すべてのおすすめ
明け方なのに
わざわざ窓に背を向けて
本を読み続けているのは
なぜかしら
答えてくれなくても
それでも
私はかまわない
愛についてならきっと
あなたでなく
その本でなく
朝 ....
天井に頭がつきそうなあなたと
どてっ腹に穴のあいた私は
どこか浮かれた心地で手を繋ぎます
やがて日暮れて
子どもたちはそれぞれのミノに潜りはじめる
私たちも
アンゴラのマフラーを身につけま ....
人生の縮図を一枚の写真に托そうと
カメラを持ち出した午後
通い慣れた公園の道を黙々と歩いてゆく
木陰をなぞるようにしながら
景色に目を奪われることもなく
いつしか長い上り坂の入 ....
目を閉じてもひらいても
夜に重なり現われる
光りかがやく胸のかたち
蒼のなかのからくりたち
高らかな鉛の奥から指さし
水面の緑と並んで馳せる
星と同じ色の曇
星と同じ ....
あおいだ ゆびさきから
つむぎだされる よるの とばり
その やみのなかで てらしつづける
ゆらめき つづける
ふかしぎな かたち
さまざまな ゆくえ
ねがわくば わたしの あとは
....
私の父はある日
「お前の頭は大丈夫か?」と言いました。
私は
「別に普通だよ」と返しました。
詩に埋もれて生きている私を、父は心配してくれているのです。
私だってたまに自分がキチガイ ....
過ぎ去るものがあって、僕は奏でられているものを聞いている
耳から耳、手から手
それから
夕立に降られそうになって、傘を買った
小さく折りたたまれた傘で、雨が降らなかったので広がることはなか ....
凍えるわたしのか らだには 血が通ってる とがる まがる 川べりに出る前に 無限のでこぼこ ぢめんがあるの せめてものおおいなる恩寵 セーターの匂いは まぎれもないわたし だ が ....
あなたの降る
ひとひらから重ねて
いちにちが実をつける
まっすぐな廊下から壁の掲示物から突き当たりの部屋から放さないでと思うここのこころから
ゆれている
ゆらゆらと
のばしている色 ....
一昨日夢で死んだ
高い高い崖から落ちてしまって
刹那
目が覚め
正気に戻った
夢で死んだけど
手も足も顔もある
傷一つ無い
当り前か…
可笑しな話だけど
夢で死んだって
....
雪が
自由にしてくれると言うの
で歩き出すと
なみだが
サクサク落ち
みみやはながぼとぼと落ち
ゆびなどもぽろぽろぽろぽろ落ちて
振り返ると
うでもあしも全部
....
静かな夜。まだ眠くはないが、電灯のスイッチを切る。大気が重みを増し、数百メートル離れた隣家から冷蔵庫の低いうなりが伝わってくる。窓ガラスに埃の粒が当たる音がする。ひとつ、ふたつ。そして、目がだんだん ....
痛みが残したものに
少しずつ慣れて
平気と笑って
隠す胸の傷
指先でたどる
消せない色々
転がりながら
散り散りになる絆
行き場所を求め
彷徨い続ける僕ら
雑踏にまぎれて
ビ ....
わたしはさみしい
みんないなくなってしまうから
わたしが抱きしめると
みんな凍りついてしまう
わたしが好きになればなるほど
わたしは嫌われる
わたしは寒い冷たい場所に
あなたを閉じ込めよ ....
空から
ぽろぽろ
ぽろぽろ
きっと神さまが
天国で
消しゴムかけてるんだ
あなたが後ろを向くと
私の胸から
レモンスカッシュが吹き出した
瞬く間に水の幕をつくり
私の前を一面覆う
そっと指で触れてみる
波紋は広がる
ほんの少し振り返った
あなたの ....
ガラス玉の中で夜が
凍ったみたいに動かない
だからここには何も来ない
昼も夕方も往ってしまって
世界がポツリと佇んでいる
私は夜を握ったまんま
電車に乗ってひとり
闊歩している
こ ....
夕焼けの空を
黄金色の飛行機雲が
針となってのびてゆくその先に
たくさんの人々の虹がたしかに架かって
そのたもとを掘る人もたくさんいるけれど
それはそれでいいけれど
それらの虹を針は突 ....
あなたのために
あなたは夜から朝へ
書いては
ちょいと死んでみる
あーやりなおしたい
朝火
自己中心してくとね
あなたが
きっとはっきりする
ぼくを忘れていって
温 ....
夜中にふと
トイレに行きたくなる
でも起きられない
ほんとはまだわたしは眠ってる
暗闇のなか
いろんなことを思い出す
並列した思い出たち
クリックしたらすぐ次のページに行くよ
かな ....
楽しげに話す君の唇に
僕の人差し指を
押し当てる
唇は何度も重ねたけれど
指でのキスは初めてだった
柔らかくて
弾力のある
君の唇が
僕の人差し指に ....
大潮の日に
満月に向かって
車を走らせ
家路を急いでいると
どこからか
海の匂いがして
どこからか
いるかの笑い声が聞こえ
ぼくはなんだか
きみといるときみたいに
あたたかく
お ....
きょうのひがおわる
おんなじように あなたのひもおわる
きょうもいきてるよ
だって ....
要るもの、
要らないもの、
要るもの、
要らないもの、
ねぇ
そこの、おにいさん
要らないものを別の誰かが
要るもの、
要らないもの、
要るもの、
要らないもの、
ね ....
わたしがいたら
あなたは
うれしいのかな
よくわからない
わたしはあなたがいると
さみしいの
ほら
きょうは もう
ひ がおちる ね
と いいながら
遊歩道ぞいの木々は
うでいっぱいの
はっぱ を
するするとみまわし
だれが いちばん
きいろいか
えらぶのに
いそ ....
無数ともいえる
ボタン
を
ひとつずつ、かける
かけ終えたそのとき
もっと別の
なにか
きらりと光るような、に
心をうばわれて
せっかくかけ終えたそれ
を
一気にはずす
そんな ....
毎日、目覚めの悪い朝と
目覚めの良い朝が交互にやって来る
なのに私はいつも
何も知らなかったかのように
それを迎え
目覚めの悪い朝
関節の痛む朝
カーディガンの袖口から手は無い
昨 ....
あなたの手のひれが
わたしの頬にふれる、
見ているだけでは
かからなかった暗示は せつな
私を滑らせる
あなたの指紋は渦となり
巻かれた貝奥の私を
するりと抜きおと ....
うしろからかぶさるあなたの髪
を
舐めて
ぼくは
海の中のくらげになった
すこし しおからい
涙のおみずの流れるままに
くらげのぼくは
たくさんの人を噛み
きずつけ
そして ....
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