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樹皮から生まれた
雨の夜に生まれ
落ちた
気がつけば土のなかにいて
根の森のなか
迷わず
根の細い方へ向かった
沈んでいった
――海も陸も底は暗い
まどろみながら
土と根とにひ ....
色褪せしカエルの背をなでやりつ人差し指はものひきつらす
日暮れれば花弁を閉ぢる花と知らず植ゑてよりわが昼は呪はれ
土くさき夜気につつまれ甦る記憶くるしくのびる根のごと
街路樹の根の垂 ....
一束の薔薇を奪ひし通り魔の手にぎちぎちと青き棘立つ
花を剪るしあわせな朝よそおひて茨に髪をからめとられつ
「ともしび」と「かなしみ」似たり真夜中の明るき窓の下に黄の薔薇
にくしみを誘 ....