すべてのおすすめ
雨が近づくと
植物の匂いが強くなる
それはまるで
隠す気のない事後のようで
私は好きになれない
(きっと
罪悪感の裏返しね)

彼の車に乗って
高速を使い海へ向かう
やがて雨が降り ....
朝の光を浴びて
少しぬるみ
世の中のさかさまの文字を
投影している
硝子びんの中の液体の揺らぎに
ひと瓶飲んだら死ぬかなと
たずねても
答はみんなさかさまだから
解読できない
プリズ ....
跳ね上がる、湧き上がる、躍り上がる、
歌う、歌う、歌う、歌う、
躍動感にみちみちた空気、
あちこちに飛び交う音符の羽虫たち、
唐突に鳴るクラッカー、

輝かしい照明は目も眩む、白、
白の ....
山育ちの子が海を知った
知らなければその深さも大きさも
わからないまま死んでいく
たった一日の出来事を
赤い水着を着た縁取り写真の子が
記憶を差し出す、午後五時九分の日没

赤穂海岸で俯 ....
はじめましてのズッキーニです
どこまで理想でどこまで現実で
どこまで成してどこまで課題か
線引きできたら線の上に立って
綱渡りよろしくバランス歩きで
何かしらの向こう側に存在する
高いのか ....
お腹が空き過ぎて、猫が踊る。猫が踊る。
トイレを我慢し過ぎて、猫が踊る。猫が踊る。
締め切り前に、猫が踊る。猫が踊る。
上司の駄洒落に、猫が踊る。猫が踊る。
   ((最近私は、猫の鳴 ....
アタシに初めて薔薇が咲いたのは
十二歳の冬の日だった
ひとつ、ふたつとこぼれ落ちる
目が痛くなるような赤い薔薇
そのことをママに告げると
彼女は「やあねぇ」と眉をひそめた
それは悪い魔女の ....
立春を待ちながら
冬を抱きしめる
いとしさに狂い惜しむ
十月にも秋を惜しんだけれど
秋は秋なのだと{ルビ悟=し}ってもいたから

立春を願いながら
冬と心中したい
できることならば秋も ....
心臓に焼きついたあんたの残像に
生かされるのも殺されるのも
もういい加減うんざりさ
二度と会えないのが定めだってんなら
せめて一緒に死んでおくれよ
夢にぐらい顔出しておくれよ
I'm st ....
魚は形を失った
こっそり棚から取ろうと背伸びした
幼子の小さな掌から
するりと逃げ出したのだ
{ルビ釉薬=ゆうやく}で青みを帯びて
濡れたような
しなやかな生の動態を
無言で秘めて微動だ ....
未来ある若者の君には
去るものにすがりつく
色呆けた年増は
さぞ見苦しかろう

追えば逃げるは世の習い
わかっちゃいたのにしくじった
やっちまった
またやっちまったよ
追われた男は逃 ....
ひらひらの手が
宙をおよいでいる
なめらかにあつく膨れて

むすめよ あなたは
女という呪いのなかで
生きていくことを選んだ
わたしのことをどう考える?
墓所

朝な夕な花を捧げる、
深紅の薔薇ではなく、
白い百合を。

ただひとつだけ、
海に背を向けたその墓。
没年は百年前かあるいは二百年前か、
墓石の文字は薄れて読めない。

 ....
きれいなうそをつくひとでした
ぼくも苦手だと云い乍ら
わたしが飲めないシェリー酒を
こっそりひとりで飲むひとでした

きれいなうそをつくひとでした
ぼくの夢だと云い乍ら
わたしがせがんだ ....
憧れる街は いつもディスプレイの中
モニターに入って人混みに紛れてみると
誰かの指で私はデジタル文字にされたり 欠けた映像として 
スクロールされておぼれて消える

