人差し指
渦巻二三五

色褪せしカエルの背をなでやりつ人差し指はものひきつらす

日暮れれば花弁を閉ぢる花と知らず植ゑてよりわが昼は呪はれ

土くさき夜気につつまれ甦る記憶くるしくのびる根のごと

街路樹の根の垂れ下がる地下街で鉢植を買ふ夢を見てゐた

ダイレクトメールの宛名に付されたる番号われも数へられたり

己が性器片手でつかむことできるほどに男は簡潔なもの

銀色に染め上げし髪結はれをり鏡の向かうに器用な手ありて

ふり返りふり返り行く野良犬はどうやらわたしが産んだやうです

くちづけの上手なひとに恋したしその口に何つめてやらうか

知らぬ間に絞め殺されるかもしれぬけれども雨の午後は眠たし





                   二〇〇〇年五月 @nifty現代詩フォーラム


短歌 人差し指 Copyright 渦巻二三五 2003-07-14 17:10:02
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