
嘘の笑顔ばっかりで
....
不覚にも
こころときめき
きみの一挙手一投足に
いちいち振り向くこの僕
恋なんぞ
有り余っているのに
何故またこんな
浮かばれぬ思いを
....
カブトムシ
17匹
もらったの
貰い得の
キノコ
コクワガタ
タニシ
みんなよく来たなと
戦場で死に損なった父が
夏休みの天麩羅を揚げていて
熱いう ....
ああ
どうして
女の子と
おしゃべりするだけで
こんなに
心が
うるおうの
君は言う
「あいしている」と
彼女に向かって 君は言う
彼女は言う
「あいしている」と
彼に向かって 彼女は言う
彼は言う
「あいしている」と
私に向かって 彼は言う
私 ....
じいさんが
あの世へいってからずっと
8ミリを回すと
青鬼が映る
8ミリを映写し
妻や子供との暗い部屋で
(僕だけが斜め下におり)
青鬼を見る
木や鳥居の影などに
七五三だというのに ....
全ての人に大切な愛だって
手に入らないこともあるじゃない
適当に感動して一日を潰した私
何もないのに無理やり泣いて
声が枯れたら
また日が暮れた
同じように過ぎていく時は
数 ....
私は夏雲のあるこの空に
人差し指を差し込んで
この青空の
その底にある
人肌の群青に触れようとする
そのぬくもりは昔日の
小さなおまえのぬくもりに似て
あわあわと崩れそうにゆれる
いつ ....
「誰しも、初めてから始める」なんて。
諭すように言われた、朧気な記憶
けれど、初めてなんて何ひとつなくて
ぜんぶは、きまりごと。
その決まりごとの中で藻掻くの。
初めてはレールの ....
ずっとまえ ぼくはとてもめがよかった
とおくのとおくのほうまで
ぼくはみえていたよ
そこにはないものまで
ぼくはみえていたよ
おとうさんとおかあさんはとてもめがわるい
ぶあ ....
私
こんなことできるんだ
腹の底から
あんな絶叫
後の痛みを考えず
打ち付けた拳
流れたマスカラ
振り乱した髪
ペンを投げ
グラスを割り
イスを振り下ろした
....
ボクは君を
幸せにしないでしょう
それと
逢いたい気持ちとは
別
小さなパラソルに
寄り添って歩く
少しだけ
雨が降って
煙草を吸って待っていたのに
人間観察をして待っていたのに
スタバのコーヒー片手に待っていたのに
既に全ての行動に飽きても待っていたのに
テメェアホ面で遅刻すんじゃねェ
とか
ゴ ....
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