人は何処へいくのだろう、命ひとつ抱えて
そらの珊瑚

三月に降る小雪をつかまえようと
手のひらを天にむかって
差し出せば
どの子もふわり、
風にひるがえりながら
上手にわたしをよけて
アスファルトへと着地するから
こんにちはも
さようならも
言わずに終わる
消えていくだけの
出会いが彩る春の浅い渚で
どの子も水になった

わたしはこれから何処へいこうか
錆びた自転車のくぐもったベルの音がして


自由詩 人は何処へいくのだろう、命ひとつ抱えて Copyright そらの珊瑚 2024-03-02 14:50:08
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