すべてのおすすめ
われらはビーチグラス埋まる砂地で咲く
浜木綿なのか
空に憧れ
海に真向い
樹々にさまよい
陽を讃え
愛の溢れた瞳を求め微笑み合う
ひとり あなた
ひとり わたし
....
通勤電車でふと絡みあう視線
作業着姿で伏し目がちに座っている
その人の 汚れた軍手をはめる手に
真紅の盃
みずみずしい酒の香のなせる業にして
白髪で皺きざまれる{ルビ貌=かお ....
地下へ降りる階段の
足音を吸いこむノワールプロフォン
ぞわぞわ 脈打つ気配に取りまかれる
手のひらで触れる空洞の壁
その冷たさしか頼れるものは無く
心細さに すくむ足でく ....
二両電車のシートから
真向かう窓 で
連なる民家の軒と緑の蔭
物皆の息吹き
重々しくもあり
閑かなる虚しさに堕ち行く
薄暮のとき
欠伸を殺し盗み見る
斜め向か ....
白梅の散り初めし小道に
空が
あの冬の頃の
遥かな厳しさをはなれて
泉は薄青さをとり戻し
ふつふつと 春に向かって駆け出している
梅の林は
香気を溢れさせ 溺れて ....
あれは 昨年の秋のこと
サバトラ猫のアタシが居候している
竹薮と雑木林の土手の裏にある大きな家の
離れの建物の中庭に行くと
「あ、鈴ちゃん来たわ。」
迎えてくれる おばあさ ....
「はじめまして。」
こんな所で、突然
自己紹介させてもらうアタシは
サバトラ猫よ
「サバトラ」というと品種のように聞こえるけど
これは毛色の名称でね、鯖に似てるからなの
....
瀬田川に架かる鉄橋に軋む音
光の帯は今を、過ぎた
引っ越し祝いで友人宅を訪問した帰り
瀬田唐橋の欄干から眺める
そこに 拡がるものは
時の流れすら呑み込んでしまいそうな ....
「な、なっ、これ。あたし持って帰って
味噌汁に入れるしラップで包んどいて!」
友人へ手渡す 小さなまな板で半等分にした
えのき
玄関開けた沓脱場から上がってすぐ傍、
ガスコ ....
背中押してもらって
もっと もっと、スニーカーのつま先が
お空に近くなる
ブランコ
いつからだろう?
ブランコ漕いで
軽い眩暈の様な気分の悪さを
感じてしまうよう ....
はかり知れない
暗黒の 宙に
君は浮かび
その彼方から
確かにとどく君の
燦めく 言霊
それは時に
のんびり夢みる浪の音
それは時に
欣び甘える涼 ....
カーテン開ける
東の窓辺は柔らかな
柳の芽吹き おもわす光
三度目に
鳴っていた携帯のアラーム消して
私を 執拗に抱きしめるコットン毛布から
這い出してきた脳みそが
....
夏の日の
薄い日暮れに
山裾を 退屈な貨物列車がめぐる
段々畑に
くっきりと動いている
働く人の影
歌を忘れたら何が残るだろう
長い貨物列車のリズムを
....
七回忌を過ぎた夜
寝入る微睡に
だれかの 手が触れてきて
髪を撫でるのです
幼い頃 してもらった様な
手のひらの温もりは貴女なのだ
と 気付き
うっすら 消 ....
ツクツク
ツクツク
ピーヨ ピーヨ
それが貴女の
独り言 だったのかもしれない
と、今になれば思うのです
病院から外泊すると
東の窓際で
黙って 鳥かご ....
畔のみちを濡れながら
駈けて行く少年が
不意に 透明になってしまった
もう同じ姿では帰ってくるまい
寂しさが静かに
胸を浸してゆく時がある
貴方と再び相逢う日のない事 ....
柔らかに
湖沼の堤に
すいこまれていく
霧雨は
昼と夜の
境に降りつつ
水沫も作らず消えて行く時、
涙もなく
恋見送りし むくい
心は 空なるものに ....
カーテンも取っ払った六畳間
テレビと わずかな生活用品に炬燵が一つ
職場近くへ引っ越すための段ボールが
キッチンと廊下に並ぶ
「部屋が狭いから、ずいぶん処分したのよ。」
友人 ....
テイクアウトのピザを
たらふく食べ
飲みすぎた赤ワイン
炬燵で寝落ちし
ふと目覚める 耳の底の音だけしかない
深夜
空ビン洗って
ベランダの収納ボックスへ入れる音 ....
雑然とした卓に
ちょっと戯れに挿した
寒椿の 紅い沈まり
眠れないのです
時は重たいものですね
全て寝静まっているのに
音があるのです
秒針が刻む
藍 ....
三分咲の桜が好き
と云う私に
葉桜が一番好き
と 笑った彼女
「なんで?」
ほのぼの香る色にも
一閃の青をみる
硬質感ただよう清らかさ
結婚前の彼女は答える
....
「心」
生命の底にあるのが
わたし
野を吹く風にさからって
歩いていると
影絵のようにみえてくる
「大衆食堂」
店の母さん 常 ....
「独白」
霜の立つ
音のきこえそうな
夜に一人で居る時は
吐息など捨てようと
幾度 思った事か
「街の鴨」
商業施設の脇を流れる
堂の川 ....
ハイヒールの足許が
男の鼻先を嘲笑う
「欲しければ
尾を振って ついておいで。」
街の角で
ふと女の姿が消えた
「欲しければ
そこで 涙を ....
イノチガ フト
オモタクテ
窓ヲ アケルト
ヒトツ フタツ ミッツ
カゾエテミタラ
ココロガ カルクナッタ
アカイノ
ホントニ アカイノ
イマニ コガラシガ ....
お前と私の くされ縁
ペンとノートで膝つき合わせて
何の進歩がなくたって
へっちゃら
お前の いじの悪さを思う
私の頑固さを お前は笑い
諦めてしまえば
お空 ....
あちら向き
こちら向き
淡いピンクのささめきは あなたと私の様
うす曇りな心に 寄せて消えゆく
秋桜のうた
....
特別に悲しいという訳でもない日
行きつけのショッピングビルの喫茶店で
夜のムードなソフトジャズが
無機質に聞こえる 寂しさ
スプーンで掬って 舐める
ウインナーコーヒーの ....
アオギリの葉を鳴らして
秋がゆく
時雨ている空にさえ
時折 輝いている空しい灰色の雲
風、強かったショーウインドウの前に
私を待っていた人
月並みな愛の言葉
優しげに ....
ふしあわせ というものが
とくに こころ美しく
あたまのするどい ひとに
みいる のでしょうか
はんぶん いろづいた林檎の
つめたい甘酸っぱさを
あなたは こころ ....
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