すべてのおすすめ
もう僕は死んだと思つて諦めてと置手紙の日よりゾンビとなりぬ
親元に連れ帰されたる若ゾンビ腐肉を隠して社長になれり
若ゾンビ社長となりて夏の日の銀行回りに蝿もたかれり
ゾンビとて妻娶りた ....
きみがまだ少女の頃はぼくもまた少年だった すれ違う駅
きみと向かいあって話した教室が世界のすべてであったあの夏
きみの吸ってたマルボロライトを吸ってみる吐き出す煙が重い七月
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風呂上りの一杯がうまいと言った父は二度と出てこなかった
キリンが大量発生した日は知らないものに名前を書いてた
「呆気なく過ぎ去っていく春」と落書きされた犬が可哀想に
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不安げに緑を歩む鳩の目がふと振り返り鴉になるとき
手のなかの鳥の器に降る震えこぼれゆくままこぼれゆくまま
いつわりの光の模様の窓をゆく姿を持たない鳥たちの列
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{引用=001:声}
なかゆびで喉の尖りをころがして昨日の声の輪郭は何処
{引用=002:色}
風色の蝶つかまえてくれるなら、と少女の瞳にじむ雨音
{引用=003:つぼみ}
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かすみそうこんなところに居ないって知ってるからこそ似合わぬ花を
花のかげ虫とる蜥蜴に欲情し不謹慎に{ルビ柏手=かしわで}をうつ
立ち昇る汗で湿ったハイライト噛み締めたってあなた ....
大声で花粉症の話をするおとなになどなりたくなかった
雑踏でふと耳をすます。どれが僕の足音かわからなくなる。
工事の人が標識と同じ格好になった。さっき一瞬。
ゾ ....
胸廓を侵されるなら服をぬぎ猛る桜に沈め嘲笑
「エロガッパ」中の結露に書く顔のガラスをすべる花は涙か
白酒とつまむ花びら香りなどわからなくても胎内に秘む
いつまでも星の見えない東京をピンクに塗った兄貴を和姦
声優の違うのび太は土曜日の昼ドラなんかに癒されている
ジーパンのチャックを開けてメギラマと唱える男子トイレの隅 ....
楽しいショーの始まりだ!と言いながら僕らは産まれてきたはずだ
僕に名前が無かったころ、魂は行き先を欲してなかった
たくさんの人、たくさんの名前、溺れそうになって君の名を呼ぶ ....
春分の朝のひかりが桃色に染め上げてゆく雲を見ている
結んだ髪に椿を挿して出掛けましょじんこうてきなダムを見ましょう
最短で森の迷路を抜ける道あなたが選ぶ毒の木いちご
ばた ....
寄りそったつもりが股間にローキック
うずくまる顔面にもう一撃
モズクガニのことを考えながらパスタを食べる深夜のデニーズ
明日の朝何を食べようか、と手をつなぎ 春の屋上からダイブする
バスに乗り行ける所の限界は終点までと終点で気づく
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今日だけの花 さわぎの水のふりかけて かじり抱きして朝にしおらす
しょうちのうえで怒らせて 悪気もありで涙なら さじもなげる身もなげる 君
泥となり眠る あまい泥なら手でつかみ 掘 ....
校庭の桜並木花吹雪に見惚れる君に見惚れる僕
若葉萌えて黒髪の乙女自転車ノーブレーキ危機一髪
君が読んでた本の栞場所を変えた犯人僕ですごめんなさい
雨の日の ....
今青き蛇の抜け殻くぐりぬけ廃墟のごとき雨の降るかも
コスモスの群がる丘で赤と青 少年少女が燃やすむらさき
錆び付いたあなたが今夜もあらわれて僕のくちびる噛んでさよなら
降 ....
先生 この前のテストは100点だったけどBでいいです先生私先生が好きです。
ラメ入りの少年 惚れさせてしまうのは男どもばかり 生理も来ない
触れてとは言わない言えないでも触れな ....
ローリングする着陸機よピッチングだけはするなよ いざランディング
懐かしい名前でふいに呼ぶ人のありそうで怖い乗り継ぎの島
あの雲の影はほらそこ あの影の雲はあの雲 青い青い海
雲は皆 ....
危険です真似しないでねハブクラゲつんと突付くと面舵転進
道脇のガードレールに何気なくアカショウビンが止まっています
真っ白なリーフエッジと砂の浜 引き潮どきの{ルビ美=ちゅ}らさ島々
....
縁側で闇を見ている妹の白いうなじが僕を呼んでる
夏野山汗ばみながら駆けてゆくゆくえふめいの妹の兄
鉄塔の錆びた階段昇りゆく100階したから姉とは呼べづ
鏡台に映る妹べにを ....
居るような君の気配を探している沈まない陽の五月の駅で
不意に出るひとつ外れたアクセント「そやね」と夏がちかづいている
このまちが逆さにうつる残り水その向こう側に居るはずなのに
あ ....
嬉々として初夏の陽気を真似てまで我が玉肌を見たいか春よ
天狼の眼さえ優しき夕刻の西空高く服わぬ者
夜目遠目街は光の傘のうち見上げる春の冬の星座を
麦と真珠一対の名を見出せし好き人の名を我は知るなり
星影を抱きて部屋で愛しき言い尽くしてよ指 ....
涙がね赤い光を受け止めて私の頬に残るんだ
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