明日の浮遊物が明後日の沈 ....
この石の中では
絶えず雨が降っている

そう言って一粒の小石を
娘の手のひらに載せた
その人は叔父だった
いつでも青いマントを着ていた

血の繋がりはないけれど
とある出来事があって ....
白頭の嶺を越えて、落葉(から)松林を越えて
蘆(よし)の根の黒く凍る沼のかなた
赭(そほ)ちゃけた地肌に黝(くろ)ずんだ小舎の続くところ
高麗雉子(きじ)が谷に啼く咸鏡(ハムギョンド)の村よ
 ....
ことばが寒さから抜け出し
たいようを追いかける夜に
睡眠剤をウイスキーで呑む

景色はしろく記憶だけ鮮明で
墨汁で色濃く書いた文字さえ
どこか儚い冬のきろくになる

突然の ....
艶めく林檎の滑らかな膨らみに
包丁の刃を当てて一息に押し切る
迸るエチレンの醇香
生まれ立ての双子は
仄かに黄味がかった白い果肉を
更に真白な俎板の上に
投げ出していた
あられもなく
 ....
わたしはきみに
食べものをあげたい
それもできるだけ
おいしいものを選んであげたい
おなじ食べものなら
おいしいほうがいいもの
すこやかなカラダに役立ったり
役立たなかったりしてもいい
 ....
 て・き・べ・ん

             邑輝唯史

丁寧に入れた人差し指を肛門の中でくねくねさせて
気持ちいいものだと思っていたら
息を吐いて次は息を吸って言われて
これはもう陣痛 ....
暗い水底から白装束の女、
ひっそり浮かび現れて
水面で溺れかけている狂った魚に
オイデオイデと手招きする

狂った魚は慌てふためき
一気呵成 水底に向かい沈み込む

白装束の女、そのす ....
月のひかりが
しずくとなって

やさしくふりそそぐ
森の奥の湖は

やぶれた恋を捨てると

次には永遠の恋が
得られるという
伝説の湖


一人また一人と
若者たちが

 ....
眠れぬ夜はごそごそと
布団の中で詩を紡ぐ

眠れないのは何のため
眠れないのは誰のため
眠れないのは我のため

嫌なことがあった日に
しっかり眠ると嫌なこと
しっかり記憶に残るらしい ....
私はトイレ掃除に熱中していた
ありとあらゆる隙間を見つけ
そこから茶色の
時には黒の汚れをかき出す
何かわからない汚れたちは
かき出してもかき出しても
無くならない
私が泣いていると
 ....
今はもう正直に告白してしまうが
私はあなたのようになりたかった
じぶんの思いが大切で
花火のようにことばをみんなにぶつける
本当の自分を押し込めることなく
イヤなことはイヤといい
うれしい ....
「いまは寂しい色をして
 小さな声で泣いている」

もっとじぶんのこと
甘やかしてあげればよかったのに

あのときあなたがやさしく心を
つつみこんで抱きしめてくれなかったら
きっと冷た ....
人のいない事務所では
書類から何から死骸のようだ
我々もみな死骸として
書類という死骸と
戯れているに過ぎない
事務所ではすべてが死んでいる
やがて勤め人が出勤し
事務所は賑わいを取 ....
あの人に両肩をつかまれて
力いっぱいゆさぶられた

あなたはなぜだれもあいさないのですか

見上げると空はただただ青かった
きっと光がまぶしかったんだ
あたしはしっかりと目をつむった
 ....
東京には山がない
ビルばっかりだ
人ばっかりだ
やっとコーヒーショップに座った
目の前のガラスの向こう側を
ひっきりなしに人が通り過ぎていく
俺と無関係な人たちが通り過ぎていく
何時間眺 ....
福岡朔さんの自由詩おすすめリスト(524)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
隠花植物- もとこ自由詩21+*18-4-15
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すみれ日記_01.26- もっぷ自由詩818-1-26
Stuck_on_you- faik自由詩318-1-17
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_- faik自由詩217-12-28
むすめよ- はるな自由詩417-12-14
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ルキフェルとティンカーベル_Ⅰ- 犬絵自由詩117-10-1
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