潰れたボンネットを横目で見ながら
霧に包まれた山道を駆け下る
対向車のハイビームに顔をしかめつつ
眼前の日常を無闇にこなしている

それが現実と知るからこそ

誰かが流す涙に隠れたナルシ ....
今だって現状はたいして変わってない
数え上げればキリが無いほどの、嫌な事
片手で数えられれば十分な程度の、良い事

笑顔に意味を求めなくなり
ただ自分を社会に馴染ませながら
日々を振り返る ....
誰かに聞こえるように呟いていみても
何の解決にもなりゃしないことは
とうに分ってるつもりだけれど

馬鹿にされても笑うフリ
傷つけられても泣くフリ
辱められても怒るフリ
形作られた実像が ....
偏平で退屈な日常
注ぎ込む情熱などありもしない
単に認めたくなかっただけの
小僧が夢の中で吠えている
嘆きが聞こえる気がするけれど
そりゃきっと気のせいだ

人生 君らが思うほど
美し ....
もうそろそろクローゼットから
暖かいコートを取り出そうかな

年々早くなっていく
気がつけば、と言う意識
去年の今頃を思い出す今日のように
この前もそのずっと前も
繰り返していたんだろう ....
寂しくないのかと問われるたび
面倒臭くなくて良いからと
笑って答えることにしている
そんな負け犬の遠吠えが
初冬の空に虚しく響く

全精力を傾けなければ生きれないほど
人生は世知辛くもな ....
背中から右足にかけて
立ち上がるたびに
座り込むたびに
鈍く鈍く走る痛みは
もう一月ほど続いている

目の回るほどと言う比喩が
何処までも陳腐に響くほど
此処最近の記憶は
仕事と痛み ....
向けられた笑顔の全てが
嘲りだと信じていた時期がある

空が曇れば必ず雨が降り
見惚れた花は明日には枯れる
呟いた言葉が嘘に塗れ
聞き続けたい声はやがて遠く

確かなものは何も無い
 ....
詩を詠おうと鏡の前に立ち
増えた白髪の数を数えた

擦り抜けた散り散りの感傷が
部屋の片隅で溜息を零し
歯に噛んだ笑顔を向けてる

捧げたい言葉があるんだけど
きっと哂い無しでは生まれ ....
隙間から漏れる風に誘われ
当て所なく泳ぐ午後十時
空を縫う電線を辿れども
待ち望む場所に帰れはしない

提灯屋台から漂う焼串の香り
車道の真ん中で踊る同輩
年の見合わぬ男女とすれ違う
 ....
遠く透けた青の先に
星が瞬いたように見えた

メトロノームと馬車馬を
足して割ったかのように
徐々に朽ちて行く時の片隅

枯れる事も出来ないまま
街路樹はやがて眠る
安らかでさえない ....
懐かしい微笑みに抱かれる
暖かな夢を見ていた

もはや持病の腰痛が朝を告げる
胸の温もりも聞こえた鼓動も
現実じゃないかとの錯覚
もう少し眠っていたい
出来れば続きを見てみたい

も ....
道端 潰れた死骸から
抜け落ちた魂の在り処が
見えるような気がした
そんな傲慢な感傷に浸る
自分自身が何様か知りたい

濁った水を湛える川
沈んだ自転車の車輪が見える
夕暮れ 反射する ....
今朝 家を出た瞬間から
眩しい光が肌を刺す
目を細めて見上げても
太陽は視界に入らない

誰かの笑い声に耳を傾け
同じように笑えているか
柄にもなく考えたりしている

信号で立ち止ま ....
ただ立ち尽くしているだけで
汗が噴き出してくる夕暮れ
唐突に思い出した笑顔 声 温もり 涙
何となく確信した事が一つだけあった
きっともう君はこの世に存在しない

幾月幾年と囚われていた
 ....
白黒に濁った空
息の詰まる空気
突然の大雨に駆け出す
いつもの通勤路

コンビニで雨宿り
パンとビールで時間潰し
持ってもいない自転車が
盗まれた事が告げられる

感情の乏しい叫び ....
碌に街灯も無い坂道
心も体も疲れ果てた
無気力な家路の果て

残飯を漁る野良猫の
縄張りに知らぬ間に踏み込み
精一杯の威嚇が向けられる

僕は苦笑だけを浮かべ
心の中そっと呟いた
 ....
夕暮れの歩道橋で見ている風景
行き交う人波が思い思いに辿る家路
西と東と北と南を結ぶ交差
自分の影と誰か達の影が
重なってはゆっくりと離れていく

