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米って左右対称じゃない
犬歯のように少し欠けてる
その犬歯みたいな米は
臼歯で噛むと甘くなる
そういえば
オオカミの犬歯を
あの人はお守りにしていた
もっと噛んでくれてもよかったのに
青空がだんだんと夜になって
五色の旗
はためく空に満月
まんまるな白杯に濁酒を満たして
ただひたすらに月を呑む
先日、本屋へ行った。
ご贔屓の作家の旧作が文庫になったのを知ったからである。
お目当ての一冊の場所を確認すると
せっかくなので
呼ばれた順に本を手に取って立ち読みをした。
寝しなに読むのにち ....
瀧の音がする

雪解けだろうか
それとも
凍りついた瀧の裏側が動き始めたのだろうか

いずれにしても
寒い冬にあるとき
人はあたたかな春を待つ
つまりはこの瀧の音が
春を招き 冬を ....
春になると

あたたかい

おひさまが日差しを背負わせてくれる

味わいたいのはあたたかなスープで

抱きしめたいのは大切な体温

あたたかな一日である
プレスで濃いめに淹れると香りが鈍くなり
適量をドリップで淹れると
いい匂いが立ち込めてくる

豆の焦げた匂いに部屋中を支配されたいなら
濃くない方がいいのだ

ただ濃い方がふと思い出した ....
ここのウリはこってりカレー

ぽってりしていて具はないの

っていうかみんなとけてる

沸かさないように

焦がさないように

朝からずっと煮て

ほぐして

漉して

 ....
饒舌な彼女の言葉をメモに起こしてみる

初めはほらこんな具合

きれいだ

でもだんだんと文字が乱れて

筆記体

草書体

ついには単語と矢印のチャートになって

絵記号 ....
杉の木の地肌には

落雷の焼け跡があって

炎の枝を広げたその後に

彼は大きな枝をまた伸ばした

彼の肌には苔のいい匂いがあって

失ったてっぺんを補うくらいの広い枝を

私 ....
太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。

次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。

しんしん

しんしんと

ふりやまぬ雪は

そのとき、

道子の屋根にも

春子の屋根に ....
一富士二鷹三茄子

一富士二鷹三茄子

親の意見と茄子の花は

千に一つの仇もない

春新月

花爛漫と

曇天の夜
中華街で食う

春節の肉団子は旨い

肉をこねて

揚げて

煮込んで

茶色の大きなかたまりに

春の息吹が押し込まれてる

たっぷりとした汁の中で

白菜やら

 ....
春が来るらしい

誰かが

わたしの肩を

抱きしめているような温みがあり

天と大地の鼓動が聞こえる
家に帰ったら

つぼみが

いくつか咲いていた

とてもさみしい
甘い甘いリンゴのケーキの

そのリンゴは

遠い遠い青森県から来たという

北の地べたに

大切に植えられた木のたくさんの時間と

作り手の方の人生と経験と

この年にかけた手 ....
二十度の酒を呑むと苦しいだけだが
五十度の酒を呑むと爆発できるらしい
でもそれはあまり売れない

じゃあ炸裂が怖いの
と聞くと炸裂したい人はたくさんいるのにだ
近所の婆さんから焼き芋をもらう
紅はるかって種類を初めて作ったとか
太い焼き芋だ
齢八十余年の初めてをいま喰っている
冬の道に蛾が落ちてきた
大きな桑子だ
冬をやり過ごし
羽を朽ちさせた太い蛾は
冷たいアスファルトに震えていた
二月
妙に暖かい日に
それでも凍てた道路に腹と羽を震わせた蛾の
末路は知ら ....
濁酒のこびりついた盃を洗うと
米粒が
棘のようで
痛い
今日は山羊の気持ちでチーズトーストを食べた

牛の乳は甘く

トマトは鮮烈な酸味があった

日々苦味の草を食んでいる身として

穀物の甘味は喉の奥に染みた

チーズトーストには自分 ....
お前の骨はとても細くて
俺の肉まで貫いていて
お前の肌はとてもキレイで
どんなものでも突き通せない
お前の骨はとても細くて
シミルくらいに痛いんだけど
白くて甘い肌のせいで
突き刺さらな ....
よのなかの電波の網の中にいてお前の音だけ手探りをする



胸底にお前の喘ぐ声がする風の音だと限りなく言う



遥かなる街でお前が笑っててお前を抱いて眠ろうとする
鵜飼千代子さんの黒田康之さんおすすめリスト(22)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
- 黒田康之自由詩221-3-15
月とはためく- 黒田康之自由詩121-2-28
美しい女- 黒田康之自由詩121-2-23
- 黒田康之自由詩421-2-23
春の日- 黒田康之自由詩321-2-22
コーヒー- 黒田康之自由詩121-2-21
こってりカレーライス- 黒田康之自由詩321-2-19
ことば- 黒田康之自由詩221-2-18
杉の肌- 黒田康之自由詩221-2-17
雪_三好達治_引用- 黒田康之自由詩121-2-15
富士山(新年詩2021)- 黒田康之自由詩221-2-13
肉団子- 黒田康之自由詩321-2-12
冬の終わり- 黒田康之自由詩321-2-10
つぼみ- 黒田康之自由詩321-2-9
リンゴのケーキ- 黒田康之自由詩221-2-9
炸裂- 黒田康之自由詩121-2-8
- 黒田康之自由詩321-2-7
- 黒田康之自由詩321-2-5
濁酒- 黒田康之自由詩121-2-4
山羊の気持ち- 黒田康之自由詩221-1-31
焦げちまった空の下- 黒田康之自由詩210-10-8
つながる- 黒田康之短歌210-10-8

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