歯に詰まった小骨をとろうと指入れる
全くもって取れないで
爪楊枝
歯の隙間増えたなんて思うけど
赤ん坊
吸わない乳首の色合いは
まだまだ女と言わせるようで
しらばっくれて抜け出す路傍の片 ....
 
 
古い地図をひらくと
あの日のわたしが
チャリンコ漕いで走ってる

高校と家の
片道十キロの距離を
毎日通った

部活は一年で
辞めてしまったけど
片道十キロの
距離は ....
みんな頭の上に
金魚鉢を持っていて
歩けば中の水が

ちゃぷんちゃぷん
揺れている

ときどき
金魚が入っている人がいると
みんなが振り返る

水が濁って
少ない人がいた時は
 ....
そして魚は夢を見た
パラソルをさして
弁当を食べてはまた泳いだ
浜辺に差す太陽は快晴
海を泳いでいく私
かろうじてつながる
陽のなかの骨
白い壁が
歩き出しては消える
花の匂い
花の礫を残す


空より長い
影の上をゆく
ときおり丸い
鳥の火の音


 ....
トライアングル
カラカラたたけば
遠くで聞きたい鋭い音
速度を弱めて響きを遊び
近づいてみた
余韻をしっかりミュートして
アコーデオン的な手法で
空気を押し出し
塗り尽くせればいいなと ....
あんたの手垢がついたギターが埃を被っとる
もう弾かんからな
だったらなんで
弦の買い置きを置いたままなんかな
だったらなんで
こんなにすぐ手の届くところにあるんかな

仕事を ....
よく、晴れた日のこと
傘をさかさまに持ち、振り歩くひとがいた

何をなさっているのですか、と尋ねると
彼は
「ここに太陽を閉じ込めようとしているのだよ」
そう言って
ぱちり、と傘を綺 ....
屋上から、

冷蔵庫を、

落とす。
雨の日の電車はさながら異空間である
外からは紫色の魚がプランクトンをつつくように群れ
中には放心状態になったぼやけた人々がずぶ濡れになった四肢を
無言で時折ぶるりと震わしている

そんな静寂 ....
              090610




小次郎が
きびすを返す
刀を片手に
さっさと歩く
抜刀して歩くのは
人の体力には余るのだと
今の人は言うかも知れない
今の ....
 
 
競技場の水飲み場で
水を飲んでると
排水口の辺りで溺れてる
蟻がいる

この水飲み場は
いったいだれが作ったものなのか
母に聞いてみる

この街の
誰かが作ったのでしょ ....
婚姻するハツカネズミの
店先の行列を
にこにことながめている
クリーニング屋のむすめが

やわらかく透過する
窓辺の
病院の待合室で
おんなのこが
アン・ドゥ・トロワ、アン・ ....
探偵の黒い傘を雨が濡らす
探偵の薄いコートを風が揺らす
探偵は心のアリバイについて考えている

立ち並ぶ街路樹 街灯
探偵は歩きながら考えている
そう 心はそのときそこには無かったはずだ
 ....
海の肉を食べたら
液体の味がした
フォークとナイフで切り分けようとしたら
テーブルが水びたしになった


海の肉を食べたら
口の中が青くなった
口中に水平線が広がり
のど奥に海底が生 ....
 
 
 
村のしくみ


西の空に
捨てられた村がある

誰もがそこで
暮らすことができた

今日は村長さんの
誕生日だった

まだ生まれてなかった


+

 ....
阪急御影駅で降り
石畳の道を登る
道は家々の間を巡り
やがて甲南病院に到る


キラキラと輝く風に揺れ
木々が歌う中 静かに佇む
時代(とき)に馴染んだ白い壁


ガーゼの浴衣  ....
星がスクランブル交差点に静かに鎮座する
真夏の正午
すべては開かれ閉じられた
赤い道は軌道をはずれ
はるか
ケプラー氏の海の家
正装したカブトムシたちの
厳かな結婚式
少年たちの背中で ....
食品工場ゆきのバス