言葉を交わす事さえ無い
デジタル時計は ....
ブロック塀の微かな綻びから
雑草が太陽を求めて背伸びする
大地とはかけ離れ場所に根を伸ばし
少しでも高く登れるように
もっと光を浴びれるように

梅雨も明けた七月の末
夜の内に蓄えられた ....
ただ歩いているだけで
汗が全身を濡らしていく

停滞が見上げる空を覆う
何処に行きたかったのか
忘れてしまえるほどに

鳴く声と泣く声が
空間と心境の狭間で
奏でている歌が聞きたい
 ....
坂道と 空の狭間に 滲み湧く 誰そ彼影に 未練が霞む 草臥れているのはなにも
心や体だけじゃない
味気ない坂道のてっぺんが
逆光を浴びて眩い割に
気持は晴やかさからまるで

遠く遠く遠く

新聞で見かけた見覚えのある名前
すれ違う其処に ....
遠藤のゴールのあたりから
ひょっとしたら今日は
気持ちよく酔えたんじゃないかな
そんな気になってきたのだけれど

ハーフタイムの間に
近くのコンビニに行こうか
迷っているうちに試合は動く ....
光景がこんなにも虚ろだなんて知らなかった

空が黄土色だとか
雲が赤褐色だとか
未来が錆付いているとか
過去が捻くれ曲がっているとか

稲光が音もなく過ぎ
彗星と勘違いして微笑
区別 ....
磨き上げられたガラス窓
月明かりさえない空間に
浮かぶ冴えない表情は
もう随分と見慣れてしまった

苦笑にも自嘲にも思える
口の端を歪めた男の姿
汗を含む無精髭はまるで
雨に打たれ草臥 ....
深夜だというのに遠い空は
いつも紅く燃えている

街の明かりにしては冷たく
群集を誘う目印にしては穏やかで
坂道の中腹で眺める景色は
星や月と並べるには不釣合い

ほんの少し前まで
 ....
本当は分っている
だけど分らないふりをして
変人を装っている方が
特別な人間だと勘違いしていられる

本当に分ってない
だけど分ったふりをして
周りに合わせている方が
寂しさを紛らわせ ....
少し青がかかっているように見えるのは
海に程近い土地柄のせいだろうか
手足さえ伸ばせないような小さな湯船から
はみだしそうなほど注がれた温水に
右手を突っ込んでかき混ぜてみる

熱さに思わ ....
高尚な講評の歓談を眺めていると
自分の階層が何段か下であるような気がしてくる
それがどれくらい卑屈な自嘲から這い出ているか
大した意味を持ってないのは分っているつもり

朝目覚めさせた雨音は ....
黒で彩られた人達の中で
どうにも落ち着かない感覚に襲われる
その家に訪れた不幸を
何とはなしに自分に置き換えてみる

命はやがて尽きる
そんなのは当たり前の事
なぜかしら目頭が熱くなり
 ....
松本 卓也(291)
タイトル カテゴリ Point 日付
逃避者たちに捧ぐ自由詩007/12/13 0:15
ただ一人、恵みの雨を待ちわびる自由詩007/12/10 23:47
響け自由詩107/12/6 23:07
無能の遠吠え自由詩4*07/11/21 23:55
コート自由詩107/11/13 23:26
ながれていく自由詩007/11/6 0:14
空はまだ灰色に染まっていない自由詩107/10/23 22:28
笑顔の意味自由詩207/10/16 0:51
ただ抱かれて眠りたい自由詩307/10/11 1:25
口笛自由詩107/9/28 1:14
連れてってくれ自由詩507/9/21 1:42
敗北者のうた自由詩007/8/28 2:33
リインカーネーション自由詩1+07/8/24 23:42
ラニーニャ自由詩007/8/22 22:36
放熱自由詩007/8/18 0:03
符号の無い夢自由詩0+07/8/13 2:42
夜半過ぎ自由詩207/8/7 23:59
平凡な旋律自由詩307/7/31 1:35
雑草以下自由詩107/7/26 23:02
風は風なのに自由詩007/7/26 1:05
黄昏短歌307/7/23 0:38
久遠自由詩007/7/23 0:27
ガチャピンと休肝日自由詩207/7/16 23:59
裏切られ者の愚痴自由詩007/7/13 1:38
泣いてなどいない自由詩107/7/12 2:04
紅い夜空自由詩007/7/3 1:13
天秤を、自由詩107/6/26 22:27
湯船自由詩107/6/24 22:28
紫陽花自由詩007/6/21 22:45
いつか詩になれるよう自由詩107/6/20 23:25

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