すべてのおすすめ
知りたかった
僕を
取り巻く
空気の中に

どれだけの
水の粒子が
溶けているのか

手と手
心と心
乾燥地帯で
ぶつかるたびに
静電気が起き
そこに生まれるのは
青白 ....
春色のセーターをほどく
うねに添って並ぶ
小さな毛糸の環が
現れては消え
現れては消え
優しく解体されながら
終点に向かう

逆回転を奏でる音楽のように
くぐっては消え
くぐっては ....
 時計が深夜十二時を知らせると、ひいながたりが始まります。
     ◇
「姫さま、殿が見当たりませぬが、どちらへおいででしょうか」
 三人官女の年長者がお歯黒を三方(さんぽう)で隠しながら上段 ....
ここに居た

そこに居た

あちらこちらに
居た
ことを記す

愛を叫ぶ雨蛙を乗せた丸い大きな葉も
その傍らに転がっていた水晶のような玉も
美しい色を持つ手が
幾重にも重なったよ ....
影と影は
こんなにもたやすく
ひとつになれる

犬とわたし
樹とわたし
電信柱とわたし
あなたとわたし

昼に束ねられていた
よそよそしさは
夜がくれば
溶け
すべての影と影 ....
空もなく
風もなく
光もなく
雨も降らない
季節がない
そんなところに命があるのだろうか

あるよ。
声がした
家の建つ
ベタ基礎コンクリートで
固められた
土の中から
芽吹 ....
腐る。
ギリギリのところで
なんとか持ちこたえている
としたら
死がとても怖い
かくれんぼしていて
うっかり見つけてしまった
小鳥の死骸にうごめいていたうじむし
その卵が
この空気中 ....
あゝ薔薇が咲きました
昨日までは蕾であったのに

馬鹿だね 何もこんな寒い日を
選んで咲くことないのに

小学校から知っている息子の友達は自衛隊に入隊するといいます
有事の際には戦うので ....
冬景色 北国生まれじゃないけれど懐かしいわぁ今日は湯豆腐

かつをぶし削って薫る郷愁は年経るごとに熟成します

水仙をたどれば春はつながるよ ふるさとの土 温かい風

手作りの竹馬結局乗れ ....
昨晩
ひとつの恋を失った
ミセス ミスティは
男の不実を責めるでもなく
ピアノの蓋を閉めた

ミとファ
シとドの間に
黒鍵がない理由は
おそらく
その間に
幻想があるからだと
 ....
娘の反抗期も
そろそろ終わりかなあと
やれやれと思う反面
なんだかそれはそれで
一抹のさみしさもあり
手放した自覚もなく
ああ、季節というものは
こんな風に過ぎてゆくものなんだと思う
 ....
黒いアイリスは
男の喪に服した女だ

ジョージア・オキーフが描いた
花の絵は
どれも女の顔に見える
花が儚く美しいという概念は
もしかしたら幻想なのではないか
もうこれ以上
対象に接 ....
静かに落ちる
柔らかな子宮壁に
着床する種のように
或いは
夜という
高濃度の詩を含んだ海へ

魂だけが
えら呼吸を忘れてはいない
無意識という
立方体の
泡を
吐く

水 ....
魂を語り合いましょうと
いいながら
詩人は逝ったのでした

今朝
わたしはみつけた
ゴミステーションの柵に
いくつも並んだ雫
それは
ぶらさがって
落ちまいと揺れていた
冬の夜が ....
熱を帯びた扁桃を
通過する
酸味をふくんだえきたいは
ほどよく冷えて
生きていることが
すみずみまで広がっていく
――体温計の中の赤いめもりが行ったり来たり
ひとふさ
ひとふさに
大 ....
腰が大きく曲がった
近所のおばあちゃんが通るたび
あの中には何が入っているの? 
と、母に質問して
そんなこと聞いてはいけません
と、言われた

大人はいつだって
ほしい答えをくれやし ....
ねえ
ひとつぶのわだかまりもなく
こんなにさらさらで
どんなかたちにもなって
どんなかたちにもならなくて
よく晴れた日は
誰にも盗られないように
丁寧に埋めた
昨日の美しい心を
ぴか ....
きょうという日に
きょうという火が
ともされる
約束したわけでもないのに
東の空に

明るく
温かい
平等な
きょうが
どこから生まれてくるのか
ボクは
みつけた
旅の途中で ....
取り出したばかりの粘土は
幾通りもの生を含んで
ぐにゃり
柔らかく在る

指で押せば
くぼみが現れ
手のひらで転がせば
丸を成す
いびつな複雑さは
魅力的である代わりにとてももろい ....
ただの壁だと思っていた面に
白い花が
ちらほらと咲き始めた

