すべてのおすすめ
樹間から
覗く秋晴れの青、
ふるふる震え
金木犀の香が舞う夕べ、
時はすっかり透き通り
遠い記憶を辿りいく
)何があったか
)細かいことは忘れちまったが
)ただ喜びと懐かしさだけ
....
アルミ弁当箱の中で折れた
白い腕と脚には触れないでね
痛みが通り過ぎて楽になれば
心を守るのは包帯よりも
明るい色のリボンが美しい
鏡に映る姿を確かめて
踊る時間は蝶のように結ぶ
....
なんてこった
太陽風が地球の大気を吹き飛ばす
それが満月の日
月まで届いていやがるんだという
だから月には
百万年前の地球の酸素が眠ってる
この悲しみもつぎの満 ....
すべてが終わったと思ったのは
ありえない夢を見て憐憫な感情と
寂寥感に押しつぶされた朝
傘もさせない晴天の空の下
会社に向かう電車の中で
再び閉じたまぶたに夢を願ったとき
過去と現 ....
嗚呼
此処は夢の中なのだと気がついて
脱ぎ捨てるように目が覚めた
はて
どんな夢だったか
あそこに置いてきた私の抜け殻は
憑き物がなくなった今
あの場所でどうしているだろう
しずかだ
この部屋で飯を食らい
いくつもの賭けをしているかのように
日々の営みがくりかえされる
この骨肉
とうてい理解しえない
この瞬間
けして手元に置くことはできない
握りし ....
空が落ちそう
唐突にそう思った
見上げた先は雲ひとつない青空
でも空は落ちてくる
それはつらいことなんかじゃない
それは悲しいことなんかじゃない
私は落ちてきた空を両手ですくい上げる
そ ....
落ち葉が集まる
回転ドアの中
振り返る季節に
折り目をつけようと
頬を叩いた紅葉が
赤くなって
蟹みたいな歩き方で
立ち去る
人に踏まれながら
指を捨てたら
大事な約束を
....
最近、寂しいところが少なくなった
宅地開発が進み畑はなくなり
無人化した団地は壊され
樹木は切り倒され、インフラ工事は進み
ホームセンター、リゾート・ラドンセンター、
24時間営業の店、 ....
満月が夜にふんわりと浮かんでいる。
それは、輝いているというより
黒く塗りつぶされたキャンバスに一点、塗りつぶされていないところがあるような、そんな空白に見える。
世界の明るさから逃げて、夜 ....
もう夜にも飽きたよ。って髪を切りながら
本当はこういうふうに使いたかった体、水槽の金魚
たとえば土曜日、
湿気ったスナックと紙ふうせん
わたしの語尾はあなたとくっついちゃってさ。
....
夜に想う
食べ物を想う 何を食べようか
酒を想う 何を飲もうか
酔いを想う 何の酔いか
夜に想う
生活を想う 生きなければならないから
人を想う 死にたくないから
未来を想う 生きて ....
一羽の鳩は飛びゆき
一羽の鳩は堕ちゆく
空を見上げる子らは
羽ばたきしか知らず
星のかがやきに浮かれ
草葉の陰に横たわるものは
人知れず退場するだろう
さめざめと僕はたたずみ ....
化粧をしない女と
化粧をする女
口紅を塗らない女の唇は渇くばかりで
あったかもしれない
口紅を塗る女の唇は艶やかに濡れていたに違いない
朝
彼が目を覚ましたのは誰かの足音が耳障りだ ....
失くしたものは
清らかな意地
血まみれで
無様で
嘲笑われ
下を向き
見つめたい
想いの力が幸せと
かつて信じて
強くあれ
そう
言い聞かせ
ただひとり
泣いたりする ....
食材と生活用品。
まとめては買わないから日々近所のスーパーマーケットに行く
私は詩人の真似事している。それはどこまでも真似事であって本物にはなり得ない。
私の妻は詩に興味もかんしんの欠片も見 ....
星は日々生れ落ちると
あなたは言う
当たり前のように諭す
そんな日々の出来事が
とても怖くて
おそろしくて
逃げ出したくなる
逃げることはできないのに
煮込んでいるジャガイモを
箸で仕留めて目玉を二つ
描いただけの顔
人参に寄り添い聞く耳と
しゃべる口を与えてあげようか
玉ねぎと仲良しだから
いつも涙を流して空を見上げるよ
....
箸で摘まんだ骨の欠片。
これは
私の頭を撫でた父の手。
たった今
父は抜け殻となって帰ってきた。
広い部屋に佇む母と娘たち。
炎の熱だけが
冷え切った両手を撫でまわす。
「形が ....
夢を見るのは
好きな人がそこにいるから。
忙しい日々の中で
見続けた姿を追いかければ
負けまい。と思う気持ちが芽生えた。
(ココニ帰リタイ。)
確かに残る私の居た形跡。
文字を辿 ....
雨の日のあくる日
学校のうらの公園に
みずたまり
ができていたよ
みずうみ
みたいだったよ
みずうみには
ケヤキの葉っぱが陽に射られてみどりに
きゃあきゃあと光っていたよ
女 ....
「あなたは猫を信じますか?」
牧師っぽい格好の
猫に突然質問された
右手には聖書のような本
肉球で滑るらしく
何度も地球に落としそう
(そうだなあ
信じる・信じないの
対象ではなか ....
鳶がとび回る冷たい空は灰色です。
大きな声で言ってはいない。
イヤな人がいて
言葉はホログラム、清潔で、
ちいさな血のようなものが
ヤスリで間引かれる瞬間の悲鳴、
墓場までも ....
○
少女は浴槽に柚子を浮かべ、
指で押して湯に沈めるのが好きだった。
湯に体半分沈んだ柚子を、前へ進めてやるのが好きだった。
少女は一人のときも、母親と一緒に入浴するときも、
湯に浮 ....
ラテン語を囁く
髪の長い少女は
金色の瞳を
いつも濡らしている
彼女の鎖骨には
ジュブナイルが埋まっていて
大人になるには
あと少しかかりそうだ
少女は恋をしていた
アスペン ....
ねぇ おぼえている
この世におりてきたころのこと
あしたが待ち遠しかった日々のこと
まばたきするたび うつりかわって
桜の花びら
糸と針でネックレスにして
穴あけたところから
....
なぜ悲しみばかり
流れるのだろう?
遠い夜の街を歩く人の
みやびで正しい歩調があり、
この国のよどんだ人の心に
ひとつの透きとおったメロディーを流す
ありきたりな流行 ....
ノスタルジア
また いやな夢をみたんだね
どうせなら魚になって海を泳ぎたかった
かなわなかった夢 石ころ
誰も傷つけないように生きてきたつもり
うまれてはじめて 風を切る
真っ ....
朝の光を浴びて
少しぬるみ
世の中のさかさまの文字を
投影している
硝子びんの中の液体の揺らぎに
ひと瓶飲んだら死ぬかなと
たずねても
答はみんなさかさまだから
解読できない
プリズ ....
新宿の伊勢丹の
いいお店で働いていたときに
うんとお買い物してくれたおばさまの
ぜんぶの指にひかる指輪みて
がっかりしたの
わたしの中には
スニフの落ちたガーネットの谷から拾い
....
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