そこでなに思う

どこかで人は起きる

玄関を出る

性的でない

あなたを見つめてる

そこでなに思う

あ、海に行くのかな
築50年のアパートは
あたしら家族以外 全員ヘルス嬢
昼間、子供とワイワイ騒いだら
うるさいねん、外で遊んでえや、って怒鳴り声がして、壁がどんどん揺れる
あたしは真っ昼間のきっつい日差しの中
 ....
{引用=ばたん――
ドアがしまるような
収穫の音がして、巻きあがる
走り去ったランナーの
一陣の風

よみがえる
まなざしの白さ、
青い息
ゆらぐ光彩に
ぼっ
と一点とどまる
 ....
メザシを食べれば
思い出す


干すばったところが
バアちゃんの手にそっくりで


この塩っ辛さは
バア様の小言にそっくりだ


それに
なんとも言えない
ほろ苦さは
バ ....
いまは
白線の上にいて
アスファルトのはずのあの灰色は
落ちたら
池みたいに
わたしを吸い込んでしまうんだろう
あるいは
どこまでも底のない空の上の
飛行機雲
突然途切れて
飛び込 ....
かたりとなる昨年の暮れから
おそらくかなしばりにあいながらみる
まつげのさきの閉じかけのまぶたが愛らしかったとか
ぬるくひかっている足の爪のはがれぐあいだとか
いつも指をうごかしている完成をみ ....
青のインク
絵の具のチューブ
クレパス

全部ひっくるめて
投げやりな空を、描いた

何枚も何枚も
繰り返し

気がつくと
床が、海になってた
グレープフルーツの中に
何かがあるんだと思う

沖に出たときの風
外国へ行く船
大切に持ったままの手紙
何度読んでも分からないところがあって
おたがい誤解しているんだと思うけれど
説明 ....
{引用=
1. カスタネット

紫陽花の花という花がてっぺんまで匂いたち、その色目も日に
日に濃くなっていく有様を窓から見ている。雨粒がはらはらと
落ちて窓ガラスにもかかる。風があるのだ。 ....
ある日家に帰ると
コインロッカーがあった
お父さんも使っていいのよ
妻が言うけれど
いったい何のために使うのか
僕にはわからなかった

それでも
次々とうまっていく
コインロッカー ....
ミモザという星座はないけれど
ミモザという星はあります
南十字座の二番星
ベクルックスの別名です

ベクルックスには
偽南十字星の近くから
よく蜜蜂たちが蜜を集めに来ています
星のビー ....
断崖の端で
はまゆりになった魚が
惜別の海をおよぐ

ゆれるはまゆりの
遠く
積雲のかなたまで
もう夏だ。
ふたばさんのおすすめリスト(111)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
サーモンピンク- yoyo自由詩209-7-1
地図- 小川 葉自由詩409-7-1
金魚鉢- 未完自由詩10*09-6-30
ゆらめき- kiriko自由詩809-6-28
午後とまなざし- 木立 悟自由詩309-6-26
お絵描き- sk自由詩309-6-23
ギター- なかがわ ...自由詩609-6-18
陽傘- 山中 烏 ...自由詩4*09-6-15
気まぐれ- 邦秋自由詩4*09-6-12
電車- ゆるこ自由詩609-6-11
古道具屋- あおば自由詩4*09-6-10
水飲み場- 小川 葉自由詩209-6-6
波紋のように広がってゆく- mizu K自由詩7*09-6-5
探_偵- 塔野夏子自由詩1*09-6-5
海の肉- パラソル自由詩4*08-8-17
世界のしくみ- 小川 葉自由詩6*08-7-31
甲南病院- 青い風自由詩2*08-7-27
- ぎよ自由詩708-7-24
性的でないあなた- 吉岡ペペ ...自由詩208-7-18
ばついち- ヤム自由詩14+08-7-16
レタス- norif自由詩3208-7-15
メザシの歌- 青い風自由詩5*08-7-11
白線の上- 蒼木りん自由詩508-7-10
とかが- ひとあめ自由詩508-7-9
無題- 長谷川智 ...自由詩3*08-7-9
グレープフルーツ- ふるる自由詩9*08-7-8
雨だれ- mizu K自由詩12*08-7-7
コインロッカー- 小川 葉自由詩6*08-7-6
ミモザの星座- 海里自由詩308-7-4
- Etuj ...自由詩308-7-4

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