家と道
内と外
隣人と自分
向こうとこちら
静けさと騒音
過ぎ去った時間とやってくる時間
何かと何かを隔てるための境目 ....
非常階段には
扉があって
内と外が隔てられている
内のものかといえば
そうでも非ず
外のものかというえば
そうでも非ず
非常のために作られた階段
日常では使われない
避難通路

 ....
MRIに写った骨に
ほんの少しの ヒビ在り
しばし見入る

ヒビは歌わない
ましてや笑わない
責めたりしないし
冗談も言わない
財布の心配もしない
後悔もしない
原因があって
結 ....
愛とか
愛に似たものとか
愛と呼びたいものとか
愛したいものとか
愛しても届かないものとか
愛したらいつか届くんじゃないかと思うものとか
付箋をつけた愛とか
血糊みたいにべっとりした愛と ....
土踏まずの深い足裏で
たわわに熟した葡萄を踏みつぶす
たちどころに
赤紫の液体が
{ルビ箍=たが}で締められた
大きなたらいの中でほとばしる
秋の森は
少年と少女の息遣いで色づき
どこ ....
はかなげな羽が降りてくるようにシダーウッドの練り香の夜

素のままの足先冷えるにまかぜては南瓜の裏ごしなんかしてみる

面取りの支度を終えた大根の白さに嫉妬 そうゆうをんな

忘れたり思い ....
埠頭から一時間船にゆられた
海面に時折大きな背びれが顔を出した
港であんこ椿の扮装をして写真を撮られた
両親と弟、祖母で三原山に向かった
しばらく行くと草も花もなくなった
辺りは黒々とした石 ....
みみたぶは
いつも冷えている
熱い鍋肌にうっかり触ってしまった
わたしの指を冷やすために
みみたぶは
きっと知っている
それがうっかりではなくて
わざと、であったかもしれないことを
知 ....
ケーキを焼いて
中学生の娘の誕生日を祝う

ろうそくの灯に照らされて
もうひとりの女の子が浮かび上がる
娘と同じ誕生日を持つ子
遠い国に拉致されて
連れ去られたまま
いまだ帰ってこられ ....
記憶の糸をほどく
風景や音や肌触り
縫い合わされていた
いくつもの欠片が
ふたたび熱を取り戻して差し出される
思い出は語られたがっているのだろうか

子供の頃ひと夏を過ごした祖父母の家
 ....
わたしが
命をもらった日から
吸って吐いて
繰り返されてきた
呼吸の仕組み

その息は
かじかんだあなたの指を少し温め
その息は
幼子の風車を廻し
その息は
ケーキに灯されたろう ....
由木名緒美さんのそらの珊瑚さんおすすめリスト(185)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
湿度計のある部屋- そらの珊 ...自由詩16*14-3-12
再び生きる- そらの珊 ...自由詩17*14-3-7
春の夜_ひいながたり- そらの珊 ...散文(批評 ...6+*14-3-3
仮埋葬- そらの珊 ...自由詩18*14-3-2
影と影- そらの珊 ...自由詩14*14-2-24
- そらの珊 ...自由詩16*14-2-15
冬時間- そらの珊 ...自由詩15*14-2-13
君死にたまふことなかれ- そらの珊 ...自由詩15+*14-2-7
郷愁- そらの珊 ...短歌12*14-2-6
【ミセス_M】詩サークル「群青」の一月のお題「霧」への提出作 ...- そらの珊 ...自由詩15*14-2-5
女同士- そらの珊 ...自由詩25+*14-2-3
閉経- そらの珊 ...自由詩24+*14-1-30
腐食- そらの珊 ...自由詩16*14-1-27
- そらの珊 ...自由詩1814-1-23
かんきつ- そらの珊 ...自由詩21*14-1-22
たからもの- そらの珊 ...自由詩2314-1-8
猫のダイヤモンド- そらの珊 ...自由詩1413-12-19
猫のさがしもの- そらの珊 ...自由詩2213-12-18
【終わりと始まりと】詩サークル「群青」12月の課題「終」への ...- そらの珊 ...自由詩2113-12-10
垣根- そらの珊 ...自由詩20*13-12-4
【非常階段】_詩サークル「群青」11月の課題「非」への提出作 ...- そらの珊 ...自由詩2013-11-30
ヒビいった- そらの珊 ...自由詩15*13-11-15
Lover,Lover,Lover- そらの珊 ...自由詩16*13-11-8
葡萄酒- そらの珊 ...自由詩20*13-11-1
イノセント- そらの珊 ...短歌1113-10-30
アイランド- そらの珊 ...自由詩1013-10-26
みみたぶ- そらの珊 ...自由詩1713-10-23
十月五日(土)天気_雨- そらの珊 ...自由詩1513-10-19
ありがとうの言葉とともに- そらの珊 ...自由詩18*13-10-16
ためいき- そらの珊 ...自由詩18*13-10-14

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する