リインカーネーション
松本 卓也

道端 潰れた死骸から
抜け落ちた魂の在り処が
見えるような気がした
そんな傲慢な感傷に浸る
自分自身が何様か知りたい

濁った水を湛える川
沈んだ自転車の車輪が見える
夕暮れ 反射する陽射し
役割を果たす事もなく
朽ちていく造形

嘆きや憂い
悲しみと怒り
哀れみが浮かぶ口の端
何者が誰かになりたがる
不可能かどうかは別として

今現実に晒された影が
死角から手招きする
軽薄な情動の裏側で
無駄な時が過ぎていくことに
目を背ける君を嗤うよう

輪廻
背けた絶望
偽りの温もり

転がる石
砕ける風
メリーゴーランド
気狂いの笑顔

平凡である事
単調である事
積み上げた屍
踊る夢遊病者

足元の枯葉を砕き
幻覚の花束を放ち
狂騒にステップを合わせ

やがて時が止み
いずれ忘れ去り
そして生まれ変わっても
同じ標識を辿りつつ
ただひたすらに繰り返しながら
少しずつ消え行くだけ


自由詩 リインカーネーション Copyright 松本 卓也 2007-08-24 23:42:29
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