冬の木漏れ日の中で懐かしい歌を聴きました
  懐かしくてももう泣けない自分がいました
  それが寂しくてそっと瞳を閉じました
  太陽が淡く輝いた冬の日のことです


  太陽 ....
夜中、目がさめて階下に降りると
君が僕を積み上げていた

たどたどしい手つきで慎重に積み上げ
途中で崩れると
ふうとため息をついてまたやり直す
時々どこか気に入らないようで
何か ....
いま
昇ってゆく
はりついた水平を
捨てて
乾いた土も
取りこぼして


一人きりの
拍手のように
器用な着地も
知らないまま


誰を
背負うことも
ない
あの
 ....
あけましておめでとう
そして僕たちはそのように死んでいく
あけましておめでとう
死んでいくのではなく殺されていくのだおそらくは
お互いに
殺されあいながら
あけましておめでとう
生き ....
たろうを眺めるたびに
こそばゆくなる
こそばゆい
こそばゆい
こそばゆい

くうらんの何にも入っていないあそこから
押し寄せる
大群
真っ赤な

のわたし

たろうを眺める ....
ねこーとよぶと
ごはんをたべます
さかなはいつまでも
すっぱいまんまです

よぶたんびにちいさくなるので
ちゃんと、おぼえておこうと
なきます
ちんまりしたしっぽが
はたはたとして
 ....
ダンボール
捨てたいものをつめた
ダンボール
は、ちいさかった
そしてなにもなかった
わたしはなかった
あ、あ、あ、
みじかい音をいくつも出して
壁に羅列のスタンプをして
そ ....
深夜
血を吐きました
世界が
美しくなりました

君には秘密にしておきます

部屋の中は君の寝息でこんなにも静かなのに
テレビの中では相変わらず人が死んでいきます
閉じられたブライン ....
かなしいところ では
あなたは
体中のちからを
ふりしぼります

どこで
立ちどまっていても
わたしは
すべてのひとに

見えているのです

わたしは
まるで それがないと
 ....
過ぎ去るものがあって、僕は奏でられているものを聞いている
耳から耳、手から手
それから

夕立に降られそうになって、傘を買った
小さく折りたたまれた傘で、雨が降らなかったので広がることはなか ....
たとえば「赤」という色を、すべての他者が、自分の感じる「赤」
と同一の「赤」として認識しているのだろうか。感じる「赤」が異
なっていても、赤という「言葉」でそれが統一・集約されている限
り、その ....
そっといじけたような光でいる
まるくまるくなでられたいのに
そっぽをむいて目を閉じて
大きな花の実を食べている



ずっとむずがゆく思っている
ときどき次の次がほしくなる ....
[唇がはなれてことばを、すべりだす。昼過ぎのガラス窓に緑色がぼやけて逃げる畳の、角に埃、ふわらふわら舞う。涼しく吸い込み、からだの中を撫でて回るやわらかな無が、人たるぼくのこめかみの先まで届くらしい。 .... http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=17661


なみさんは同じ傾向の詩をよく書く。
空気が似ているので、
見慣れない人はみんな同じように見 ....
ガラス玉の中で夜が
凍ったみたいに動かない
だからここには何も来ない
昼も夕方も往ってしまって
世界がポツリと佇んでいる

私は夜を握ったまんま
電車に乗ってひとり
闊歩している
こ ....
花占いをする少女の背中から
日向の匂いがしたりして
指先からこぼれる花びらがオレンジで
昨日降った雨の湿土を
温かく変えて行くのは
その答えが「イエス」だからなのでしょうか

お幸せに  ....
どうにもこうにも
犬の糞をふんずけてしまった時みたいに
マヌケだ
きれいにかしこまった感じで
「どうでもいいよ」と
受話器からのご返事
ああ
がぶがぶとポカリでも飲んで
その後ティラミ ....
ステンレスキッチンに置かれた
一枚の紙切れ
強烈に窓からそそがれる
陽射しにめまいしながら
水をのんだ
昼の電波網では
とにかく男と女が終止
運命の出会いをくり返している
のに中庭には ....
閉ざされた窓の外は氷点下の青空
冬には
見えないものも見えるものも等しく正しい


さよならも云えないままに消えてしまった夏は
凡てが微熱に喘いでいた

向日葵

神様
 ....
娘よ
すまない
おまえが初めて空気を吸った時も

おまえが冷えた
つま先抱えて
泣いていた時も

25年間
父さん
おまえにとって
死んでいたのだろう

混んだデパートで ....
                    116時 @ハト通信

めそめそ
やぎがないています
またやってしまったんですか
めそめそ
おてがみなら
きっとまた
とどきますよ
めそめ ....
褪せた街に似合う青い蛇のようなものが夜、落雷のように足元をするり抜けていった。「早いよ、早いよ」と、遠い声。ネオンの西新宿に降るか降らぬかの小雨に湿り髪の毛のぼくが、古ぼけたコンクリートのビルが濃くす .... 砂塵に覆われたコンクリート
目を凝らせば
ほつれ落ちた枯れ枝、その向こう
目を凝らせば
灰皿代わりだった冷たい赤い一斗缶、その向こう
公園を閉じ込め続ける鉄条網、その向こう
澄 ....
出て行くのです
朝早くの電車に乗って
霧の中のレールに乗せて
席は自由で
同じくらい不自由で

透明な朝に気付いてしまうと
そればかりを求めてしまう
ススキの群れる白い世界を
滑り込 ....
あの人は頭にツノがありました
ある日
頭にツノがあって大変ですね
と言うと
あなたはツノがなくて大変ですね
そう答えました
あれを初恋と呼んでいいものか
今でも戸惑います
ただ、あ ....
男には三種類のタイプがあって
ひとりはイブに惚れる
もうひとりはマリアに惚れる
残るひとりはリリスに惚れる

というのを私は15歳のとき何かで読んだのだが
そのときすでにじゃあ私はダメだと ....
水曜日の、朝
雨の、海
ここは、底。


数え切れない水曜日が
既に溢れはじめてしまって
数え切れない雨として
朝を打ち消している
あらゆる残り香が
あ、香りではなくな ....
いつか来た道を


なぞる度に消えてしまう
机の上のあの地図は
濡れたままでいる
一番と名前のついている街には
今もあなたが
住んでいることになっている

い、ろ、は、で振り分けら ....
沢山の肌があって、沢山の息があって
電車の水疱まみれの窓硝子は、耐え切れず、つつ、と、壊れた
そしてまた、つつ、と、何度でも壊れた
沢山の肌があって、沢山の息があった
私わかってい ....
奪われたものは奪われたままに夜は消え
春をいろどる明るい粉は素知らぬ素振りでダンスする
海はかたちあるものを映すことができずただ光を反射し
あまりに眩しいので虫たちはみな死に残るのは切り絵だけ
 ....
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