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  梱を解く
  潮風に鳴る 缶ごみ
  いろどる 比喩たちの面皰

  梱を解く
  あなたの二枚の手を思う
  ひらたく延ばした糊状の意味

  荷はひろげられたまま
  ....
  または
  栞をはさんで
  席をたったはずだ
  ただ いつものように

  つめたいお茶を飲んで
  ポテチをこぼして
  指を舐めていた
  または

  たのし ....
  見えないが それは
  熱の蛇が 這っているのだ
  かんぜんな 石を湿らせ
  なにもかもが黙る

  
  熱の蛇が
  這っていくのが見えない
  街はいつも 叫んで ....
  乳色のワンボックスカーが
  庭なしの一軒家にとまっている
  僕の思う以上に 世の中の人たちは
  ひとに興味をもっていないと分かった


  東京はとてもうるさくて淋しいと ....
  正しくあろうとして
  わたしたちの舌はもつれた
  東京で あなたを愛そうとして
  口付けを重ねるしかなかった 
 
  偽らない わたしの目に
  毎日の夕暮は かなしか ....
  黒いきみの髪がひかって
  何も云えなくなるのは良い
  全部云ってしまっても良い
  くちびるがはずむ桃いろの夢

  剥いたばかりの林檎のように
  とても素敵な匂いのする ....
  あなたを思うと、
  わたしの心に幾つもの
  穏やかな図形が描かれる
  熱い珈琲をかきまぜながら
  窓の向うの樹をあなたは見ている
  たぶん、世界じゅうのすべてのものが
 ....
  仔犬の映像が 午後になると
  卓上に置いた梨のまわりを駆け始めた
  おもてでは雪がもそもそ愚かさのように降って
  わたしの居る部屋に面白味のない光を積もらせる
  次第に岩石 ....
  カーテンは 夜、
  ゴムに似た苦笑に変わって
  弧状の痺れに変わって……私たち、
  ポットから熱いお茶を注いで飲んだ
  点けていたテレビと電灯を消し
  歓びのような虚し ....
  歌をたたむ。{ルビ耳輪=じりん}がひとつ、
  骨いろの水面をもがいて、
  ひしゃげた三日月になりそうな夜
  まだ多すぎた言葉を忙しく折りたたむ
  明日の晩 静けさのおもてに ....
  朝 林檎をかじる
  椅子に掛かった駱駝色の
  ストールから君の匂いがする


  笑いと寂しさが 僕の気持へ
  記憶よりやさしく注がれていく
  ……何故? 魔法のよう ....
  サルビアの陽射しへ
  うつむいた頸がいろどる
  あなたが放つすみれ柄の微熱
  この愛しさと出会うために
  幾度自らを{ルビ擲=なげう}ってもいい
  振りむいた睫毛に弾む ....
  かれらが、一体なにを
  言いたいのかちっともわからず
  ことばのなかにひらめく暗闇をさがした
  目を凝らして 耳を澄ませて 鼻をとがらせ



  けれども本当はかれら ....
  せめて、
  あなたには桃を食べていてほしい
  朝のかなしい光のなか 窓のあたりに椅子を置いて



  それ以外なにも望まない
  古い歌があなたの心に絶えず降ってくる
 ....
  観覧車の見える場所で 夕陽が落ちるのを待ってた
  きみの左手に巻かれた馬鹿みたいな時計、
  その形が何かに似ていると思いながら



  足元に置いたコーヒーの空き缶には
 ....
  いたみ。
  それがひとつ、
  水たまりにうかんでる。
  とろとろの月といっしょに



  サンダルをひっかけて
  コーヒーを買いにでたり、
  すこしだけひらい ....
  いい夢と
  わるい夢がならんで
  砂利のなかに混じっている
  風はいつしか乾き、
  口のはじが切れている
  きみのざれ言は聞きたくない
  きみの睫毛がうごくのも
 ....
  愛することができたものと
  愛せなかったものを
  苔色の水面に
  あなたが浮かべる



  夕暮れはしだいに  
  薄くひろくのびてゆく
  冬空を流れている、 ....
  おまえはだれだと
  蟻が訊く
  秋枯れの
  木の根をしいんと横切り
  くたびれた靴の色より
  鮮やかなぼくの影
  ジャック・ダニエルを呑んで  
  やってられないとつぶやく
  おぞましい闇を
  月明りが潰す
  猫のようなきみの手も時に  
  すばしこいジャブを繰り出す
  痣模様 ....
  国
  という言葉がいま浮かんだけれど
  どうしたものか思案している



  一ヶ月近く洗っていない
  ランチョンマットには三箇所の染みがついているが
  それでも洗 ....
  ひだまりのなかで
  かなわない夢をかぞえて



  暮らしたいのです
  ねむたくなるくらい
  語りあって、
  愛しあって、
  傷つけあって、



  ....
  ああ、愛することは
  とても難しいな
  つまらないことで
  笑うのも泣くのも
  馬鹿には出来ないな



  ねえ、僕はうまく
  僕をやれているかな
  つま ....
  夜になると
  忘れていたものが僕の
  心を重くする



  夜になると
  僕たちはせっせと産みを始める
  明日はどうせやって来て
  握り潰してしまうのに
  ....
  学校帰りの
  黄色い子どもたちが
  葉桜の大きな
  大きな陰をこえると
  もう
  すっかり
  おとなになってしまった
  五月の駅のプラットホームで
  ぼくは考える
  ひとはなぜ
  自殺をするのだろう?



  去年の五月
  止まりっぱなしの西武線を
  ぼくは覚えている
  そ ....
鵜飼千代子さんの草野春心さんおすすめリスト(26)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
梱を解く- 草野春心自由詩323-10-23
または- 草野春心自由詩323-10-16
- 草野春心自由詩621-3-7
きれいな夜- 草野春心自由詩217-12-9
- 草野春心自由詩217-9-18
林檎- 草野春心自由詩517-1-8
穏やかな図形- 草野春心自由詩8*16-12-3
果皮- 草野春心自由詩516-11-26
カーテン- 草野春心自由詩316-11-22
耳輪- 草野春心自由詩4*16-11-22
きみのにおい- 草野春心自由詩116-10-12
放熱- 草野春心自由詩5*16-6-5
かれら- 草野春心自由詩415-5-24
望み- 草野春心自由詩514-9-28
観覧車の見える場所- 草野春心自由詩513-10-20
とろとろ- 草野春心自由詩813-7-6
ふたつの夢- 草野春心自由詩513-5-15
浮力- 草野春心自由詩713-1-16
- 草野春心自由詩712-12-2
ジャンプ- 草野春心自由詩7*12-11-30
ことのなりゆき- 草野春心自由詩1212-9-20
ひだまり- 草野春心自由詩612-9-16
つまらないことで- 草野春心自由詩5*11-5-21
夜になると- 草野春心自由詩210-6-27
日陰- 草野春心自由詩310-6-3
プラットホーム- 草野春心自由詩110-5-15

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